問題児たちが異世界から来るそうですよ? ~無形物を統べるもの~
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乙 ②
「さっきはよくもやってくれたな、小僧・・・こりゃ仕返ししねえと腹の虫がおさまらねぇぜ・・・」
肉屋のおっさんは、怒りの形相で十六夜を見ながらそう言った。が、黒ウサギ以外誰も怖がっていない。
「皆さん!誰ですか、この厳ついハンバーガー屋さんみたいな人は!?」
「先日リストラにあってムシャクシャしている元ハンバーガー屋さんだ」
「それと、極度の幼女趣味の持ち主よ」
「さらにはショタコン。」
「オマケに十二歳より上は老婆とみなす、十二歳以下限定の両刀さんだ。」
「勝手に設定を作るな!!」
問題児達は、今日も絶好調である。
そんな様子の五人に、先ほどぶつかってきた少女がおっさんについて説明してくれる。
「そいつは肉屋のカラッチ・トーロっていって、最近この町で好き放題やってる悪党だよ!」
「あら、貴女まだいたのね。」
「怪我とかしてないか?」
「あ、それは大丈夫。」
一輝に手を取られ、少女は立ち上がった。
「で、カラッチについてだけど・・・相手に対して不利なルールを設定して、力で脅して参加を強制して来るんだ!!」
「へえ、そんなヤツなのか。」
一輝の声から、優しさなどが一切合切消えた。
残ったのは、純粋な怒りだけだ。
「十六夜、飛鳥、耀。ちょと付き合ってもらってもいいか?」
「ああ、いいぜ。」
「私もいいわよ。」
「うん。」
三人の許可を得たところで一輝はカラッチの元まで歩いていき・・・殺気を振りまく。
「さて、クズヤロウ。選択肢を二つだけくれてやる。一つ目は、俺に再起不能なまでにボコられる。二つ目は、今ここでギフトゲームを開催する。さあ、どうする?」
一輝の殺気にカラッチは声も出なくなるが、どうにか持ち直す。
「ふ、ふん!所詮はノーネームだな!てめーらみてぇに群れてるガキは、全然身の程ってヤツをしらねえ!」
「うるせえハンバーガー。」
「そうよ、うるさいわロリコンさん?」
「うん。ショタコンうるさい。」
「言いたい放題言いやがるな!?」
「いいからさっさと開始の宣誓をしろ。」
三人に突っ込んで多少は余裕が出来たのか、カラッチの調子が元に戻る。
「まあ待て。その前にゲームステージの準備だ!」
カラッチがそう言うと、五人の周りの風景が変わっていく。
変化が終わると、そこにあるのは迷宮だった。
『ギフトゲーム名“ラビュリントス”
・プレイヤー
・逆廻十六夜
・久遠飛鳥
・春日部耀
・寺西一輝
クリア条件
・ステージの謎を解き迷宮を突破。又はステージ内にいるホストを打倒。
敗北条件
・降参もしくはプレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。
宣誓
上記を尊重し、両者はギフトゲームを行います。
“カラッチ・トーロ”印
“ノーネーム”印』
「わあすごい・・・巨大迷路だ・・・」
「中々楽しそうなステージじゃない。」
「これだけのステージを準備できるってことは、あれもそこそこのギフト保持者なのか・・・黒ウサギ、どうした?固まってるぞ?」
一輝が黒ウサギの目の前で手を振ると、黒ウサギははっと戻ってきた。
「何て事をしているんですか、一輝さん!?挑発してギフトゲームを開催させるなんて!」
「ムシャクシャしてやりました。反省はしていません。」
「だまらっしゃい!せめてゲームの内容を確認してから、」
「おーい。チップのところ、ウサギ肉贈与って書いといたぞー!」
「何やってるんですかおバカ様!」
黒ウサギはハリセンで一輝と十六夜の頭をはたく。
「ウサギ肉って黒ウサギのことですよね!?」
十六夜と一輝はシンクロした動きで頷いた。
「鬼悪魔ド外道ーッ!!」
「ああ、うん。俺鬼道っていう外道の一族の人間。」
「そう言う事を言っているのではありません!!」
「まあまあ。きっと美味しいハンバーガーになるぜ。」
十六夜が茶化したことにより黒ウサギが涙目になるが、そこに四人が慰めの言葉を掛ける。
「大丈夫よ、黒ウサギ。勝てば何も問題ないのだから。任せておきなさい。」
「私、頑張るよ。黒ウサギがハンバーガーにされないためにもね。」
「まあ、そう言うことだ。俺たちがあんなのに負けるはずがないだろ?」
「俺たちは楽しむためにこの箱庭に来たんだ。簡単にクリアできるゲームじゃつまらねえ!」
十六夜が黒ウサギに早く来るように促すと、黒ウサギは涙を流しながら十六夜の手をとる。
「い、十六夜さん・・・皆さん・・・なんと頼もしい・・・黒ウサギは、貴方達三人が着てくれて本当に・・・本当によかったですっ・・・!」
黒ウサギは一度落とされていた分、かなり強い感動に包まれながら、膝を立てる。
「それで?とりあえず啖呵きったはいいけど何か作戦はあるのか?」
「えっ別に私作戦なんて考えてないけど。」
「私もとりあえず便乗してみただけだし・・・」
「俺は感情に任せて行動しただけだしな。」
「何だ勝算ゼロかよ!テキトーにいくかー」
「まあ、何とかなるだろうし。」
引きずられている黒ウサギは、再び泣きたくなってくる。
「ぜ・・・前言撤回・・・」
今回のことを、一輝は後に『落として上げて落とす作戦』と呼んでいる。
「やっぱりとんでもない問題児達ですっ!!!」
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「作戦会議を行いましょう!闇雲に動いても無駄に体力を消耗するだけですから、突破口となりうる」
「気をつけて進む!」
「前向きに進む!」
「勘を頼りに進む!」
「明日を見据えて進む!」
「「「「ガンガン進もうぜ!!」」」」
「作戦会議終わったー!!!」
以上、飛鳥、耀、一輝、十六夜、四人の順にお送りしました。
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