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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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二章
  報告×追っ手×保護

「そういえば竹中氏に会ったよ」

「「え!?」」

「まあ驚くと思うけどこれはマジな事な」

「稲葉山城を乗っ取りの首謀者である竹中さんと出会って、よくぞご無事でしたね。お頭・・・・」

「まあ俺の勘だけどな、話してみてたぶん竹中氏は稲葉山城を放棄すると思う。俺らが織田の間者だと知って判断するならなと思ってな」

「せっかく落としたのに放棄とは、何かもったいないような」

「まあ普通の武士ならそう思う。相手は麒麟児と言われた頭脳の持ち主だからな、きっと主家に城を明け渡して、自分は在所に引っ込むかこの世を捨てるかどちらかだろうな。それに西美濃三人衆はそれなりに勢力を持ってると思われるし、龍興はその三人を切り捨てる事はないだろう。だけど竹中氏は確か菩提城の城主だからあまり上ではないと聞いた。だから龍興は竹中氏を簡単に切り捨てる事が出来ると考えている。とりあえず飯食ったら久遠の屋敷に行く、報告しにな」

「「はいっ!」」

とりあえず飯を食い終わったら食器は、空間先にある厨房に置いてから俺達は久遠の屋敷に向かった。すぐ近くだから徒歩だけど、あの騒動があったのかまだ城下町はパニック状態になっていた。まあ騒動の原因は俺にあるけど、屋敷に向かって久遠がいる部屋に行き、俺達が調べてきた事を一通り話した。

「・・・・・と言う訳だ」

ちなみに報告書は調べた情報をもと素にノーパソで打ち込んでから印刷した。紙何枚かは知らんがな、とりあえずクリップで纏めてあるのを久遠に報告した。

「ふむ・・・・」

一通りの報告をした後しばらく黙っていた。目を閉じて考えているのだろう。

「ここからは俺の勘だが、竹中氏は美濃を出放すと思う」

「賢者をみすみす逃がすと?・・・・蝮の孫とは思えんあの龍興の事だから、そうなるだろうな。ところで一真達を送った後で稲葉山に早馬を出した。内容は稲葉山城を売れとな・・・・どう言った反応をするか試したのだが」

「試したらどうなった?」

「私利私欲で城を奪った訳ではないので、自分はまだ美濃斉藤家の家臣である。だから売れんと言ってきたのだが、この後から面白い展開になったのだ。次の日に稲葉山から使者がきたのだが、内容は高値で売ってやるから買えと言ってきた。それも西美濃三人衆の安藤、氏家、稲葉からな。連名の書簡を持ってな」

「やはりか。敵は外ではなく内って事、今から動いてもおかしくないので俺は行く。今回は一人で行くが、急ぎだからなので馬でも追いつかないからな」

久遠は了承したので俺は屋敷を出て町の出口に向かったら和奏に会った。内容は墨俣付近で演習してたら早馬がきたらしい、その内容が稲葉山城に龍興が戻って来たそうだ。俺はそれを聞くとすぐに長屋に戻った。

「ひよ!ころ!すぐに出かけてくる。内容は竹中氏の確保だ」

「えっ!さっき戻ってきたばっかりなのにどうしてですか?」

「龍興が戻ってきたそうだ。さっき言った事が現実になったって事だ。俺は急いで行くんでお前らはここで待機だ。これで行くからな」

と言って空間からバイクを取り出してから乗って、メットを被った。急発進で行ったので煙を巻いたがまあいい。町の出口に向かってから急いで美濃に向かった。詩乃、生きていてくれよ。夜になった事で走っていた詩乃。

「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ・・・・誤算、でした・・・・まさかこんなにも早く追っ手が掛かるとは・・・・このままでは不味いですね。・・・・ふふっ、でもこの清々しい気持ちは、極上の物です。私は間違った事をしていません。武士としての誇りを穢されたのならば、その恥を濯ぐ。それが武士。だけど・・・・ああ・・・・出来うることならば、己の才を天下に示したかった。いいえ、何を言ってるのです、竹中半兵衛。・・・・まだ諦めてはいけません。それにあの方の言葉を頼ってしまうなんて。今は少しでも遠くへ・・・・」

俺はバイクで美濃に着いたが、既に竹中氏はいなかった。だが俺は諦めない。こうなると思ってあの詩乃に発信器を付けておいたからだ。この反応だとあっちだな、確か竹中氏の在所は不破群の菩提城だから、ここから西方だったな。なら早い事だ、待っていろ詩乃!

一方竹中氏は追っ手に囲まれていた。

「竹中殿。あれ程大それた事をしでかしておいて、更に逃げようとするとは、何たる恥知らず。いやはや・・・・さすがは美濃の痩せ武士。風上から風に吹かれて、遥か風下に着地してしていらっしゃる」

「武士の風下に私が居るとしたら・・・・佞臣として主君に道を誤らせる武士は、私よりも更に風下にいる事でしょうね。滑稽極まりない事です」

「ちっ、へらず口を・・・・!」

「減らず口というのは、自分勝手な理屈を捏ねる、と言う意味。そう。斉藤飛騨殿の仰りようなどは、まさに減らず口と言えるでしょう」

「ふん。好きに宣うが宣しかろう。私は龍興様より上意を受けているんですから」

「上意ねえ。・・・・」

「そう。美濃国主で在らせられる斉藤龍興様からの上意です。竹中殿。お腹を召して頂くか、それともこの私に頸を刎ねられるか、好きな方をお選び頂きましょう」

「選べ、と?」

「ええ。選ばせてあげると言っているのです。何とお優しいお屋形様でしょう。龍興様は!」

「・・・・選べと、相手に選択させるとは、その上意は本当に龍興様からの上意なのでしょうか?上意とは即ち『かみのみこころ』。上のこころを下が選択するとなれば、それは既に上意ではなく、下意となりますが?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぁ」

「あなたも室町に帳面を預ける正式な武士だ・・・・と粋がるのならば、せめて上下の区別や、その言葉の意味ぐらい把握してしかるべきかと」

「な、何を・・・・っ!」

「ああ、今、勝手に刀を抜けば、あなたの言う『上意』をあなた自ら覆す事になりますよ?下である私はまだ『選んでいない』のですから」

「・・・・・っ!」

「やれやれ。言葉の持つ意味も理解せず、感情や目先の利益だけで動く。それで武士だとは良く言ったものです。そもそも今回私が企て実行してみせた稲葉山城乗っ取りは、多くの長井一族や貴女・・・・斉藤飛騨など、武士だ武士だとさえずりながら、君寵をカサにやりたい放題だった者の炙り出しと、龍興様をお諫め致すため。この竹中重治、私利私欲で動いた訳でもない」

「私利私欲で動いてないから許せとでも言うのか!」

「許す必要はないでしょう・・・・しかし、諫言する部下を受け入れず、排除しようとする君に、命を賭する武士などいない。まあ・・・・果たして私の心が君に伝わっているのか、不明ではありますが」

「伝わってなど!我が君は今回の竹中殿の所行をいたくご不快に感じている由。必ずや竹中重治の腹を切らせよとご下命をくだされた!」

「ふむ。ならば貴女が先程言った『私に頸を刎ねられるか』という言葉はおかしい。上意を捏造したと自ら認めた事になるのですが?その返答は如何?」

「・・・・・・・・・・・・・・!!」

「国の事、君の事を己が支えるのだ、という当事者意識もなく、ただ国に、君に依存し、己の保身しか考えていないから、言葉というものを軽々しく捉えるのです。全く・・・・度し難く愚者だと思っていましたが、まさかこれ程とは」

「え、ええいっ!黙れ黙れ黙れ黙れ!罪人が偉そうに説教される覚えはないわ!」

「やれやれ。開き直りましたか。まあ小悪人の末路はいつしも同じようなもの。これで美濃は織田の手に落ちたと同然、ですか・・・・」

「語るに落ちたり竹中重治!既に織田の内通しているとみた!私はそう見た!ここに居る全ての者が証人であるぞ!むざむざ織田に奔らせはせん!皆の者、斬れ!斬り捨ててしまえぃ!」

「はっ!」

「愚者の相手は疲れますね。・・・・もし内通していたのだとしたら、稲葉山城を君に返上せず、そのまま織田に奔らせていたでしょうに。そんなに自明の理も分からないとは、愚者は愚者。愚君は愚君と言う事でしょう。滅びるに致し方なし・・・・」

「例え我らが滅びようとも、貴様の息の根を止めてやる!」

「故郷の命運と己の命運を同じに捉え、小事に拘る事でしか己の表現をできないとは・・・・何と可哀想な人か」

「ううううるさい!皆の者、やれ!」

「おうっ!」

斬りかかってきた足軽を避けた詩乃だったが、今の詩乃は逃げる事しかできない状態。

「はははははっ!逃げ惑う事しか出来ないとは、まさに痩せ武士!」

斬りかかる事で何とか避けるが息が上がってきた詩乃。

「武士として当然である武を心得を一顧にせず、くさくさと書見しているから、そのような醜態を晒すことになるのだ、竹中重治!」

「はぁ、はぁ・・・・刀を振り回すだけが武士の心得だと・・・・はぁ、はぁ、思っている馬鹿者に言われたくは、はぁ、はぁ、ありません!(ですが・・・・これはさすがにまずいです。愚者の言う通り、武の心得はない。体力も最早尽きるでしょう)でもここが切所・・・・」

「はははっ!抜いたな!上意討ちに逆らう反逆者として始末してやる!」

「くっ・・・・!(ああ、これで私は終わってしまうのですか)最後に愚者の手を借りず!雑兵に討たれる辱めを受けるならば、自らの手で・・・・!」

「立ち腹など切らすな!さっさと殺せ!」

『そうはさせるかよ、愚者共!』

「だ、誰だ。どこにいる!出てこい!」

俺はバイクに乗りながら片手で銃を撃った。竹中氏に近付く雑兵を次々と撃ちながら煙幕のミサイルを撃ち、煙で見えなくなった所で竹中氏を片手で抱えて、バイクをスライディングさせて雑兵に向けた。

「あ、あなたは・・・・!」

「よう、間に合ってよかったぜ。君を保護しにきたからその刀を戻せ。君を死なせたくないからな。あとここで待っていろ、すぐに片づけてやる」

「くっ、貴様何奴だっ!?我ら美濃国主斉藤龍興様の臣と知っての狼藉か!」

「俺の名は織斑一真。この名を知っているかな?それとも知らないとは言わせないぞ。あの田楽狭間に現れた天人とは俺の事だ!」

「あの如来の化身とかいう奴か、だが一人で何ができる。者共、さっさと斬り倒せ!」

とか言ってきたので向かってくる敵に銃で応戦。連続して撃ったのか、ビビりだした斉藤家足軽達。

「ええい!何をしているのだ!相手はただの一人だ。囲まればいいだけの事だ!」

とか言っていたが、俺は足軽達に頭ではなく脚や腕など急所を外して撃っていた。その衝撃に次々と倒れていく足軽達だったけど、貫通してる所為か相当痛いはずだぞ。俺の銃はこの時代の鉄砲とは訳が違うからな!

「ええい!何をやっているのだ!たかが一人相手に遅れを取るなど、日の本最強である美濃八千騎の名が穢れるぞ!」

「しかし、相手は数々の修羅場を潜っている者。それにあれは鉄砲ですぞ!しかも小さくて火薬を一々入れないで発砲するのは聞いた事がありません」

「ちっ!ならばあれをだせ!あちらが鉄砲ならこちらもだ!」

とここで登場したのは鉄砲足軽だった。まあこの時代ならあると思ったが、そう来たか。こちらに向けて照準をする鉄砲足軽に向けて俺は銃で狙い撃つ。撃った直後にあちら側の鉄砲は暴発して、鉄砲足軽は暴発を受けて死んだ。

「な、何だとー!貴様一体何をした!」

「何って、普通にあの鉄砲の銃口に向けて撃っただけの事であり、暴発するのは当たり前だろう?いや愚者に言っても分からんか」

俺は、はははと笑っているだろう。あちらは鉄砲足軽を呼んでは暴発させるという無限ループに近い事をしていたけど。当の詩乃はバイクが置いてある所にいたが、顔は驚愕をしていた。先程まで数十人いたのが今はたったの五~六人だった事をな。

「おい!そちらが逃げるなら追わねえからとっとと逃げな愚者共。それとも全員この弾丸で死にたいのか?」

「くっ、者共!撤退するぞ。怪我した者を回収して行くぞ!」

斉藤飛騨という奴は、指示をだしてこちらを見ながら退却して行った。俺はふうと息を吐き何とかなったなと思い竹中氏に近づいた。

「大丈夫か、竹中氏?」

「ええ・・・・はい。ありがとうございます。本当に助けて頂いて」

「そうか。さてとあいつらが撤収するまで俺はここにいるから、しばらく我慢してくれ。一応警戒してるからな」

俺はそう言いながら銃を持ちながら撤収する斉藤家を見ながら。すると竹中氏は俺と並んでから言った。

「なぜ私がここにいると思ったのですか?」

「ん?ああ、発信器を付けてたからね。うーんと・・・・あったあった。これを付けていたから分かったのさ」

「発信器?とは何でしょうか?」

「うーん、これを付けとくと例え草であったとしてもどこにいるか分かる代物だな。あとこれは盗聴器と言ってな、発信器と同じくどこかに仕込めばその人物と話している人物の声を拾う事かな。盗聴器は盗んで聴くって書いて盗聴器だからね」

といいながら詩乃に仕込んでいた発信器を回収してからポケットに入れた。

「貴方様は織斑一真様で在らせられる」

「いきなりだな・・・・まあさっき名乗ったからそうだが」

「織斑一真・・・・田楽狭間に突如降臨された謎の御方。織田家当主、信長様に拾われ、恋人または愛妾になったと聞いています。また墨俣築城でも中心になって活躍と言う所までは掴んでおりました」

「まあだいたい合ってるな。で、俺の言葉を聞いてここまで逃げてきたと?」

「はい。あの言葉があったからこそ、私はこうして逃げてきたのです」

「おう・・・・まあ保護できてよかった。というか攫ってきたのだがな。改めて竹中氏、俺と一緒に来るか?」

「・・・・我が身、我が魂の全てを持って、貴方様に仕え致しましょう。我が名は竹中半兵衛重治。通称は詩乃・・・・一真様に我が才の全てを捧げます」

「それは嬉しいが、織田家当主織田久遠信長にも才を捧げる事を誓うか?」

「はい。織田久遠様にも間接的に我が才を捧げることを誓います」

「間接的?」

「当然です。なぜなら私は一真様のモノ。・・・・となれば一真様が織田家の側にいる限り、私の全てを捧げる事と同義でしょう。だから間接的、です」

なるほどな、というかこれは告白しか聞こえないのは俺だけであろうか。まあいいとして、斉藤家側が完全に撤収したのを見てから詩乃をバイクの後ろに載せてヘルメットを被せた。そして俺が乗った後、俺の腰に手を巻けと言ってからバイクを発進させた。詩乃は無言になっていたが、恐らく詩乃が初めてだろうなと思った。バイクに乗せた事だけどな、こうして無事に詩乃を保護したと同時に一真隊の軍師になった。 
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