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ヘタリア大帝国

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TURN124 アンドロメダ星域会戦その八

 最早車懸かりの陣も陣になっていない、双方戦力の九割を失っていた。
 だが大和とクイーン=ビクトリアはまだ戦場にいる、それでだった。
 東郷は敵の旗艦を見てだ、こう秋山に言ったのだ。
「いいな」
「今よりですね」
「もうお互いこの一撃しか力がないだろうしな」
「ここで決めますか」
「そうする」
「それでは」
 秋山も応えてだ、そうして。
 大和と残った艦艇、かろうじて一個艦隊の規模の彼等がやはり一個艦隊規模にまで数を減らしているエイリス軍に突撃を仕掛けた、それを見たエリザも。
 艦隊を前に出した、両軍は互いにビームを出した。
 大和もビームを受けた、そのビーム攻撃で。
 左舷にダメージを受けた、だが大和のビームはクイーン=ビクトリアを直撃した。
 それでクイーン=ビクトリアは動かなくなった、しかしだった。
 そこでイタリン方面から一隻の戦艦が来た、それはクイーン=ビクトリアと同型艦だった、秋山はその艦を見て言った。
「あれはクイーン=エリザベスです」
「ではあの戦艦に乗っているのは」
「はい、エイリス女王セーラ=ブリテンです」
 他ならぬ彼女だというのだ。
「あの方が来ました」
「そうか、ではだ」
「セーラ女王にもですか」
「攻撃を仕掛けるとするか」
 こうなればそれしかなかった、まだ何とか残っている戦力を振り絞ってもだった。
 クイーン=エリザベスとも戦おうとした、だがここで。
 セーラはモニターを開いた、そのうえでj母に必死の顔でこう言った。
「お母様、ここは」
「撤退しろっていうのね」
「はい、後詰は私が引き受けます」
 だからだというのだ。
「祖国殿も妹殿も」
「その前にどうしてここに女王さんが来たんだ?」
 イギリスは己の乗艦からセーラに問うた。イギリスの艦ももう動けなくなっている。
「ここに」
「シーランド君に連れて来てもらいました」
「そうなのですよ」
 そのシーランドもモニターに出て来て言って来た。
「戦力はないですけれど曵航の艦は連れて来たのですよ」
「お母様の危機を聞きシーランド君と曵航艦だけを連れて来ました」
「そうだったんだな」
「見れば敵も戦力が殆ど残っていません」
 後詰はセーラだけで充分だった、今の枢軸軍の状況では。
「ですからここは」
「曵航してやるのですよ」
 それで動けない艦艇を退かせてだというのだ。
「まずはイタリンまで撤退なのです」
「そこから本国ですね」 
 イギリス妹はシーランドの言葉を聞いて述べた。
「そうなりますね」
「そうなのです」
 シーランドはイギリス妹にも答えた。
「だから急ぐのです」
「動ける艦艇はすぐに撤退して下さい」
 セーラが指示を出してきた。
「そして動けない艦艇は曵航します」
「わかったわ、それじゃあね」
 エリザも愛娘の言葉に頷いた、そしてだった。 
 その戦力の全てを失ったと言っていいエイリス軍はアンドロメダから撤退した、それと見届けたセーラもだった。
 戦場から離脱する、その時に東郷にこう言った。
「アンドロメダは今は貴方達にお貸しします」
「やがてはか」
「はい、返して頂きます」
 こう東郷に言ったのである。
「やがては」
「そうか、それじゃあな」
「では」
「しかし女王さんもな」
 東郷は去ろうとするセーラにこうも言った。 
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