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鉄槌と清風

作者:deburu
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58部分:57:新たなる/古の力


57:新たなる/古の力

 その後、捉えた3人…質問した所名前は素直に答えた、紫の髪の少女がルーテシア、融合騎がアギト、水色の髪の少女がセイン…は名前以外では雑談以外答えようとはしないので六課で留置する事に。
 セインについては副隊長以上が誰か一人つくことになった、以前から隊長陣では話しに上がっていたがどうやら戦闘機人らしいのだ。
 それとセインの胸元に合ったⅥと言う数字から、最低でも他に5人は戦闘機人がいるだろうとも予測された。

 ともあれ、3人とも大人しいもので、特に今の所困った事は無い様子だ。

 また、保護された少女は翌日には目覚め、名前をヴィヴィオと言うらしい、なのはが随分懐かれている様子だ。
 そんな中、良彦はアイン、ヴィータとウィンドの待機室で会話していた。

 「あのアギトって言う融合騎、リトの記憶に出てくるんだよな、アイン覚えあるか?」

 「リトといた頃の記憶はあまり多くないが、確か…烈火の剣精、その称号をもったシグナムをロードにする者だった気がする」

 「マジでか?…てかことは古代ベルカ時代の融合騎って事じゃねーか」

 「まだ本当にそうかはわからねーけどな、資料が残っててそれから復元された可能性もあるから」

 「そうだけどよ、それでもすげーって事になるぞ」

 「そうだな、復元だとしても凄い事だ」

 3人で言いながら、更に良彦が

 「で、もう一個の話し何だが…リトの父親【風王】である、ベシュテンバーグ王も融合騎を連れていたんだ」

 「…そういえば、いたな、青い髪、青い瞳、青い装束の、確か」

 「セプテントリオン、ゼピュロスが持つ西東南、3つのモードと対を成す北の象徴だな」

 「そんなのがって、ゼピュロスのモードが3つ?、おめえ2個しか使ってねーじゃねーか?」

 「南に相当するのはノトス、これは一人だと制御しきれねーんだ、その為のセプト…セプテントリオンだ」

 「んじゃなにか、そいつが居ればモード3も使えると?」

 「そうなる、アギトが古代ベルカから何らかの形で残っていたとして…セプトも残ってる可能性がある」

 「ん、でも【風王】の国は消滅してるんじゃねーのか?」

 そのヴィータの言葉にアインが悲しそうに微笑む、良彦は気にするなとぽんと頭をなでつつ。

 「烈火の剣精と北風のセプト、国に居た融合騎はあの事件の時、中立の技術研究国でメンテナンスを受けていたはずなんだ」

 「私の記憶でも、あの事件の少し前にあった大きな戦がかなりの激戦だった為、繊細な融合騎はしっかりしたメンテナンスを受けさせると言う話になっていたはずだ」

 「でも、セプトが残ってても誰かが使ってたりするんじゃねーか?、古代の融合騎だぞ?」

 ヴィータの疑問に良彦は

 「いや、多分それはないな…セプトは【風王】にしか扱えない、血筋的なものと、その能力の問題でな」

 「どういうことだってば」

 「まず、【風王】の血筋以外の者には反応を示さない、で、能力なんだが、単体では補助がメインでそれも大半が風に関する事だ」

 一旦、お茶で喉を潤し

 「で本来の能力を発揮するにはユニゾンする必要と、モード3ノトスが必要なんだ、【風王】の持つデバイスにはそれが組み込まれる…リトは兄弟の中で唯一次代の【風王】の資質があったから、ゼピュロスにはそれがあるんだ」

 「じゃぁ、セプトが居れば良彦以外には今の時代はつかえねーって?」

 「そのはずだな…無限書庫のユーノと、聖王教会の騎士カリムには連絡しておいた、もしかしたら」

 「そうなると、色々大変そうだけど戦力は強化されるっつーことか」

 「あぁ…まぁ期待はあまりあまりしないでまってよう」

 そういって、ヴィータとアインとそのまま他の話題へと会話を移していった。



 そんな会話から数日、ユーノから資料が送られてくる、古代ベルカ時代【風王家】の物と思われる発掘物…【風王】の国にあったものでは無く、同盟国などに残っていたものだ…が聖王教会で保存されているらしいとの事だ。
 騎士カリムからも、同様の話しと、現在それらを保管庫から取り出し、良彦に確認してもらう準備をしているそうだ。
 ちなみに判断基準は【風王家】の紋章…風を意匠とした3本の斜線に羽をクロスさせたもの…が、付けられている物だそうだ。

 で、現在シフトの空いた時間にヴィータと共に教会へ来ているわけだが。

 「ごきげんよう、騎士カリム、シスターシャッハ」

 「よう、カリムにシャッハ、久しぶりだ」

 「ごきげんよう、騎士良彦、騎士ヴィータ」

 「ようこそ、騎士良彦、騎士ヴィータ」

 良彦は挨拶までは丁寧、ヴィータは挨拶から砕けている、相手はしっかりしたものだ。

 「それで、何個か候補があったって?」

 「えぇ、保管庫からいくつか封印がしてあって教会の方でも管理局でもどうにもならないのがあったわ」

 「騎士良彦なら開けられる可能性があるのではないかと、そう思われますね」

 「ってか、それって開けていいのかよ?」

 「中身が何であれ古代ベルカの事を知る資料にはなりますから、構いません」

 カリム、シャッハにヴィータが問いかけ、カリムがきっぱりと答える。

 「んじゃ、早速案内してくれるか、時間もあまりないし」

 「では、こちらへ」

 カリムが立ち上がり、案内してくれる…重要な場所においてあるのだろう、シャッハも付いてきてはいるが。

 案内されたのか教会の保管庫、その一層目だ、まだ奥に段階を置いて重要なものが保管されているらしい。
 目の前には、【風王家】の紋章が入った、箱などが置かれている、これが開けられなかった物なのだろう、数は3個ほど。

 1個目、宝石箱のようなものだ…手に持って開けてみる、以外に簡単に開く、中身はネックレスと指輪、どうやら他の国に嫁いだ誰かの宝石箱だったのだろう。
 開けようとしたときに少しピリッとした事から、あれが此方の事を調べる魔法か何かか、【風王】の血筋に反応したらしい。

 続いて2個目、一辺が1mはある箱だ、材質は鉄?、まぁかなり頑丈そうで、しっかり蓋がしまっている。
 蓋に手を掛ける、再びピリッとした反応があり、蓋が開く。
 中身は何らかの装置…恐らくは結界や、防衛用の魔法など、長時間の使用が必要なそれらを維持する為の物だと思われる、普通は数個セットで使用することから、これ1個での使用は無理だろう。

 3個目、10cm×35cmの長方形で厚さが10cmほどある、これも鉄?の箱だ。
 同じように、蓋にふれればピリッとした反応、そして開く。
 中は棺桶のように布に包まれているが、その色は青、そしてそれに包まれるように、青髪、青いワンピースのような衣装を着た身長30cmほどの少女、年齢で言うならば10歳前後か身長さえ考えなければ。

 「……セプト、だ」

 「マジかよ…てか、こんな中にあって平気なのか、こいつ」

 「恐らく、箱自体に封印の魔法が掛かっているのと、彼女自体はスリープモードの様子ですね」

 良彦とヴィータの言葉にカリムが箱を確認し、セプトを見ながら言ってくる。

 「あぁ、そうみたいだ…よし、起こすぞ」

 「おう、判った」

 良彦のそばから一応離れてもらい、セプトへ声を掛ける、ただし、使っているのは古代ベルカ語だ。

 『覚醒せよ、セプテントリオン、我はベシュテンバーグに連なる者』

 良彦の言葉に、青い魔力光を発しながら、瞳を開くセプテントリオン…開いた瞳の奥の色も青…ゆっくりと起き上がり、良彦へ向かい直る。

 『私を呼んだのは貴方ですか、小さき騎士よ』

 『あぁ、そうだ、我はベシュテンバーグの血を引く、清風の騎士八坂良彦…セプテントリオンの力を借りたい』

 『私は【風王】以外に力を貸す事は無い、それを知らない筈はなかろう?』

 その言葉に良彦は現状を説明して行く、古代ベルカ、セプトが稼働していた時から永い時間が過ぎ、その頃の【風王】は既に無く、血を引くのも直系では良彦だけであろう事を。
 それを聞いたセプトは

 『ならば王に相応しい力を示せ、清風の騎士よ…我が手を』

 言葉に従い、セプトの小さい手を取る。
 セプトと良彦、お互いからあふれ出す青い魔力光、どんどんとそれが強くなっていく。

 「大丈夫か、良彦!?」

 「騎士良彦っ!?」

 「良彦君!?」

 ヴィータ、シャッハ、カリムの声が響くなか、正視するのも辛いほどの光りが溢れ、そして風が吹く、二人を中心に舞う風は強く、弱く…そして、風も光りも収まって行く。

 『かつての【風王】と比べれば、いささか劣るが見事な風だ、いいだろう…清風の騎士八坂良彦、汝を我がロードと認める』

 その言葉に、汗をかき、荒い息の元で

 『助かるよセプテントリオン、後俺の事は良彦でいい』

 『そうか、ロード良彦、なら私もセプトと呼ぶと良い』

 『言葉は、後でおしえるな、この言葉はいま日常じゃ使わないからな』

 『うむ、頼むロード良彦』

 その場に居たのは皆古代ベルカ語を理解するものたちだったのでこの会話で、契約が成った事を理解したらしい。

 「おい良彦、だいじょぶなのか?」

 「えぇ、随分疲れてるみたいですけど」

 「私とシグナムと連戦した後のようですね」

 「あー、魔力と体力がかなりキツイ、でもセプトが協力してくれるってよ」

 「それは聞いててわかったっての、いきなりでびっくりしたろうが!」

 なみだ目で良彦の脛を蹴るヴィータ、それを見たセプトが

 『鉄槌の騎士ヴィータ、我がロードに何をしている』

 「って、あたしの事しってる??」

 「あ…リトの時代に合ってるはずだからな、一寸待ってろ」

 驚くヴィータに良彦が答えセプトに向かい、説明する、夜天の魔導書の事、守護騎士のことなどだ。
 セプトは驚くが夜天の魔導書の暴走についても、それにより国が滅んだ事も、戦国の時代何時滅んでもおかしくなかった事、それが戦争ではなかった事、国が滅ぶ覚悟は王にも自分にも既にあった事を伝えてきた。

 『あとな、俺とヴィータ…婚約してるから、あいつが俺に何かしてもあまりきにすんな、出来れば他の皆も含めて仲良くな』

 『…そうか、心得た、よろしく頼むぞ、鉄槌の騎士ヴィータ』

 『おう、よろしくな』

 それぞれ挨拶をして、カリムとシャッハも挨拶、現在のベルカ自治区の説明もしてくれた、また言語関係は以前リインフォースツヴァイの教育で使ったデータをセプトにインストールしてくれたので会話は現在のミッド語で可能になった。
 一旦カリムの執務室に移動し、一旦休憩…その間にセプトはヴィータやカリム、シャッハと色々話をしていた…し、その後六課隊舎へ帰還した。

 隊舎では皆驚き…アインは夜天の魔導書の事について謝ったが、ヴィータの時と同じ説明をされた…ツヴァイは驚きつつも、喜んでいた。
 セプトもツヴァイと言う同じ融合騎がいるのは嬉しいのか、仲良くなったらしい。

 新しい力、北風のセプテントリオン…簡単に使える力ではないが、その力はこの先頼りになる事は確実だろう。
 セプトの部屋は良彦とヴィータと一緒になり…さらにツヴァイの予備に用意してあった、バック型の部屋もセプト用に改造され準備されたのである。
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と言うわけで、最後のパワーアップフラグ…もう一人のオリキャラ…セプテントリオン事、セプト登場です。
ユニゾンでの実戦事態はもう暫く先ですが、模擬戦か、練習で一度は披露しようと思っています。

次回はギンガ、マリーが出張してきた六課の様子でも書きたいと思います。
 
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