| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

鉄槌と清風

作者:deburu
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

57部分:56:幾つもの攻防


56:幾つもの攻防

 陸士108部隊の教導をナカジマ三佐の好意により、中断し、飛行許可まで貰って新人達が地下を探索している廃棄区画の方へと急いでいる。

 「しっかし、女の子にレリックか、もう一個ありそうだってのも驚きだな」

 「あぁ、しかももうガジェットも出てきてるらしい、急ぐぞ、良彦、ツヴァイ」

 「はいです」

 ツヴァイとは途中で合流した、あちらも急いで向かっていたらしい。
 廃棄区画に近づく、部隊員に聞こえる念話で新人達が

 「(私達の目的はレリックの確保だから、此処は無駄に戦わずに、隙を見て引きましょう)」

 「(うん、レリックを取られないようにちゃんと守りながら)」

 と、言っている。

 「(おッしお前ら良い判断だ、あたしらがもう少しでつくから、しっかりレリック確保しとけよ)」

 「(あぁ、目の前の壁抜けりゃそこが現場だからな)」

 言ってる間に壁…実際には床だ…が迫る。

 「アイゼン!」

 『了解、ギガントフォーム』

 ヴィータのグラーフアイゼンのヘッド部分が巨大化し、それを振りかぶり一撃床を突き抜けて煙と共に突入、良彦とツヴァイも続く。
 驚く新人と、敵対勢力と思われる、少女、融合騎、亜人を視認。

 少女は紫の髪、黒を基調としたドレス風バリアジャケット、白いソックス黒い靴、手には大きな宝玉のついた恐らくデバイス。
 融合騎は赤い髪に露出の多い水着のような衣装、羽と尻尾が特徴的だ。
 亜人は黒い肌に額に1つ、左右に2つずつ目のような器官を持っている人型で全身が甲冑のようにも見える上に尻尾を持ち、マフラーのような布を首に巻いている。

 「捕らえ、凍てつく足枷…フリーレンフェッセルン!」

 素早く一緒に居た少女と融合騎にツヴァイが氷の拘束魔法を唱え、小さな氷山を作り出す。

 「ふっとべー!」

 ギガントフォームのアイゼンを振りかぶったヴィータが亜人と激突、一瞬の拮抗、其処へ。

 「ゼピュロス、モードツヴァイ」

 『了解…モードエウロス』

 普段の籠手の肘辺りに噴射口が出来る

 「押し込めッ!」

 『了解、炸裂する嵐』

 轟っという噴射音と共に拳打が加速され、アイゼンの後側、亜人と反対を殴りつければ…二重の衝撃に亜人が吹き飛び、柱をおりつつ壁にめり込んでいった。

 「おっし、皆無事か?」

 「他に敵とか残ってるか?」

 「皆さん大丈夫ですか?」

 良彦、ヴィータ、ツヴァイの声に、驚きと困惑をしつつも頷く新人4人とギンガ。
 ギンガは捜査中、発見された少女が入っていたらしい生体ポッドを見つけ、此方の事件とリンクしていると考え協力してくれたらしい。
 白のアンダーに紫と黒のジャケット、鉄色の胸当てに脚甲、リボルバーナックルとマッハキャリバーの姉妹機ブリッツキャリバーを装備している。

 「とりあえずは今居た相手だけですけど」

 「…つっても、今の奴逃げたッぽいな、気配がねーし」

 「あぁ、今確認したけどあの奥にはもういねー」

 「こっちもです」

 氷山を消せば床に穴が開いている。

 「ったく、ってこれは?」

 突然辺りを揺れが襲う

 「やべーな、ギンガ、スバル道を作って皆上がれ、こっちは後から追いつく」

 「はい、スバル」

 「うんギン姉」

 スバルがウィングロードを地面から天井、ヴィータ達が入ってきた穴へ螺旋状に作り出し登り出す。
 その奥でティアナとキャロがなにやらごそごそしていたが、急いで登っていった。
 殿はギンガだ、4人が上がるのを確認し、ウィングロードを上がって行く。

 「おっしあたしらもいくぞ」

 「おう、急ぐぞ」

 「はいです」

 ヴィータ、良彦、ツヴァイはそのまま穴から飛び出す、間一髪崩落には巻き込まれなかった。

 外では大型の召喚獣らしき虫が地面を揺らしていた、あれが地震の原因だろう。
 その近くのビルの屋上に召喚者らしき少女と融合騎がそのようすを見ている。

 融合騎は慌てている様子なので、少女が単独でやらせたのだろう。
 亜人のほうは既に姿が見えないのはダメージが大きかったから少女が送還したのかもしれない。

 そして、新人メンバーと少女、融合騎の追いかけっこが始まる。
 融合騎は少女をルールーとよび、少女は融合騎をアギトと呼んでいるようだ。

 人数の差、機動力の差で廃棄予定の高速道路上で二人を補足、バインドと手錠を掛け、相手の権利を告げていると、少女が小さくヴィータに何か呟く。
 良く聞こうと良彦が近づくと、その間に何者かがエリオが持っていたレリックのケースを道路の下から手を伸ばし奪い取る、そして少女は

 「貴女はまた、何も守れないかもね」

 とヴィータへ告げる、それに対して

 「何だと、てめえ、まさかっ」

 と、少女へ詰め寄り、そこに隙が出来る。

 「いっただきー」

 と言いながら飛び出す何者か、だが

 「いや、そりゃ無理だわ」

 良彦の声と共に飛び出した少女の腕が握られ、飛び出した勢いをそのまま利用され、投げられる…更に良彦は今この少女が道路をすり抜けるように現れたことに気付いていた。
 その為、叩きつけられるのは、地面に作られた青いシールドの上だ…シスターシャッハもめちゃくちゃな場所から現れるのでこういう相手にもなれてしまってる良彦である。

 叩きつけられた少女は水色の髪ヘッドセットのような物と、青と藍色の身体の線が判るスーツ、肩、腰、手首足首にハードシェルの装甲がある、そんなカッコだ。
 叩きつけられると同時、青い魔力光と風に動きを止められる、良彦の『風鎖』だ。

 「レリック持って、こっちも助けようとは、贅沢だったな」

 「って、何であれに反応しきれるの?」

 「慣れだな、地面の中高速移動されて後ろから殴られた事が何度もある」

 「えぇぇぇー、そんな人がいるとかありえないっしょ」

 「だが、こうして捕まってる以上ありえたんだよ」

 少女の言葉に良彦が答え、バインドを複数にしている。
 ヴィータはルールーと呼ばれていた少女に突っかかった後、ウィンドを開きロングアーチに色々な確認を取ったらしい。

 それに寄れば、地下に居た以外にⅡ型ガジェットが大量に空に現れたため、なのは、フェイトが迎撃に出たこと。
 倒しても倒しても幻影と実機で編成された編隊を潰すのに時間が掛かると判断したはやてが、リミッター解除、遠距離から広域殲滅した事。

 その後ヘリにも砲撃を加えられたが、はやての攻撃の為ヘリの方へ戻ってきていたなのはがぎりぎりで防御成功したこと。
 砲撃の犯人をデアボリックエミッションでノックアウトしようとしたがどうやら逃げ切られたようだという事。

 そして、此方の状況も伝える、ルールーと呼ばれた少女、アギトと呼ばれた融合騎、水色の髪の少女…首元にⅥという数字が入っている。
 それらを確保した事、レリックを奪われ…それを言おうとした所で

 「あの、レリックなんですけど」

 「いま、連絡中だ待ってろ」

 ティアナが何か言おうとして、止められる。

 「どうしたんだ、俺が聞いとくけど」

 「あ、はい…その一寸レリックに細工しまして」

 そういうとキャロの帽子を取れば、そこには一輪の花…それが次の瞬間レリックへと変化する。

 「フェイクシルエットで姿を変えて、一番敵と接触の少ないキャロの帽子の中に」

 「もちろん封印は厳重にしてあります!」

 恐る恐る言うティアナに、気合十分のキャロ。
 ヴィータもツヴァイもそれを見て気が抜けたのか、驚いてなのか、溜息をついて無言。

 「ということで、レリックも確保できたらしいぞ、箱は他に人居たらそっちが持ってたかもだけどな」

 そんな連絡をして、ヘリに迎えに来てもらった。
 青髪の子は無機物をすり抜けるようなので、常にバインド状態のままだ。

 こうして、謎の少女の保護から端を発したこの一件は、3人の逮捕者を出して一度幕を下ろす。
 
 アギトと呼ばれた融合騎を見た時から良彦の中でリトの記憶が騒いでいる、新しいことを思い出していた。
************************************************
新人の活躍はほぼはしょられています、ヴィータ参上から、ルールー、アギト、セイン逮捕です。
良彦の特製上、あの程度の速度とセインのISでは不意を討てません…シスターシャッハで速度と何処から来るか判らない移動系の恐さを知っている、『凪』による探知がある、此処らへんから無理と考えました。
トーレの速度なら、流石に不意は討てたと思いますが、この時点ではクァットロとディエチを助けているので此方は無理でしょう、なので一時逮捕です。

次回は、良彦最後のパワーアップフラグを回収します。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧