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ヘタリア大帝国

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TURN123 モンゴメリーの決意その十一

「そうしてみるか」
「そうね、それもいいかもね」
「アフリカ文化への研究にもなる」
 この狙いもあった、レーティアはここでも学者の顔を見せる。
「是非な」
「じゃあアンドロメダ戦の後にでも?」
「そうしてみるか」
 こうした話もしながらだった、レーティアもまたアンドロメダ戦の準備にかかっていた。エイリス最後の植民地で双方の意地をかけた戦いがはじまろうとしていた。
 だがその頃枢軸諸国がアンドロメダの次の戦略目標としているイタリンはというと。
 ドクツ軍の将兵達は防衛ラインを必死に施設していた、だが。
 イタリン軍は違っていた、ポルコ族の面々は呑気にシェスタを楽しんでいた。その前に美味しい食事とワインを忘れていない。
 酒に酔ったついでに幸せそうに寝ている彼等を見てだ、ドクツ軍の将兵達はやれやれといった顔で話していた。
「全くなあ」
「緊張感の欠片もないな」
「暢気にも程度がある」
「どうしたものだ」
「相変わらずだな」
 こう言うのだった、昼寝をする彼等を見て。
 しかし悪い気はしない、指揮官であるプロイセン妹も笑ってこんなことを言う。
「イタリンはこうでないとね」
「イタリンらしくないですね」
「本当に」
「寝たいのなら寝かせておいてな」
 これで済ませるのだった。
「あたし達だけで防衛ラインを敷こうな」
「はい、わかりました」
「それでは」
 これで話を終わらせるのだった、そしてプロイセン妹と共にいるドイツ妹もやれやれといった顔でありながら自軍の将兵達にこう告げていた。
「私達だけでやっていくわ」
「イタリン軍はですね」
「あのままですね」
「ええ、寝かせておいてね」
 兄以上に優しかった、ドイツ妹は。
「そうしておきましょう」
「そうですね。折角気持ちよさそうに寝てますし」
「起こすのも悪いですね」
「逆に真面目に働くイタリン軍というのも怖いですし」
「あれでいいですね」
「じゃあそういうことで」
 本当にのどかだった、イタリア妹とロマーノ妹にしても。
 ムッチリーニ達はいないがそれでも自分達の家でパスタやピザ、ワインを楽しみながらこんなことを話していた。
「もうすぐ兄貴達が戻って来るね」
「ああ、そうみたいだね」
 ロマーノ妹はイタリア妹の言葉に昼食のワインを飲みながら応える。
「統領さん達も」
「ユーリさんも元気そうだよ」
 そうだとだ、こう返すイタリア妹だった。
「活躍してるってね」
「ああ、それはよかったね」
「何かあたし達連合国でもあまり変わらないね」
「そうだね」
 鞍替えしてもあまり変わっていないのは確かだった。
「普通にね、だから統領さん達もね」
「戻ってくればね」 
 それでだというのだ。
「終わりだね」
「統領さんに返り咲きだよ」
 極めてあっさりとそうなるというのだ、実際ムッチリーニ達は軟禁されていても別にどうでもいいという扱いだった。
「それでね」
「そうだね、けれど戻ってきたら」
「その時はだね」
「帰還祝いのパーティーしようね」
「兄貴達についてもね」
 こうした話を明るくするだけだった、しかものどかに。
 イタリンは至って平和だった、まるで戦争なぞ起こってはいない様に。ただイタリアやムッチリーニ達の帰還は待たれていた。
 それでだ、イタリア妹はロマーノ妹にこんなことも言った。
「ジェラートだけれどね」
「とっておきのを出すんだね」
「そう考えてるけれどどうかな」
 赤ワインと共にデザートのジェラートを食べながら問うた言葉だ。
「それで」
「いいんじゃないの?それで」
 ロマーノ妹は特に反対することなくイタリア妹の言葉に応えた。見ればロマーノ妹もジェラートを食べている。どちらもバニラだ。
「兄貴達も帰って来るしね」
「そうだね、それじゃあね」
「ただ、かなりの数が来るみたいだから」
 このイタリンにだ。
「用意する量は多くなるよ」
「ああ、そうだね」
 イタリア妹はロマーノ妹のその言葉にも応えた。
「それはね」
「それでもいいよな」
「悪い筈ないじゃないよ、皆戻って来てまた楽しくやれるんだからさ」
 その祝いなら、というのだ。
「出さないとな」
「そうだね、じゃあね」
「その時が楽しみだよ」
「全くだね」
 こうしたことを話すイタリン妹とロマーノ妹だった、二人もまたこれからのことを考えていた、その内容は呑気なものであるが。


TURN123   完


                        2013・7・11 
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