俺が魔王の息子ってマジですか!?
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
12話 住む場所が決まりました。
ー紅蓮視点ー
「そこの若者。少しよろしいかの?」
新しい生活への第一歩を踏み出そうとした時、スーツを着たお爺さんと
高校生くらいの女の子と一緒に居る、着物を着たお爺さんに呼び止められた。
なんだろう?もしかして、道を聞きたいのだろうか?
「なに、少し話が聞きたいだけじゃ。時間はそんなに取らせん」
「……いいだろう」
どうやら、このお爺さんは俺と話がしたいらしい。
もしかして、ここでは言えない事なのだろうか?
断ろうかと考えた俺だが、NOとはいえない元日本人なオイラは大人しく、お爺さん
に了解の返事をした。
それにしてもお爺さんの後ろにいる女の子よ、俺を見てビクビクしないで欲しい。
俺が何かしましたか?俺という存在がそんなに嫌ですか?
土下座でも何でもしますから、目線が合うたびに涙目にならないでください。
「それでは、付いて来なさい」
心の中で、女の子に土下座していると、お爺さんがついて来いと言って
歩き出した。
20分後
お爺さんの案内の下、ある場所に辿り着いた俺。
その場所とは……
「では、神社の裏にある道場で話そう。付いて来なさい」
お爺さんが言ったように神社だった。
え?マジッスか?俺、悪魔なんだけど……。
宗教的にいいのか?
そんな事を考えながら、お爺さんの後ろをついていく。
「ここじゃ、中に座布団があるので使いなさい」
神社の後ろにある、道場に入り、座布団を敷いて座る。
さて、一体何の話をするのだろうか?
「さて、悪魔の青年よ。人間界に何しに来た?」
真っ直ぐ、俺の瞳を見て質問するお爺さん。
え?もしかしてバレた?何故?
内心で戸惑っていると、お爺さんがニヤっと笑う。
「ふむ、どうしてバレたか不思議に思っている様子じゃの。
なに、簡単な事じゃ、お主が転送玉に使った魔力を感じ取った
だけじゃ。」
「……そうか」
なんとなく理解した。つまりこのお爺さんは陰陽師的な
人で、俺の魔力を感じ取ったと……。
あれ?もしかして俺、かなり不味い?
俺、退治される?
ここは逃げたほうが……。
そう思った俺は、逃走魔法を発動させようと右手に魔力を込める。
「まあ、落ち着きなさい。こちらに戦闘の意思はない、話が聞きたいだけじゃ」
「……」
どうやら、お爺さんの目的は俺を退治する事ではないらしい。
もしかして、悪い悪魔か良い悪魔かを自分の目で確かめる為に呼んだのか?
だったら、悪い事をしてしまった。
右手に集まった魔力を引っ込めて、頭を下げる。
「誤解した、すまなかった」
「「ほう」」
「……」
頭を下げると、珍しいものを見たという感じの反応をする三人。
そんなに珍しいか?
その後、俺が人間界に来た理由を簡単に説明。
ちなみに、家出ではなく、社会勉強と伝えておいた。
家出とは恥ずかしくていえない。
「そうか……、それじゃあ社会勉強が終わるまでここに居なさい。
もちろん家の手伝いもしてもらうがの」
「ん?」
「それは面白いな一刀斎、ついでにワシが経営している学校に通うといい。
もちろん学費はタダ、留学生という形で編入してもらおう」
「は?」
こうしてNOと言えない日本人……ではなく、悪魔の俺は、二人のお爺さんの提案を
了承し、邦枝一刀斎さんの家に居候しつつ、聖石矢魔学園の3年生として
通うことになった。
まあ、住む場所が決まったうえ、学校に通えるんだし、結果的にはよかったのか?
ー樫野(かしの)諫冬(いさふゆ)ー視点
現在私は、親友である邦枝葵ちゃんの代わりに、光太くん(1歳)の世話をするために
葵ちゃんの家にお泊りをしています。
お泊りの理由は、葵ちゃんがお友達と遠征に行ってしまうので、『帰ってくるまで光太をお願い』と
電話で頼まれたからです。
それで、お泊り二日目の今日、光太くんのオムツを買いに商店街に来たのですが……。
悪魔が居ました。
私が今まで祓ってきた悪魔が子供か小動物なのではないかと思うほど
強い悪魔が、商店街を走って居たのです。
何か起こるのではないかと思った私は、近くの公衆電話から
葵ちゃんのお爺さんである一刀斎さんに来てもらうように連絡しました。
10分後
一刀斎さんと助っ人に来たという石動源磨(いするぎ げんま)さんと
合流した私は、どんな特徴だったかをお二人に説明し、三人で悪魔の気配を辿った。
しばらく歩いていると、コンビニから強い悪魔の気配を感じたのですが……。
「「諫冬。本当にあれか?」」
「はい。間違いないのですが……」
お二人も気配を感じ取り、コンビニを睨みつけていたのですが、目的の悪魔が
人助けをしているのです。
私の悪魔のイメージが壊れそうです……。
それから、しばらく監視をするのですが、普通に買い物をして
普通に空を眺めながらジュースを飲むだけ。
「ふむ……。少し話して見ようかの」
「そうじゃな」
無害そうな悪魔を見て、お二人が悪魔に話しかけに向かいました。
私もお二人の後ろを付いて行く。
何時でもお二人の援護が出来るように……。
「そこの若者。少しよろしいかの?」
一刀斎さんが話掛けると、悪魔がこちらに振り向きます。
正直とても怖いです。
「なに、少し話が聞きたいだけじゃ。時間はそんなに取らせん」
「……いいだろう」
悪魔が一刀斎さんの話を了承しました。
しかし、ゆだんは禁物です。
相手は強大な悪魔、いつ襲われるかわかりません。
私は何時襲われるかわからない恐怖に怯えながら
列の一番後ろを付いて行く。
それから、葵ちゃんの家の道場で話をする事になり、一応戦力である私も
もしもの時のために一刀斎さんの後ろで参加しているのですが……。
正直な気持ち、戦いにならない事を祈ります。
「さて、悪魔の青年よ。人間界に何しに来た?」
一刀斎さんの一言で、悪魔は一刀斎さんを睨みつけます←(本当は動揺しているだけ)
こ、怖いです。
「ふむ、どうしてバレたか不思議に思っている様子じゃの。
なに、簡単な事じゃ、お主が転送玉に使った魔力を感じ取った
だけじゃ。」
「……そうか」
悪魔が一刀斎さんに一言漏らすと、凄まじい魔力が悪魔の右手に集中します。
そんな!まさかここまで桁違いなんて!!
おそらく、あの桁違いの力で私達を……。
「まあ、落ち着きなさい。こちらに戦闘の意思はない、話が聞きたいだけじゃ」
「……」
私が最悪未来を想像していると、一刀斎さんの一言で悪魔の魔力が消える。
そして……。
「誤解した、すまなかった」
「「ほう」」
「……」
冷酷で、災いを呼ぶはずの悪魔が私達に頭を下げた。
彼は本当に悪魔なのだろうか?
それとも私達を騙して、何かを企んでいるのだろうか?
一応人間界に来た目的を、話していたけど本当なのかわからない。
そして、話し合いの末、悪魔はお二人の監視下に置かれる事になった。
私も見極めよう。
彼がいい悪魔なのか?私のイメージ通りの悪魔なのかを。
こうして、私の短く、奇妙な生活が始まった。
ページ上へ戻る