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ヘタリア大帝国

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TURN122 砂嵐の中でその十

「彼の攻撃だな」
「その結果ですね」
「その通りだ、敵ながら見事だ」
「沈むことはありませんが」
「動けなくなったな」
「エンジンにダメージを受けました」
 その結果だ、動けなくなったというのだ。
「こうなっては」
「動けない艦はただの砲座だ」
 攻撃出来るだけだ、それだけに過ぎないというのだ。
「何の戦力もない。後は動く的だけだ」
「それでは」
「全軍オークに構わず撤退しろ」
 モンゴメリーは後詰の全軍に告げた。
「そしてだ」
「そして。ですね」
「オークの乗員達も総員退艦だ」
 そうしろというのだ。
「艦長、君もだ」
「私もですか」
「そうだ、撤退するのだ」 
 そうしろというのだ。
「私はオークに残ろう」
「では司令は」
「安心してくれ、自害はしない」
 微笑んでだ、モンゴメリーは艦長に答えた。
「そのことはな」
「では」
「枢軸軍に投降しよう」
 彼等にだというのだ。
「それではな」
「わかりました、それでは」
 艦長は微笑みだ、こうモンゴメリーに言った。
「私も枢軸軍の捕虜になりましょう」
「私もです」
「私も」
 艦長に続いて他の乗員達もだ、次々に答えてきた。
 見れば一人も退艦しようとしない、彼等は皆艦長と同じく微笑んでそのうえでモンゴメリーに対して言った。
「司令と共に」
「最後までいさせて下さい」
「そうしていいのかね?枢軸軍は個性的な顔触ればかりだが」
「ええ、本当に」
「色々な人材がいる様ですね」
「それでもいいのだな」
 モンゴメリーは余裕はあるがそれでも問いかける顔で彼等に言った。
「私と共にいても」
「はい、是非共」
「そうさせて下さい」
「ではだ、諸君がそこまで言うのならだ」
 それならとだ、モンゴメリーも頷くしかなかった。
 それでだ、オークはモンゴメリーも乗員達も皆枢軸軍に投降した。だがオークが枢軸軍の注意を引きつけているうちにだった。
 後詰の軍勢は務めを果たしアンドロメダまで撤退していた、モンゴメリーはイギリス妹に約束した通り務めは果した。
 そのうえで捕虜として東郷に会う、そしてそこでだった。
 ネルソン、そしてマリーとも会った。二人も東郷と共にいた。わざわざケニアから日本に連れて来てもらったのだ。
 そのうえで二人の話を聞いてだ、こう言うのだった。
「ネルソン、卿は多くの素晴らしいものを観たな」
「はい」
 その通りだとだ、ネルソンはモンゴメリーに礼儀正しく答えた。
「今の太平洋、インド洋は見違えるまでです」
「我々の植民地だった頃と比べてだな」
「はい、全く違います」
 そうだというのだ。
「一度御覧になられれば」
「ふむ、そうか」
「それから決めてみる?」
 マリーもモンゴメリーに対して言う。 
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