鉄槌と清風
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52部分:51:ホテルアグスタ襲撃
51:ホテルアグスタ襲撃
ホテルアグスタのオークション警備、前日入りした4人…良彦、ヴィータ、シグナム、リインフォースアイン…と後発組みが合流。
後発組みは、部隊長はやてに、なのは、フェイトの隊長陣、シャマル、ザフィーラ、リインフォースツヴァイ、それに新人4人…ティアナ、スバル、エリオ、キャロ…だ。
合流後、隊長陣はドレスアップして会場警備のためホテルの中へ、他は打ち合わせに従ってホテル各所と外周部に分かれる。
外周はウィンドが担当なので、良彦とアインが一緒に廻っている。
「ふむ、しっかし本当にガジェット来るのかね」
「判らないからこその警備だと思うが、マスターは不満が?」
「いや、不満は無いが制服を脱ぎたい」
「却下です」
白い耳をピコピコ動かしながら一言で会話を終わらせるアイン。
「さいですか…ま、ガジェット程度ならいくらでもって感じ何だが」
苦笑しつつ、巡回を続けていると、屋上のシャマルと六課隊舎のロングアーチ…司令室だ…から緊急連絡。
『ガジェットの反応を感知、距離はまだあるけど、結構多いわね』
『ロングアーチから各員、ガジェットⅠ型多数と、Ⅲ型が数機接近中です』
連絡を受け、はやてが指示を出し始める。
『シグナムとヴィータ、ザフィーラ、アイン、良彦隊長は先に出て数へらしや、フォワードメンバーは所定位置に移動、抜けてきたら倒してや』
「了解、んじゃ、俺とシグナムはⅢ型メインだな」
ホテルアグスタの周囲は森に囲まれている、この状況でⅠ型の多さとサイズを考えると、基本1対1メインの良彦とシグナムは自然と大物狙いになってくる。
また、アインは蒐集した魔法をほとんど失ってはいたが、はやての夜天の書から幾つかの魔法を覚えなおしている…良彦とは違い、オールラウンドに戦える資質を持っていた。
「では、マスター…いきますか」
「おう、ゼピュロス、セットアップ」
『了解、セットアップ』
良彦が青の魔力光りに包まれ、青いジャケットにズボン、両手に無骨な籠手の騎士甲冑姿に変わる。
アインは濃い紫の魔力光に包まれた後、黒の袖なし、ミニスカートのワンピースに黒の指貫グローブ、右足だけ太腿まである黒いソックス、そして背中に4枚の黒い翼を持つ姿へと変じている。
青と濃い紫の魔力光を引きながら、空へ上がる、ホテルから飛び出してきた赤と紫、藍白の魔力光…ヴィータとシグナム、ザフィーラ…と合流し、5人が空を翔けて行く。
「んじゃ、予定通りいくか…ガジェットとはいえ一応気をつけろよ」
「そりゃこっちの台詞だっつの、Ⅲ型相手何だからな、おめえは」
「機械任せの単純な攻撃でやられねーって」
「とはいえ、戦場では万が一がある油断はするなよ、皆」
「ああ」
「えぇ、シグナムの言うとおりですマスター」
「判ってるよ、痛いほどな…おっし、新人の出番なくす勢いでいこうぜ」
4人に言われ苦笑しながら返し、一転気合を入れなおして宣言する。
「だな、あそこまで通さねぇっていう勢いでいくか」
並んで飛びながら、いつもの用に拳同士を打ち合わせる良彦とヴィータ。
「お前たちは過保護だな、全く」
「似た物夫婦ですからね」
シグナム、アインが苦笑し
「が、気持ちも判らないでも無い、な」
ザフィーラが静かに一言付け加える…恐らく此処にいる5人がそう思っているだろう事を。
「おっし、ならいくかっ!」
「おうっ!」
その掛け声と共に、それぞれが目標に対し向きを変える。
シグナムと良彦は、Ⅲ型の進行予想位置に、ヴィータ、ザフィーラ、アインはⅠ型の密集している場所へと。
途中でシグナムとも別れ、Ⅲ型の一機へと向かう。
目前には良彦の倍以上あるサイズのⅢ型…相変わらず、コード状の触腕とベルトコンベアのような太い触腕が見える。
相手センサーに捕らえられたのか、三つ目のような発振口から、光学兵器が放たれる…それをシールドで弾き、一気に距離をつめる。
「相変わらず、サイズだけで発見から反応が遅いっ」
空を翔け、太い触腕を『弾き』ながら、その内側へ…勢いを殺さず、指を真っ直ぐ揃え、魔力と風を纏った貫き手をⅢ型の中心へ打ち込む…練られていた風が刃となり。
「風拳・一刃」
Ⅲ型を貫き、身体を捻ればその勢いでⅢ型が裂け、爆発…一瞬早く後退し、次の相手を探す。
数回の攻防、報告を聞いている限りでは、Ⅰ型もⅢ型も数を減らしているらしい…が、次の瞬間。
『誰かが近くで召喚を使ってます!』
という、キャロの全体連絡、ロングアーチからも
『反応確認、魔力反応…大きい』
更に次の瞬間、Ⅲ型の動きが変わる…先ほどまでの機械任せの単純な動きから、意志を感じる動きへと。
同じように繰り返していた倒し方に反応され、防御から反撃を受ける…意志を感じた段階で回避行動に移っていたため、直撃は避けられた。
一旦上に上がり、シグナム、ヴィータと合流する、比較的近くで戦っていたようだ。
「どうおもうよ?」
「動きがよくなったな、召喚で何か変わったか?」
「自動だったのが、手動になった感じだな、これ」
良彦の問いにシグナム、ヴィータが答える。
「要するに、一寸動きがよくなったって事だろなら、それに合わせてぶっつぶしゃ」
「まて、あれは」
ヴィータがもう一度攻撃しようとしたのをシグナムが止める。
見ればガジェットの下に魔法陣、キャロの召喚と同じだが魔力光が紫だ。
「召喚…まさか」
良彦の言葉に、ロングアーチから通信。
『召喚反応多数、ホテル近辺です…ガジェットが転移してきます』
「召喚で送り込んだのか」
「ヴィータ、良彦、残りは此方で処理する、新人の援護に」
「わーった」
「了解だ」
シグナムの言葉に、青と赤の魔力光が其処を離れて行く。
「特急だ、つかまれヴィータ」
「あいよ、頼む」
二人の手が繋がれ、青と赤の魔力光が一つになる。
「ゼピュロス、一寸距離あるけど…いくぞ」
『了解…貫き』
バシュバシュッと2発カートリッジロードし、高速移動へ、風の結界が良彦とヴィータを包み込み、その中で抱き合い、身体を密着させ、速度を上げて行く。
その間も、新人達のほうは苦戦しているらしい、通信からはティアナとスバルが前に出てコンビネーションアタックを掛けるようだ。
大量のⅠ型を周りに集め、ウィングロードで疾走するスバル、ティアナが4発カートリッジをロードし、クロスファイアシュートのスフィアを形成している。
「やばいな…ヴィータ!」
「任せろ!」
短いやり取りから、良彦は風の結界からヴィータを押し出し…2発カートリッジロード。
「風拳・烈風!」
押し出したヴィータの背中を押すように強い風を纏った拳を振りぬく…その風を受け、ヴィータは加速し
「アイゼン!」
『フェアーテ』
ヴィータの足元に赤い魔力光が渦を作り巻きつけば、加速は更に上がる。
クロスファイアシュートシュートが放たれ、Ⅰ型が打ち落とされる中、それた魔力弾がスバルへ迫る…その魔力弾をヴィータがアイゼンで打ち返し、地面へたたきつける。
「このばかっ、なにやってんだ!」
「あ、あぁ…」
「ヴィータ副隊長今のは…」
「うっせぇ、今は言い訳聞いてる時間じゃねー、後下がってろ!」
「はぁ、此処は俺らがやっとくから、な」
良彦も後から降りてきて、スバルの肩を叩く。
「はい」
「……」
スバルは小さく頷き、ティアナは無言のまま一緒に下がって行く。
「ってと、んじゃさっさと潰すか」
「だな、後でなのはとはなさねーといけねーし」
ヴィータがシュワルベフリーゲンでⅠ型を落とし、良彦がⅢ型を打ち倒していく。
エリオ、キャロもそれぞれの受け持ちを倒しきり、どうやらガジェットの襲撃は収まったらしい。
暫く後、ホテル内部で遅れていたオークションが開始され、無事に終わったらしい。
ガジェットの残骸を調査していると、久しぶりに見る顔がなのはと歩いていた。
「なんだ、ユーノじゃねーか、来てたのか?」
「ん…ヨシヒコじゃないか、久しぶりだね、元気かい?」
「おう、ってかこんな所でデートか?」
「ち、ちがうって、アコーズ査察官に頼まれて護衛してくれてるんだよ」
「仕事中だからさすがにね、それは無いよ」
慌てて否定するユーノと苦笑するなのは。
「ヴェロッサも来てるのか、後で挨拶しとくか」
そういって、二人と別れ、ヴィータの方へ。
「良彦、ティアナだけどよ」
「あぁ、随分焦ってたな…前からやばそうな感じはあったけど根が深そうだ」
「だよな…なんか合ったのか、アイツ」
「俺は聞いてねーけど、はやてなら何か知ってるだろうな、今度聞くか」
「ん…ま、とりあえず今は此処の引継ぎだな」
「あぁ、さっさと終わらせるぞ」
六課から来た調査員に、細かい事を報告し、ヴァイスが操縦するヘリで隊舎へと戻った。
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『貫き』の結界内に入れば一緒に高速移動も可能ですが、良彦が小さいのであんまりサイズが違うと魔力消費が多くなる為、使う相手はヴィータくらいでしょう。
次回は、魔王降臨?辺りのお話です。
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