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モダンな悪魔

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第七章

「俺にしてもな」
「その黒い吹雪に触れたら石になるんだな」
「RPGに出て来る石化ブレスだな」
「そうだよ、わかりやすく言うとそれだよ」
 まさにだ、石化ブレスそのものだというのだ。
「俺の吐く息はこうなるんだよ」
「成程なあ、悪魔らしいな」
「やっとそう思えてきたよ」
「それでな」
「それで?」
「それでっていうと?」
「こういうことも出来るからな」
 こう言ってだ、悪魔はその石になった菫をさっと振った。すると。
 その菫は元に戻った、それでこうも言った。
「石になっても俺が戻れって言ったら戻るんだよ」
「そこんところ完全に魔力だな」
「悪魔だな」
「だろ?じゃあ次はな」
 波に乗ってきたのか悪魔は犬の右の前足で足元をとんと叩いた、すると。
 また姿が変わった、今度の姿はというと。
 黒く長い髪と目を持つ天使だった、翼は一対だがその色は漆黒だ。
 しかも着ている服は十八世紀のプロイセン軍の黒いものだ、その姿になって言うのである。
「服は最初は天使の服だったんだけれどな」
「その黒い軍服に替えたんだな」
「そうしたのか」
「ああ、これが俺の本来の姿だよ」
 何処か退廃的な美青年の顔で微笑んで言う。
「結構な男前だろ」
「まあな、今度はギター持ってそうだな」
「ロッカーみたいだな」
「ははは、ロッカーか」 
 少年達にこう言われてまた笑う悪魔だった。
「そいつはいい、まあこういうことだ」
「あんたは紛れもなく悪魔か」
「天界から堕ちた」
「その時メタトロンに散々やられたよ」
 とにかく打ちのめされたというのだ。
「それで魔界に堕ちてな」
「今に至るのか」
「そうだよ、まあ今は魔界でそれなりに楽しくやってるさ」
 そこでの生活に満足しているというのだ。
「ビールとか飲みながらな」
「痛風になるなよ」
「だから最近ビールよりもワインなんだよ」
 そっちの方をよく飲んでいるというのだ。
「いや、あれも美味いな」
「それで楽しんでいるのか」
「そうだよ、それでな」
「それで?」
「信じてくれたな、これで」
 自分が悪魔だということをだ、少年達にこのことを確認したのだ。
「やっと」
「ああ、やっとな」
「ここまで見てな」
「信じられたよ」
「本当にやっとな」 
 少年達もそうだと応える、そしてだった。 
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