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鉄槌と清風

作者:deburu
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48部分:47:ファーストアラート


47:ファーストアラート

 スバル、エリオと軽い模擬戦をしてから数日、チラッと聞いた所によると、新人達に実戦用のデバイスを支給する事に決めたらしい。
 スバルのローラーブーツと、ティアナのアンカーガンが稼働限界に近く、4人の実力もデバイスに振り回されないだろうと言う判断からだとか。
 それでも何段階かのリミッターは掛かっているらしいが。

 機動六課の執務室、多くの部隊員の机が並んでいる一角。

 「んで、そんなに書類が多いのか?」

 「そうだよ、ちゃんと出しとかねーと後で問題になんだろ、つか手あいてんなら手伝えよ」

 「いいけど、最終確認はしてくれよ、後バニラな」

 「わーった、ほれこの分頼む」

 覗き込んでいたヴィータの隣に座り、送られた書類を処理し始める。

 「エリオとキャロは、基本モードだけだったのを第一段階に、か…4人とも大事にされてるな」

 「おまえとかなのはっていう前例があっかんな、いきなり全力でつかわせねーんだよ」

 「制御しきれない力は、あぶねーってか」

 「そういう事だ…あん時だって、一歩間違ったらもっとやばかったんだぞ」

 「判ってるよ、でも同じ事になったら同じ事すると思うぞ」

 「しなかったら良彦かどうか疑うな、うん」

 「ま、あんまり心配かけねーようにはするけどな」

 「そうしろ、こっちの心臓にわりー」

 そんな会話をしつつ、多くあった書類も無くなっていく。

 「これで終わりか、んー…少し休憩すっか?」

 「ん、そうだなー…あんがとな、助かった」

 二人ともウィンドウを閉じて、たちあがり、部屋を出て行く。
 部屋を出て少し歩けば、休憩スペースだ、良彦が飲み物を購入して、一本をヴィータへ放る。

 「ミルクティでよかったよな」

 「あぁ、あんがとな…ふぅ」

 受け取ったミルクティを開けて一口飲んで、一息。

 「あっちはもう受け取った頃かね」

 「だろうな、シャーリーが一寸前に嬉しそうに出てったしな」

 「あぁ、説明役には一番だろうからな」

 「そういうこった…楽しそうに作ってたかんな」

 顔を見合わせて、苦笑、そうしていると…。
 隊舎内に警報音が響き渡り、辺りにアラートのウィンドウが開く。
 良彦とヴィータの隣にもウィンドウが開き、はやてが映る。

 「警報?、どうしたんだ?」

 『ちょおごめんな、聖王教会で追ってたレリックが乗った列車にガジェットドローンが集まってきて、列車が暴走してるんや』

 「それで、どうするんだはやて?」

 『新人となのはちゃん、フェイトちゃんが現場に向かうんやけど、良彦君もバックアップで行ったげて貰えるかな?』

 「俺は良いぞ、ヘリだよな、上に向かうわ」

 「あたしはどうするんだ?」

 『ヴィータは隊舎で待機や、他に何か起こった時手が足らんと困るからな』

 「あいよ…んじゃ、きっちりぶっ潰して来いよ良彦」

 「あいあい、お前の分まで、だろ」

 「とーぜん、判ってんじゃねーか」

 こつんと拳をぶつけ合い、良彦は屋上へ、ヴィータは指揮室へ走る。




 武装ヘリに乗り込んだのは、良彦、なのは、リインフォースツヴァイ、スバル、ティアナ、エリオ、キャロ、フリード、操縦はヴァイス陸曹だ。
 新人が椅子に座っている中、なのはと良彦はたったままで、作戦概要を説明している。

 「車両は完全にガジェットドローンに乗っ取られて暴走してるです、前後から乗り込んでガジェットドローンを殲滅、制御を取り戻すの事と、レリックの確保が任務になるですよ」

 「そうすっと、スターズとライトニングで前後か?」

 「そうだね、私が」

 なのはが言おうとした瞬間

 『報告、上空にガジェット反応、新型の航空型、多数です』

 それを聞いてなのはが

 「私とフェイト隊長で、空を抑えるよ、だから車両の方はツヴァイとよしくん、援護してあげて」

 「はいです」

 「あいよ、つか又呼び方」

 「あ、ごめん…でもいいよね、今他の隊員居ないし、それじゃお願いね」

 そんな中、キャロが緊張からか身を硬くしているのが目に入る。
 チラッとなのはをみれば、キャロに近づき手を掴んで、小さな声で何かを囁くと安心したのか身体から無駄な力が抜ける。

 「それじゃ、ヴァイス君、お願い」

 「あい、たのんますよ、なのはさん」

 後部ハッチが開き、なのはが空に身を躍らせる。
 一瞬桃色の光りに包まれ、バリアジャケットに身を包み、高速で飛行していく。

 「さて、そろそろ現場上空っすよ、いいすか、良彦さん」

 「あいよ、後方からスターズとツヴァイ、前方からライトニングと俺でいいか」

 「はいです、先に付いた方がレリックの保護を、ガジェットを潰せば制御取り戻すのは私がやるですよ」

 「おし、んじゃそういう感じで、行くぞ」

 「「「「了解」」」」


 ツヴァイが空中で白い光りに包まれ騎士甲冑…白のジャケットにスカート、はやての騎士甲冑に似ている…姿を変える
 簡単な打ち合わせの後、4人が声を合わせる。

 「さて、無事に後方の効果地点到着、スターズの二人、さくっといってくんな」

 ヴァイスの声が響き

 「了解、いこティア」

 「判ってる、スターズ04、ティアナ・ランスター」

 「スターズ03、スバル・ナカジマ」

 「「いきます」」

 空へ飛び出し、青と橙の光りに包まれる二人。

 「次、ライトニング…チビども気をつけてな」

 「はい」

 ハッチの縁に立ち、下を見る二人、エリオが手を伸ばしながらキャロに声を掛ける。

 「一緒に行こうか?」

 「…はい」

 そのてを握り、キッと顔を上げるキャロ。

 「ライトニング03、エリオ・モンディアル」

 「ライトニング04、キャロ・ル・ルシエとフリードリヒ」

 「「行きます」」

 二人揃って飛び出し、此方も途中で金と桃色の光りに包まれる。

 「んじゃ、行ってくるヴァイス陸曹、ヘリ頼んだ」

 「あい、任せといてい」

 「ウィンド01、八坂良彦、出る」

 青の光りに包まれ、騎士甲冑に身を包んで空を翔ける。
 それぞれ車両に着地した4人は新しいバリアジャケット…それぞれの分隊長のデザインを踏襲している…に包まれている。
 エリオとキャロのいる辺りへ、良彦は降り立ち。

 「おし、行くぞ」

 「はい、キャロ」

 「うん、いけます」

 列車の上を走り出せば、直ぐに内側からガジェットドローンが屋根を突き破り飛び出す。

 「そっち、任せるぞエリオ」

 「了解」

 飛び出した2体のガジェット、片方をエリオの任せ良彦は1体に向かう。
 伸びる触手のようなコードを『捌き』一気に近接…右拳で中心を打ち抜き、バックステップ、直ぐにガジェットが爆発する。
 エリオの方もストラーダの一閃でガジェットを撃墜。

 「中に入るぞ、気をつけろよ」

 「「はい」」

 中にいる大量のガジェットドローンをキャロの支援魔法の援護をうけ、良彦が先陣、エリオが良彦の討ちもらしを破壊していく。
 進んでいき、もう直ぐレリックのある車両と言う場所で…目の前に今までと違うガジェット。

 『ガジェット…新型です』

 車両一杯のサイズの球体が目の前にいる。

 「これは俺が相手しとくから、エリオ、キャロ、上にでてそっちから目標車両に」

 小型と同じコードとベルトのような触腕を伸ばす大型に向き合う良彦。
 エリオとキャロは命令に従い天井を破り上へ飛び出す。

 「さて、あんま時間はかけらんねーな」

 何時ものように左手を顔の前に構え、右手は腰…伸びてくる触腕を『弾き』、一気に接近…右拳を叩きつけるが、AMFにより威力を殺される。
 其処へ殺到する触腕…一旦距離をとれば、目のようなカメラ部分から光学兵器が打ち出される、それをシールドで受け止めつつ、考える。

 「(ある程度の打撃と魔力は打ち消される、か…なら、ある程度じゃなければ良いわけだ)」

 『弾き』、『捌き』ながら、右手に魔力と風を練って行く。
 大型触腕を左手で大きく弾き

 「ゼピュロス」

 『貫き』

 高速移動から、練りこんだ風と魔力を叩き込む。

 「風拳・嵐」

 AMFを打ち抜き、正面装甲を打ち抜いて拳がめり込むと同時、練りこんだ風が大型ガジェット内部で嵐の如く吹き荒れ、内部をずたずたに引き裂く。
 拳を引き抜き、爆発を防御フィールドで受けきる。

 「やっぱ、AMFで結構弱くなるな、もちっと考えないとな」

 と、呟き急いでいると

 『ウィンド01に緊急、上部にも大型ガジェットが、ライトニング分隊が苦戦中です』

 との連絡、急いで上へ出ると…エリオが大型のガジェットの触腕で列車外、崖の下へ放り投げられ、それを追ってキャロが飛び降りる所だった。

 「って、何やってんだ」

 『ううん、あれでいいんだよ、離れればAMFは弱くなる』

 「あぁ、なるほどね」

 『そう、使えるよフルパフォーマンスの魔法が』

 落下しながらキャロがエリオを掴み、桃色の光りと帯状魔法陣に包まれ…それを破り、白い竜が姿を現す。
 それに乗りキャロとエリオが復帰し、エリオが構える。

 キャロのツインブーストで強化されたエリオがフリード…白い竜…から飛び出しながら、触腕を切り裂き着地。
 2発カートリッジロードし

 「一閃必中」

 強化魔法で桃色に光る穂先と変換により帯電する槍が突き込まれ、上に向かい切り裂かれる。
 そして、爆発…。

 その間にスターズの方でレリックを確保、列車もツヴァイが制御を取り戻したらしく停止する。
 スターズはレリックの輸送、ライトニングは後続部隊への引継ぎと相成った。

 良彦もライトニングの二人と一緒に残り後始末を終わらせた。



 夜、六課宿舎…良彦とヴィータの部屋では。
 ヴィータは何時ものTシャツ一枚で髪を解いていると言う格好、良彦は普段なら長袖の寝巻きなのだが、風呂上りなのか、シャツと短パンと言うラフな格好だ。

 「あー、結構疲れたな」

 「あの大型か、どんな感じだったんだ?」

 二人の前には皿に乗ったバニラアイスが置かれている。

 「AMFが強いのと、装甲も球形だから砲撃じゃ貫きづらいなありゃ」

 「そうすっと、ベルカ向きの相手っつーことか?」

 「だな、ミッド式であれ倒すのは苦労するだろうな、リミッターかかって無いなのは達なら楽だろうけど」

 「つってもガジェットは基本新人に任せられるようにならねーとな」

 「あぁ、それでだろうな、個人スキルに移るってよ、訓練」

 「そうすっと、あたしも教えねーといけねーな、良彦はどうするんだ?」

 「俺は誰か教えられねー時の変わりだな、どうしても抜けれねー仕事があるときは、俺が交代する」

 「そっか、基本は予定通りってことだな」

 「そういうこった、ん…前より美味くなったな」

 「作り方は変えてねーぞ、良彦の好みに合わせたのだけどな、それ」

 「そっか、あんがとな」

 隣に座るヴィータの髪を指に絡め、癖の残る髪を梳く。

 「ん…そんくれー普通だろ」

 「俺がありがたいと思ったんだよ」

 「そうかよ」

 薄っすらと頬を赤く染め、そっぽを向くヴィータ。
 髪を梳きながら、くいっと自分の方をむかせ、アイスを含んだままキス…それをヴィータの口内へ押し出す。

 「ん…んぅ」

 「ふぁ、どうだ?」

 「…馬鹿、いきなり何すんだよ!」

 「いや、見てたらしたくなった…いいじゃねーか、初めてじゃねーし」

 「うっせ、恥ずかしいもんは何時までも恥ずかしいんだよ!」

 「あいあい、悪かったよ、今度は許可とっから」 

 「そういう問題じゃねーって、ったくよぉ…」

 微笑む良彦に顔を真っ赤にするヴィータ、良く見れば良彦も少し顔は赤い。

 「食い終わったら、ねんぞ…疲れてるんだろ?」

 「だな…ベット入ったら直ぐねそーだ」

 お互いに、アイスをささっと食べきり、並び立って寝室へ。

 「今日は寝巻ききねーのか?」

 「そろそろこの格好でも身体ひやさねーしな」

 「そっか、んじゃお休み良彦」

 「ん、お休みヴィータ」

 寝室に一緒に入り、お互いに寝る前の軽いキスをして、ベットへ入る…言ったとおり良彦は直ぐに寝入ってしまった。
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六課初出動です、良彦が一人でⅢ型壊してもつまらないのでⅢがたが二体でました。
いちゃいちゃは、おまけです。

次回は海鳴出張遍辺りの予定です。
一応R-15指定入れて起きます。
 
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