魔法少女リリカルなのは ~黒影の死神~
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『第十九話』 ~夜中の再開~
拓斗side
そんなこんなで夜も更け、士郎達はお酒でワイワイと楽しんでいるようだ。
で俺の現状はというとなのは、すずか、アリサの四人で川の字で寝ている。
前にも思ったがいくら小学生といえども男女が同じ部屋というのはどうなのだろう?
ちなみについ先ほどまでファリンさんが本を読み聞かせてくれていたが、まずはじめにアリサが、続いてすずかが、そして俺となのはが眠りについた。
眠りについたといってもなのはも俺も寝たふりであって実際は起きている。
なにやらユーノと何かを話しているようだが、念話なのか会話は聞こえない。
それからしばらく眼をつぶったまま身体を休めていると
「あっ」
なのはが急に身体を起こした。
なのはも気がついたらしい。
端の方とはいえ一応、海鳴市。
ジュエルシードはここにもばら撒かれていたようだ。
なのはは音をたてないように着替え、ユーノと共に外に駆けていく。
なのはを見届けて
「さて、俺も行くか。ソウル」
[あいよ]
ソウルを展開し俺も森を駆ける。
あそこか。
橋の上にフェイトとアルフの姿を認めた。
そして周りに妙な感覚があった。
恐らく一般人が入らないように認識阻害の結界の類を張っているらしい。
そして、俺より少し遅れて、なのは達も到着した。
「レイジングハート、セットアップ」
[セットアップ]
バリアジャケットを纏い、対峙するなのは。
「は~い、おチビちゃん。また会ったね」
アルフがなのはに声をかける。
「それより! それを・・ジュエルシードをどうするつもりだ!それは危険なものなんだ!」
「さぁね、答える理由が見当たらないよ」
ユーノの問いを軽く流し、アルフの姿が女性の姿から、力強い狼の姿に変わる。
「や、やっぱり。あいつ、あの子の使い魔だ」
「使い魔?」
「そうさ、あたしはこの子に作ってもらった魔法生命体。製作者の魔力で生きる代わりに、命と力の全てを掛けて守ってあげるんだ」
なるほど、アルフはユーノと同じ使い魔だったのか。
まぁ今はいい、俺も行こう。
俺は四人(二人と二匹?)に近づく。
「「あ!死神(さん)!!」」
「こんばんは、こんな夜中によく頑張るな」
「死神さんもこんな夜中に来てるじゃないですか」
「ジュエルシードの反応があったからな」
[別に欲しいわけじゃないが、暴走したら危険だろ?]
「「なるほど……」」
「それより、ジュエルシードどうする?」
「「「「あっ・・・・そうだった!?」」」」
「忘れていたんだな」
まぁ、そっちのほうが好都合なんだが。
「なら、こんなのはどうだ?」
「どんなのだい?」
「なのはとフェイトの一騎打ち。当然アルフとユーノは手出し無用」
「なッ!死神!?」
「死神さん!?」
なのは・ユーノペア動揺、
「いいよ、それで」
「フェイトが負けるはず無いしな」
フェイト・アルフペアは余裕。
(この差はやはり大きいな)「さて、「死神!君は一体何を考えているんだ!!」ユーノ少し聞け」
そういって俺はユーノと念話で話し始めた。
「(これはなのはのためだ)」
「(え?なのはの?)」
「(なのはに足りない物は戦闘経験だ。だがなのはに比べフェイトはかなりの実力者だ。これは誰が見てもわかることだ)」
「(うん)」
「(今後ジュエルシードを集めるとなると彼女との戦闘は避けられないだろう。それにお互いにジュエルシードを集めることにしっかりとした目的も持っている。俺としては手伝うことはできても戦闘への介入はできれば避けたい)」
「(知っているのかい、君は! あの子がなぜ集めているのかを!?)」
「(それは知らない。だが前にも言ったが彼女の眼は俺違い汚れていない。それだけで十分だ)」
「(そっか。それで、話の続きだけど)」
「(あぁ。おそらくなのはが実力をつけるまであちら側は待ってはくれない。なら実戦本番で経験を積むしかない。百回見たり聞くよりかは実際その場にたって経験する方が自分の実力にもつながる。それになのはは魔法の才能がある。これは君にもわかるはずだ)」
「(………分かった。でも君もかなりの無茶をさせるね)」
「(百も承知だ。本当なら二人とも普通に笑って生活を送ってくれた方が俺もうれしいよ。でも、もう戻れない。なら俺がすることはただ一つ。全力で二人を闇から守ることだ〉」
(闇? いったいなんだ?……考えても仕方ないか)「(分かった)僕も死神の提案を押すよ」
「ユーノ君!?」
「大丈夫なのは」
「ユーノ君がそう言うなら」
そういって二人とも空に舞い上がる。
「ユーノだったか。人よけの結界を展開できるか?」
「え、うん。出来るよ」
「人に知られてまずいなら展開した方がいい。俺の方でもある程度は展開するが念には念で頼む」
「分かった」
結界の展開が終了するとそれを合図に黄色と桃色の魔法の色がぶつかり合う。
「二人ともすごいな。天才か。本当にいるんだな」
「あんたも十分すごいと思うけど?」
隣でアルフが俺に向かって言う。違うんだアルフ。俺には才能なんてものは存在しない。
俺の力は力を手にしなければ明日をつかめないから、果たすことが出来ないから嫌でも手にしなければいけなかった負の力。そう。【ヤツラを殺すために】手に入れた力。
「しかし、なのはを砲と例えるならフェイトは剣。どっちが不利かというと明らかになのはだな」
なのはは不利と悟り、距離をとり、
「あんたがあそこに加わるとどっちから叩く?」
[『ディバイン バスター』]
ピンク色の砲撃を撃つ。
[『サンダー スマッシャー』]
それに対抗するようにフェイトも黄色い砲撃を撃つが、
「お願い! レイジングハート」
[了解]
なのはがそう言うとなのはのディバインバスターがさらに威力を増す。だが、俺はアルフの質問に、
「当然フェイトだな。速度と攻撃を兼ね備えられたら怖いからな。それに戦闘経験はフェイトの方が上。だがなのはも成長してるようだ。あと数日実戦を交えれば分からなくなる」
そういっていてると、俺の予想で通りフェイトがなのはのディバインバスターを回避してバルディッシュの鎌をなのはの首に当てる。
「勝負あり。勝者フェイト」
「………まけ……た?」
「……勝った」
すると、レイジングハートからジュエルシードが一個放出され、バルディッシュに吸収された。
「う~負けちゃったよ~」
「残念だったね」
その光景を下から見ていた俺は。
「アイツ等はもっと成長する。だが、戦場には出てほしくないな」
二人の成長に嬉しさもあるが、同時に二人の力を争いに使われると思うと悲しくなる。
「でも、あの子たちにとってはいいライバルになるんじゃないのかい?」
「僕もそう思うよ」
「忘れてるだろうが、二人とも敵同士だろ?」
「う~ん。そうなんだけど何っていうかさ」
「怨めないんだよね」
「おまえ等にとっても好敵手といったところか。さて、二人のところに向かうか」
そういってなのは達の元へ行くと、なのはが、
「お疲れ、二人とも」
そういって服の中から取り出したアク○リ○スをとりだし、二人に渡す。いつ買ったかって?気にするな、気にしたら負けだ。
「う~、負けちゃったよ……」
「敗北も経験だ。その悔しさをバネに強くなればいい。だが、限界以上はするな。怪我の元だ」
なのはの頭をなでながらアドバイスといっていいのだろうか。ありきたりの言葉を言う。
「フェイトもお疲れ。最後の回避には驚いた」
「ありがとう」
そういってなのはと同様にフェイトの頭をなでる。
「やったね! フェイト!」
「ありがとう。アルフ」
「ごめんねユーノ君」
「仕方ないよ。でも死神の言うとおり何がいけなかったのか反省して次に備えよう」
「うん!」
羨ましいものだな。二人は互いに目標とする存在を見つけた。
俺は、ただただ目の前に来る人(邪魔者)を殺すだけだったからな。
「さて、時刻も遅いから帰るとしよう。フェイトもしっかり休め」
「うん。ありがとう」
「ん? 感謝をされることはしてない。まぁ、礼は受け取っておこう」
「ふふっ。じゃあ、またね」
「あぁ。またな」
そういってフェイトとアルフは去っていった。
「じゃ、俺も帰るよ」
「あ、死神さん!」
「なんだ?」
「あなたは、一体何者なんですか?」
なのははそう言った。
ずっと言ってないからな、気になるのは当然か。
だが、
「時を待て、いずれ自然とわかる」
今は言う時期ではない。
「じゃあな」
「あ!待っt」
なのはが言い終える前に俺は転移でその場から姿を消した。
そのまま自分の部屋に戻り、そのまま寝る事にした…………が。
「何これ?」
眠りに付いて数時間後、重い感触に目を覚ますと右腕になのは、左腕にアリサ、腹の上にすずかがいた。
え?さっきまで三人固まっていたよな?しかも何でガッチリホールドしてるし……朝起きてこのままなら抜け出すとするか。
後書き
~あとがき雑談会~
拓「今回はなのはとフェイト、二度目の遭遇の回だったな」
作「二度目の戦闘もどちらかというと試合みたいになったね」
拓「だな。だけど早いうちに仲良くなった方がいいだろ、たぶん」
作「たぶんて………まぁいいけど」
拓「というかこうしたのはオマエだろ」
作「まぁね」
拓「しかし、今回も二人だけか」
作「次回は呼ぶよ、というわけで予告ね」
拓「どういうわけだよ……
温泉の件から数日
拓斗はフェイトの母親に出会う
次回 魔法少女リリカルなのは ~黒影の死神~『邪に憑かれし者 プレシア・テスタロッサ』」
作「では次回に」
作・拓「「トリガー・オン!!」」
今回の予告、ネタバレしてないか?
いいんだよこれで。で?彼女に憑いてるのは?
死神の存在意義だよ
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