THE HOBI~第一章 選ばれし者たちと祈りの力~
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第四話 『死は光る塊』
―アサと旅人達―
メシア 「父さん!村の方から変な声が…!!まるで狼みたいな!」
アサ「あぁ、ただの野犬だろう…死体でも掘り起こしてるんだろう」
メシア 「でも母さん達がまだ村に…」
アサ「…少し休憩したらまた歩くぞ」
アサはメシアの問いかけには耳を傾けず少し休憩する事にした。
メシア「父さん、次の休憩までモイルおじさんと歩いて良い!?」
アサ 「なぜだ!?」
メシア 「僕が赤ちゃんの時の村の話や母さんの話が聞きたくて…」
アサ「はぁ、しょうがないな。少しだけだぞ。ここはもう死の森に入っている。危険だからなすぐ父さんの所に戻って来い。」
メシア「うん!約束するよ!」
メシアは勢いよくモイルの方へ走り出した。
―エリコの村の林―
マナサvs謎の男
ケルベロスの姿は無く大量の血だけが地面に染み付いている。
謎の男 「ここまでとは…母は偉大なりだな…」
「ポタッ、ポタッ」
謎の男の左腕からは血が垂れている。
マナサ 「ハァ、ハァ、ハァ」
マナサは目を鈍くして謎の男を睨みつける。
謎の男「俺が死んでも、また次が来るぞ…!」
マナサ「なら…またあなたと同じ運命になるでしょう!!」
マナサは謎の男を更に睨みつけ、男に向かって手の平を向けた。
―死の森―
メシア 「ハァ、ハァ、ハァ、」
「ダッダッダッダッ!!」
メシアは一人死の森を駆け下りている。
メシア「クソッ!母さん!待ってて!僕だってもう戦えるさ…!」
―アサと旅人達―
アサ「死の森がこんなに長いとは、噂以上だな。今日はここまでにして火を焚くぞ。なるべく大きな火にしよう」
モイル 「ハァー。歩いた。子供、女には酷だな、なぁアサ!そっちは大丈夫か!?」
少し離れた場所に居るアサへ叫んだ 。アサがモイルの場所へ歩いて来た。
アサ「メシアは?」
モイル「メシア?お前と一緒に居たろ?」
アサ「何?お前と歩くからって居なくなったぞ!?」
モイル「いや!全く見てないぞ!」
アサ「!!くそ!マナサの所に違いない!!あのバカ!直ぐに追う!あとはモイル、頼むぞ!」
モイル「駄目だ!もう日が暮れる!止めるんだ!夜の森は…!」
アサ「わかってる!」
アサは一人薄暗い来た道を戻って行った。
モイル 「アサー!!! …デオよ…彼を守ってくれ…」
―エリコのメシアの家―
メシア「母さん!!!!!!」
「…」
家には誰も居ない
外は野犬が村人の遺体を蝕んでいる。
メシア「母さん!?どこだッ!?ハァ、ハァ」
メシアは林の近くに着くと薄暗い中に倒れている人影を見つける。
メシア 「母…さん?」
恐る恐る顔を覗くメシア
メシア「母さん!!!ま、まだ息がある」
メシアは祈りを捧げ始めた。
翌朝
アサは村へと着いて居なく誰も行方を知らないままである。
メシアは母を家まで運び目を覚ますのをひたすら待っている。
―メシアの家―
メシアは何か呟きながらマナサの手を握りうなされている。
メシア 「うッ…うッ」
マナサ「メ…シア?メシア…?」
メシアは飛び起きた
メシア「母さん!大丈夫!?ごめんなさい!僕ッ」
マナサ「良いのよ…もう立派な男の子ね…お父さんは?」
メシア「ごめんなさい…黙って。…言ったら許して貰えないと思って…」
マナサ「悪い子ね…。」
マナサは微笑んで言った。
マナサ「メシア……。これが見える?」
マナサが手を広げると手のひらから小さな白い光の球の様な物が出てきた。
メシア「うん、前にも見た事ある…」
マナサ「これはね…デオ様からの賜物よ…私は魂と呼ぶわ。他の人にわ見えない…」
マナサ「私の…最後の…贈り物よ。その魂はシーよ」
メシア「シー!?これが…」
マナサ「お母さんはね…本当はね…もっともっと…生きたかった…アサとあなたとね、綺麗な川の畔を…歩きたかった…」
マナサの目からはメシアが見たこともないくらいの涙が流れる。
マナサ「ハァ、ハァ、メシア…私の宝…笑って…ちょうだい?」
メシアはボロボロの顔で精一杯の笑顔をマナサに見せる。
メシア「母さん…逝かないでッ。うッ、グスンッ…やだ、やだよ母さん…」
マナサ「ありがとう…
あなたは…
強い子…
私の…」
そう言うと、マナサは静かに目を閉じた。
その顔は生きているかのように微笑んでいた。
メシア「うわぁァァァァ!!!!!!」
家にメシアの叫びが響いた。
第四話 完
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