鉄槌と清風
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42部分:41:預言者の著書
41:預言者の著書
先日の陸士108部隊での模擬戦から数日、今日は聖王教会で騎士達と模擬戦をしていた。
来はじめた頃と違い今は、大体の騎士に勝つか時間切れに持ち込めるようになった。
だが、シャッハだけはまだ、中々勝ち越せないでいる、魔導師ランクはそう変わらないので、経験の差なのだろう。
ともあれ、この頃は引き分けに出来る事は増えた、今日はぎりぎりで時間切れになり、模擬戦は終了。
終了後に
「そういえば、騎士良彦、騎士カリムが今日は自分の方に顔を出すようにとおっしゃっていましたよ」
「騎士カリムが?…確かにこの頃あんまあってないけど…まぁ、判った、シャワー浴びたら行くわ」
「ええ、私も直ぐ行きますので」
そういって、訓練場で別れ、シャワーを借りてから、カリムの執務室へ、ノックニ回で返事が来る。
「どうぞ、入ってください」
「失礼します、ごきげんよう騎士カリム」
「ごきげんよう騎士良彦、そちらどうぞ」
椅子を勧められ着席、直ぐにシャッハも入ってきて紅茶を淹れてくれる。
「それで、なんかあったんですか、騎士カリム」
「それなんだけど騎士良彦は私の希少技能を知ってましたよね?」
「えぇ、確か”預言者の著書”っていう、未来予知ですよね、確立はあまり高く無いって言ってたような」
「そう、それでこの間から気になる予言が出ているのよ、古代ベルカ語だし、解釈が幾つも出来て難しいんだけど、騎士良彦の意見も聞かせて欲しいの」
椅子から立ち上がり、まとめてあった古い紙のようなものを手に取ると、それが解け、カリムの周りを囲う、その中の一枚を良彦に差し出してくる。
「ええと…旧い結晶と無限の欲望が交わる地…死せる王の下、聖地より彼の翼が蘇る…死者達は踊り、中つ大地の法の塔は虚しく焼け落ち…それを先駆けに数多の海を守る法の船は砕け落ちる…か」
「それを、どう思うかしら?」
「前半は一寸判らないけど、中つ大地の法の塔は、多分管理局の地上本部で、法の船は次元艦隊か、管理局本局じゃないかな…そうすると、何らかの理由で両方が機能不全なりに陥る、とか?」
紙をカリムに返しながら、意見を述べる。
それを受け取り
「他にも何人かそれとほぼ同じ意見の人がいるわ、今度その人達と一緒に相談したいのですけど、時間は空けられますか?」
「とりあえず、一週間位前に言ってくれれば何とかなると思うよ」
「では、決まったら連絡をしますので」
「了解、しかし…これが当たったら色々問題になるな」
「えぇ、ですからこの予言を成就させないために動こうと思っています」
「なるほど、それじゃ、今日はこれで、騎士カリム」
「えぇ、ありがとうございました、騎士良彦」
紅茶を飲みきって立ち上がり、部屋を出る。
そのまま、マンションへと戻る良彦、部屋へ入り、クッションで今日あった事を考えていると。
風呂場の方から足音、予言を気にするあまり気付いてなかったのか、恐らくヴィータがきているらしい。
視線をそっちに向けると、良彦のTシャツかヴィータのものにしては一寸大きいTシャツをきて、髪はまだ濡れていて、解かれている状態のヴィータが冷蔵庫に向かっている。
「つか、来てたのかヴィータ」
「おめえより早くいたぞ、気付いてなかったのか?」
「一寸考え事してた、というか何でそんな格好してんだ?」
「楽だからってのと、衣替え前で冬服しかなかったかんな、別に借りていいだろ?」
「そりゃ、いいけどね…ふぅ」
冷蔵庫からアイスを取り出すヴィータ、クッションに座り。
「なに溜息とかにあわねー事してんだ?」
「知識があっても、考えるんは難しいな、と思ってな」
「ふーん、なら考えるのが得意な奴にまかせりゃいいじゃねーか、知識は判る所だけおしえてさ」
「…そういや、そうだな、俺は執務官でも捜査官でも指揮官でもないんだし、そうするか、サンキュヴィータ」
ぽむぽむと頭叩き
「叩くなっつの、毎回毎回、ほれ、良彦の分」
皿に盛られたアイスを渡してくる。
「おう、あんがとな…って、これは手作りの方か?」
「残ってたし買ってくんの勿体ねーだろ、それとも嫌か?」
「んにゃ、俺はこっちのが好きだな」
「そ、そうか、じゃぁ又つくっといてやんよ」
「おう、頼む…とりあえず、アイス食ったら少し休憩だな、頭使いすぎた」
「おめえは、変に考えすぎる時があるかんな、他にも人いんだから頼れよ、あたしでもいいぞ」
「ヴィータには世話になりっぱなしだからなぁ…でも、その言葉はありがたい、あんがと」
お互いに、拳をこつんとあわせ、笑い会う…何があっても守るものを今度こそ守ると、良彦は改めて決意していた。
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予言関連と、普段の様子少し…予言は基本本編通りです。
次回は、クロノとエイミィの結婚の話しあたりを、少し書こうと思います。
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