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Third Angle

作者:完徹
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雲の覆う町

完全に日光を遮られた町で鶴姫は倒れた
彼女の身体にはまだ病魔が潜んでいたのだ
しかし辺りに人の住む民家は無かった
この町は死んでいたのだ
これまで旅をしてきた国には命があった
もちろんこの国にもあったのだろう
しかし滅んでしまった
人は、いや命は光の当たらない場所では生きていくことは出来ない
そして鶴姫はその最たる者だった
日光の無いこの国で鶴姫の身体は限界を迎えていた
そして彼女が息絶える前に旅人との再会を果たす
旅人は二人のお供に鶴姫を救う方法を告げた
その方法はまたしても、いや前回より馬鹿げた方法であった
それはてるてる坊主の作成だった
人が天気を支配しようなどとはあまりにも無茶なことである
当たり前だが日が差すことは無かった



…鶴姫様死んじゃったの?
いえ生きているわ
どうして?日光がないと鶴姫様は生きていられないんでしょ
それはね、鶴姫様は奇跡を起こしたのよ
えっ?さすが鶴姫様、すごいね!
ええ、鶴姫様は偉大なの
・・・・・・・・・・・・・・・
もう、こんな時間ね
そろそろおやすみなさい
続きはまた明日ね
え、まだ朝だよお姉さま?
もう真っ暗でしょ?もう皆が眠るのよ私も






































             あ な た も ね














































旅人の日記
数年前に立ち寄った雨の降る町で出会った少女達と再会した
しかし彼女は危篤状態だった
さらにここは日光が差すことは無く彼女を助ける手立ては無かった
一つを除いて
それは人工的に日光を生み出すこと
日光に含まれる紫外線を発生させる機械さえあれば
幸い温度を測るための温度計や金属片、ランプ等の材料はあった
しかし肝心の電気がない
・・・いやあるこの死んだ大地には
私は二人の青年に家屋から食料を集めるように言った
そして特殊な電球の製作に取り掛かる
本来は蛍光灯にしなければならないのだが材料が無い
元々任意で日焼けをするために考えられた電灯を即席で何とか作り上げることに成功した
そして二人の集めてきた食料をみて希望が湧いた
食料の中から出来るだけ柑橘系の果物や漬物を選び片端から銅線のついた金属片を刺していく
果物の中には簡易電池になるものがある
はたしてそれらは電灯が発光するまでに電気を集めることが出来た
その完成したモノは奇しくも人の形に見えた
私は彼女に電気の続く限り光を与えた

結果、少女は死んだ

無理があったのだ、即席の道具などでは
私はまた人を救うことが出来なかった
 
 

 
後書き
てるてる坊主で雲は晴れませんし人も救えません 
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