八条学園怪異譚
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第五十一話 オペラ座の怪人その三
「せめて普通の修羅でいいわよね」
「あれだって確か生存率千人に一人らしいから」
「なれないと死ぬかボロになるのよね、確か」
「そう思うとね」
「駄目よ、バツよ」
クラスメイトは今度は何処かの蟲奉行なことを言い出した。どうやら結構漫画を読んでいるらしい。それがわに出ている。
「バツ過ぎるわ」
「そんなに?」
「そんなに駄目なの」
「だから商業科で彼氏をゲットしようと思ったら」
それこそだというのだ。
「競争率が半端じゃないのに」
「何もしないでいるとなの」
「彼氏出来ないっていうのね」
「そうよ、幾ら二人でもね」
愛実と聖花でもだというのだ。
「顔やスタイルが平均以上でしかも料理をはじめとして家事が得意でもね」
「それでもっていうの」
「商業科は」
「ハーレムよ、ここは」
男にとってはだ。
「ハーレムはどういうところか」
「女の子にとってはよね」
「まさに」
「そうよ、修羅の国よ」
またこの漫画の話になる、流石は漫画界に名を残す名作だ。
「男を巡って死闘の日々なのよ。それこそルール無用だから」
「ううん、商業科って怖いところだったのね」
「修羅の国だったのね」
「下手をすれば学園の日々よ」
「いや、そのアニメは幾ら何でもないわよ」
「そこまでは」
二人はこのアニメの話については流石に否定した。
「包丁でぶすりとか中に誰もとかよね」
「それはないわよ」
「けれどそういった取り合いはあるわよ」
リアルでだ、それはあるというのだ。
「実際ね」
「そうなのね」
「ああいうのが」
「奪い合いはあるわよ」
そしてそれによって。
「結構取っ組み合いの喧嘩とかに発展したとかね」
「えっ、そうしたことにもなってるの?」
「そうなの」
「ええ、今もあるかどうかわからないけれど」
「昔はあったの」
「そうなの」
「ひょっとしたら」
ここでだ、クラスメイトの娘はこんなことも言った。
「そういう関係の怪談もあるかもね」
「失恋した娘が自殺、とか?」
「怨みを残してとか」
「ありそうよね、けれどうちの学校ってね」
「そういう手の怪談はないのよね」
「怖い系は」
これは結界のお陰だ、だが二人はクラスメイトの娘にはこのことは話さずそのうえで彼女と話をしていくのだった。
「結構不思議とか楽しいとか」
「そんな感じよね」
「そうよね、まあ大学には仙人みたいな博士もいるし」
悪魔博士のことだ、学園の有名人でもあるのだ。
「他にもあちこちに色々と話があって」
「それで劇場にもなのね」
「怪人が」
「赤マントみたいなのかしら」
教会にいるこの妖怪のことも話に出る。
「ああいうのかしらね」
「赤マントさんねえ」
「あの人も結構面白い人なのよね」
「怪人赤マントってのも奇妙な妖怪だしね」
クラスメイトの娘は二人のやり取りに二人だけが知っていることがあることに気付かないまま彼女の話をしていく。
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