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dark of exorcist ~穢れた聖職者~

作者:マチェテ
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第4話「5人の悪魔狩り」

ーーー【ヴァチカン"悪魔狩り連盟 ルークス・ソーリエ"】


アイリスとクリスの二人は、古い大きな教会の中に入っていった。

教会の中には、既に3人の先客がいた。椅子に座っていたり、腕を組んで立っていたり、姿勢は様々だった。
その中の一人の青年が、二人の存在に気づいて歩み寄って来た。

「おぉ、アイリスにクリスじゃないか!ひさしぶりだな!」

「パトリックさん!お久しぶりです」

「ひさしぶりだね、パトリック君♪」



二人に話しかけてきた青年の名前は「パトリック・カルヴァン」。
アイリスとクリスの友人で、若手の悪魔狩り。
元はフランスの悪魔狩り連盟"ヴィクトワール"に所属していた。




「あっ、そうだ。あいつらにも挨拶してきな。お前達の顔を見れば喜ぶと思うぞ?」

「そうですね………まぁ残る二人は寝てたり、イヤホンしてて聞こえてなかったり………」

「………そうだな、気づいてねぇな……」


二人が話している間に、アイリスは椅子に座って音楽を聞いている女性に近づいていた。
後ろからそっと近づき、イヤホンを耳から引き離す。

「アリシアさん、ひさしぶり♪」

アリシアと呼ばれた女性は、まるで信じられないものでも見たように目を見開いた。

「ッ!?アイリスちゃん!?」

「うん♪ひさしぶりだね」



しばらく会話が途切れ、アリシアが間を置いて何かを話し出すかと思ったら………



「~~~~~~!アイリスちゃぁぁ~~~ん!!」

椅子の背もたれを無視し、涙を流しながらアイリスに飛びついた。

「わっ!?」

飛びつかれたアイリスはそのままバランスを崩し床に倒れた。
アイリスを床に倒したアリシアは、アイリスの頬に頬擦した。しつこいほどに。

「アイリスちゃん~~会えなくて本当に寂しかったわ~~~」

「アリシアさん、痛い痛い……」

頬擦りとアイリスを抱き締める力が尋常でないくらい強い。
冗談ではなく、本当に骨が軋むような力だった。


「…………………気は済んだろバカが……」

いつの間にかアリシアの側に立っていた青年が、アリシアの背中を一切の容赦なく蹴り飛ばした。

「痛ったぁ!?」

アイリスから離れ、背中の痛みで転げ回る。

「キリシマ君、女の人に暴力はダメだよ」

急いで立ち上がったアイリスが、アリシアを蹴り飛ばした青年を注意する。
キリシマと呼ばれた青年は、無表情でアリシアの方を見る。

「………………正直、邪魔だったろ……?」

その問いかけに、少し言葉を詰まらせる。

「……ちょっと困ってたケド………でも暴力はダメ。いい?」

「……………………………改善する」




蹴られた女性の名前は「アリシア・バルバーニー」。
アイリスを"自分の妹"と言い張るベテランの悪魔狩り。
実力は"ルークス・ソーリエ"の中でもトップ3に入るほど。

そのアイリス溺愛者を蹴った青年は「キリシマ ソウヤ」。
日本からヴァチカンまで来た若手の悪魔狩り。
実力は、現時点の"ルークス・ソーリエ"最強。









「さて、全員集合ってわけにはいかなかったが……今いるメンバーだけで仕事の話をしよう」



「は~い♪」

「分かりました」

「………………………………あぁ」

「痛だだ……分かったわ」





アイリス・エインズワース。

クリストファー・クロス。

パトリック・カルヴァン。

アリシア・バルバーニー。

キリシマ ソウヤ。


"ルークス・ソーリエ"に、5人の悪魔狩りが集まった。





「さて、早速本題に入るが……"ルークス・ソーリエ"のお偉いさんから緊急依頼が来た」


その言葉を聞いた瞬間、全員の顔色が険しくなった。

「緊急ってことは……強力な悪魔が出たっていうのかしら?」

アリシアが険しい表情のままパトリックに聞いた。

「情報が曖昧でなぁ……"もしかすると上位の悪魔かも"ってことらしい」

「最近、上位の悪魔が姿を見せないと思ったんですが……とうとう動き出しましたか」

「………………潰す」

「まぁ待て。上位の悪魔と断定されたわけじゃない」


「ねぇパトリック君。その悪魔って何をしたの?」

「そう言えば……肝心なその悪魔の出現場所と被害報告はどうなっているのよ?」


「あぁ、まだ説明してなかったな。そいつの出現場所はアメリカ東部。今のところ、被害は人間には
及んでいない。しかし、各地で家畜やらペットやらの変死体が立て続けに発見されている。
変死体が発見されたって事例がおよそ630件も確認されている。明らかに異常だ。そこで、だ。
この一連の異常がどんな悪魔の仕業なのかを調査してこい……って、お偉いさんがおっしゃるわけなんだ」

「……………なるほどな」

「……気合い入れないとね」

「どんな悪魔でも、倒せば問題ないわよ」

「僕らのやるべきことは、いつもと同じです。不安も不満もありません」



5人の悪魔狩りによる「被害調査」が、アメリカ東部で行われようとしていた。 
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