ON The Way
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第一章
第一章
ON The Way
「おいこら止まれ!」
「止まれって言われてな」
「そう簡単に止まれるかよ!」
周りが赤い岩山だらけのハイウェイを進みながら後ろから来るパトカーに言い返してやった。
「こっちは仕事なんだよ」
「それで止まれるかってんだ」
「そんなことは関係あるか!」
パトカーから若いポリスの声がしてきた。
「交通違反だろうが!スピード違反だ!」
「スピード違反?馬鹿言え」
「ステイツにやそんなものねえよ」
俺達はでかいトラックの席から言ってやった。今俺達はこの荒野のハイウェイを全速力でかっ飛んでいる。それこそこれこそトラック野郎の夢のやっと買えたそのトラックで今走っていた。
仕事の積荷は満杯だがそれが俺達の流儀だ。積めるだけ積んでそれを運んでやる。それもアメリカならどんな場所でもあっという間だ。
「だから放っておいてくれよ」
「後でハンバーガー奢るからよ」
「本官を買収する気か!」
今の言葉にはこう返してきてくれた。
「許さんぞ!コーラ一杯でも受け取るか!」
「じゃあそうしなよ」
「また糞真面目な警官だな」
「糞真面目で結構!」
リアルで言葉を返してきてくれた。どうやら後ろでがなっている若い警官はそれが誇りのアメリカには昔から珍しい所謂本当の保安官らしい。
「止まれ!早く止まれ!」
「おいベイブ」
「わかってるぜジョニー」
俺達はトラックの席で笑みを浮かべて顔を見合わせて話した。
「もうすぐ州境だ」
「飛ばすか」
「ああ、そうしようぜ」
こう言い合ってさらに飛ばした。それでもう後ろのポリスは見えなくなった。というか追っては来れなくなった。州の警察は違う州には入れないからだ。
こうしてポリスは振り切ってふと外を見た。するとこには。
「いいねえ」
「センスあるねえ」
荒野のハイウェイの横にあるピンナップを見てにやにやと笑った。そこには赤いハイレグのブロンドの美女がウィンクしていた。こういうのがないとハイウェイのドライブも楽しくない。
それを見てにやにやしてピンナップの横を通り過ぎる。それから俺達はまた話をした。
「昼どうする?」
「昼飯か」
「それだよ。何食うんだ?」
こう話をした。
「またあれか?コーラにハンバーガーにするか?」
「チキンナゲットでもいいんだがな」
「それかサンドイッチか」
とりあえず思いつくものを出し合った。
「何か食わないと身体がもたないしな」
「っていうか食うこと自体が楽しいしな」
「ははは、そりゃな」
俺は相棒のその言葉に顔を崩して笑った。
「その通りだな。確かにな」
「じゃあ楽しく何食う?」
「次のピットインに入って決めるか」
「そうするか」
そんな話をしてからそのピットインに入った。外観は洒落たレストランの席に座ってウェイトレスの女の子に注文する。出て来たのはピンクのミニスカートに白いエプロンの可愛い娘だった。髪は茶色で目は青だ。顔のそばかすも初々しい感じで実にいい。
気に入ったので声をかけた。勿論ダイレクトにだ。
「なあ、今度デートしないか?」
「あら、もう間に合ってるから」
けれど女の子はとても慣れた口調で俺に返してくれた。
「残念だったわね」
「へっ、そりゃどうも」
そう言われてわざと口を歪めて笑ってみせた俺だった。
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