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久遠の神話

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第六十六話 聡美の迷いその五

「お考えになって下さい」
「わかりました」
「それも前向きにです」
 ただ考えるだけではない、そうしてくれというのだ。
「是非共」
「そして決断はですね」
「出来るだけ早い方がいいです」
 今回は特にだというのだ。
「このことも申し上げておきます」
「前向きにかつですか」
「私も協力させてもらいます」
「戦いを止める為に」
「まさにその為にです」
 強い声で聡美に話していく。
「お願いします」
「では」
「私が今お話するのはこれだけです」 
 マガバーンはここまで話してその言葉を一旦止めた。
「後は貴女次第です」
「私次第ですか」
「戦いを止めることも、そして」
「そしてですか」
「あの方をお救いすることもです」
「お姉様をですね」
「その際貴女はお一人ではない」
 このことをまた言うマガバーンだった。
「よく御存知になっていて下さい」
「はい・・・・・・」
「では今は」
「今は」
「甘いものはどうでしょうか」
 コーヒー、マガバーンは紅茶を飲んでいるがそれもどうかというのだ。
「それは」
「甘いものですか」
「チョコレートケーキなどは」
「チョコレートケーキですか」
「そうしたものはお好きでしょうか」
「はい」
 聡美はケーキについては少しだけ、まだ先程までの話を引きずっているのでそれだけだが笑みになって答えた。
「好きです」
「それでは今から頼みますか」
「わかりました、ではチョコレートケーキですね」
「それを二つですね」
「そうです」
 マガバーンと聡美、二人である。
「それでは宜しいですね」
「お願いします」
 こうしてだった、二人はそのケーキを頼んだのだった。
 一片に切られたそのケーキがそれぞれの前に来た、マガバーンはそのケーキを見てから聡美にこう話した。
「日本のケーキですね」
「はい、そうですね」
 見れば飾りが可愛らしい。チョコレートクリームと小さく丸くされたり四角くされたチョコレートで飾られている。
 そのチョコレートケーキを見てだ、それぞれ日本以外の国に生まれ日本に来た二人はこう言ったのである。
「こうした飾りは」
「日本独自ですね」
「インドにはケーキがありますが」
「ギリシアもです」
「こうした外見ではないですし」
「中身もですね」
 外見だけでなく中身もだというのだ。
「違いますね」
「そうですね、それでは」
 マガバーンはフォークを右手に取りそのケーキをフォークで切りながら口の中に入れる、それから聡美に対して言った。
「美味しいです、落ち着いた味です」
「そうですか」
「甘さは控えめですが」
「インドのケーキと比べてですか」
「日本のケーキ全体に言えることですが」
 今食べているチョコレートケーキだけではないというのだ、このことは。
「やはりです」
「甘さは控えめですか」
「日本の甘さは全体的に穏やかです」
 そうだというのだ。
「味自体も個性が強くないです」
「それはそうですね」
 聡美も日本にて結構な時が経っている、それで日本の味を食べ慣れていてそのうえで答えるのだった。 
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