魔法少女リリカルなのは ~黒影の死神~
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『第八話』
拓斗side
[ふ~ん、フェレットね……]
俺は家に帰ってから自室の机に置きっぱなしだったソウルに帰宅途中に見つけたフェレットの一件を話した
[で、そのフェレットって魔力でもあったのか?]
「いや、<ソウルプロテクト>かけてたからわからない」
[はぁ?そういう時くらい解除しろよ]
「悪かったよ」
ソウルの言うとおりだ。なんであの時解除しなかったのだろう
<ソウルプロテクト>は自身の体に特殊な魔力コーティングを行うことにより魔力を完全に遮断する魔法だ
発動中は魔力感知では見つからなく、魔力検査でも魔力なしとでる
しかしそのかわり発動者は魔力放出系の魔法が使用不可能となる
「とりあえず害はなさそうだな」
[ま、なにかあっても俺達がなんとかすればいいだろ]
「そうだな」
ピキーン
[拓斗、魔力反応だ]
「<ヤツ>か?」
[いや、純粋な魔力だ。お前が話した動物病院辺りだな]
「わかった、行くぞソウル」
[あいよ、マスター]
ソウルを首にかけ、黒のコートを羽織って家を出て玄関でソウルを握りしめる
「―――我 魂を誘う者也―――」
「―――この身は影となるもの―――」
「―――契約のもと その力を解き放て―――」
「―――血は魔に 体は力に 魂を糧に―――」
「―――このモノは 邪を狩るためにある―――」
「―――この手に魔法を―――」
「ルナティック・ソウル トリガー・オン」
呪文を唱え終えた瞬間、俺の体が漆黒の光に包まれる
光が治まると俺の姿が変わっていた
体を包み込む袖なしのフード付きマント、半袖のインナー、長ズボン、ハーフフィンガーグローブ、靴、全てが黒の姿だ、
左手には漆黒の色をした両刃の大鎌が握られている
「……ソウルプロテクト、解除」
その言葉とともに冷たい感覚が体全体を覆う
ソウルプロテクトを解除し、体に魔力が触れた証拠だ
「急ぐぞソウル」
[わかってるよ]
ソウルの返事を聞きながらすぐに魔力反応のする場所まで建物の屋根を渡り向かった
[ここだな。誰かいるみたいだが]
「あれは……高町?」
次の瞬間桜色の光にあたりは包まれた
そのなかから学校の制服によく似た服を着た高町なのはが出てきた
「エェー!なにこれ!?」
「知らんのかい!?」
高町の反応に思わず突っ込みを入れてしまっていた俺
「ッ!?なのは!ッ前!?」
「え?ッ!?」
フェレットの声に反応して高町は前を向く。そこには魔物が高町に体当たりをしようとしていたところだった
[『プロテクション』]
魔物の体当たりが高町にぶつかる寸前、女性の機械音声と共に高町の周りに桜色の障壁が張られ魔物は弾かれた
おそらく今の障壁は高町の持っている杖型のデバイスが張ったのだろう
が、今はそんなことどうでもいい。他に問題があるのだ
「フェレットが……喋っているだと………」
[いや、気にするとこそこか?]
「だって、あのフェレット喋ったんだぞ?気になるだろ」
[状況見て訳ありの魔法関係者、もしくは使い魔だろ]
それもそうか。ソウルの一言でフェレットへの興味が一気に失せた
[それより、助けないのか?]
「今回だけ助けるか、初心者みたいだしな」
ソウルの質問にそう答え、正体がばれない様にフードをしっかりと被る
「『スモークシューター』」
魔物の足元に向かい魔力弾を放つ
足元に命中した魔力弾は小爆発を起こし大量の煙幕が広がり辺り一面を煙で包み込んだ
『スモークシューター』は見たとおりただの煙幕弾だ
これは一発で半径5mに煙幕が広がる
煙幕で魔物が包まれた瞬間物陰から飛び出し高町とフェレットを抱きかかえ魔物と50m程距離をとる
「え、あれ?え??」
「あ、あなたはどなたですか!?」
いきなり現れたことに高町は混乱し、フェレットは驚きながらも何者かを問いかけてくる
俺はフェレットの問いに
「通りすがりの死神だ。それよりもあれはなんだ?フェレット、お前はあれが何か知っているようだが?」
「はい。あれは忌まわしい力によって生み出された思念体。あれを封じるにはその杖で封印して元の姿に戻さなければならないんです!」
フェレットは高町の持つ杖を指差しながら言う
「なるほどな。ならそこのお前」
「は、はい!」
「そのフェレットから封印の仕方を教えてもらえ。俺はアイツを出迎えなければならないからな」
前を向くとその場には魔物は煙幕を抜け出し目の前まで来ていた
大鎌の刃を漆黒の魔力刃が覆う
「一撃で決めてやる」
大鎌を構え
「『闇黒狩り』」
振りおろした
魔物の動きが止まる
そして、魔物は倒れた
真っ二つとなって
「これで大丈夫だろ……今だ!」
「はい!」
俺の声に答え高町は杖を構える
「リリカルマジカル…封印すべきは忌まわしき器!ジュエルシード!」
[『シーリングモード セットアップ』]
杖の先端部分が変形し、桜色の光のリボンを出し魔物を捕える
[『スタンバイ レディ』]
「ジュエルシード シリアル21封印!!」
[『シーリング』]
さらに追い打ちをかけるように杖からもリボンが出て魔物を貫いて行き、まばゆい光が出る。
「まぶしっ」
光が収まるとそこにはひし形をし【XXⅠ】と書かれた宝石が出てきた。
「これがジュエルシードです。レイジングハートで触れてみてください」
高町が持っている杖はレイジングハートというのか。
フェレットの言うとおりに高町はレイジングハーとの先端の赤い部分で触れると吸い込まれるように宝石は消えた。
それを合図に高町の服装も私服に変わった。
「お、おわったの?」
「はい。あなた方の・・・きょうりょく・・・」
そういってフェレットは倒れた。
「あ、あれ!? 大丈夫なの!?」
いきなり倒れたフェレットに慌て始める高町を尻目にフェレットに近寄り状態を確かめる
「息はある。気絶しただけだ。」
「よ、よかった~」
フェレットが無事なことに安堵のため息を吐く高町
「それじゃ、俺はこれで失礼する」
その様子を見た後俺は高町に背を向けて歩き出す
「あ、あの!」
「どうした?」
高町の呼び止める声に足を止め振り返る
「助けてくれてありがとうございます!」
「別にいい」
「わ、私高町なのはです!あなたの名前は!?」
「先程名乗ったと思うんだが?」
「う……すみません、突然の事だったのでちゃんと聞けてなくて……」
高町のツインテールはシュンと下にさがる
アレは生きてるのか?
「……もう一度だけ言うからしっかりと聞けよ」
「俺の名前は
―――通りすがりの死神だ―――
これが拓斗が死神として不屈の魔法少女と初めて出会った月夜だった
後書き
第八話載せました
この作品を楽しみにしている方(いるのか?)遅くなってすみません
一話の文字数が少し多くなりました
少しはうまくなったでしょうか?
これからもっとうまくなるよう精進していく所存です
次回も楽しみにしていてください!
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