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万華鏡

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第五十話 遂に開催その五

「後のチェックとか出来ないでしょ。テストだって解答の見直しとかしないといけないから」
「委員長って本当に真面目だな」
「そういうことが気になるから」 
 どうしてもだというのだ。
「それでなの」
「そうしたところはか」
「そう、ちゃんとしたいの」
 絶対にだというのだ。
「私はね」
「じゃああんた木村君のこと嫌いなの?」 
 女の子の一人が花澄にふとした口調で問うてきた。
「彼といつも正反対だけれど」
「私いい加減なことは嫌いよ」
 そうしたことはとだ、花澄はしっかりとして言った。
「けれどね、やる時はやるのならね」
「いいのね」
「何もしないよりはね、あれでもやる時はやるから」
 木村のそうしたところは認める言葉だった。
「まだいいのよ」
「じゃあ嫌いじゃないの?」
「公平だし。凄く明るいし」
「そういうところはいいのね」
「プラスマイナスだとプラスの方がずっと大きいと思うわ」
 この辺り数学的だった、簡単な数学であろうが。
「マイナスはいい加減なところだけで」
「だから有能な怠け者なのね」
「そうなの、ただ有能な怠け者とはいう言葉も」
 軍隊から生まれた言葉だ、この言葉は有能な働き者、有能な怠け者、無能な働き者、無能な怠け者の四つに分けられている。
「ちょっと違うと思うわ」
「それドイツの軍人が言ったんだよな、確か」
「そうだったよな」
 ここで男子生徒達が言う、彼等はミリタリーマニアなのだろうかこのことを知っていた。
「それで一番有害なのは無能な怠け者っていうんだよな」
「そうした奴は始末しろって」
「それはどうかしらね」
 花澄は首を傾げさせながら言う、彼等にも。
「私適材適所も大事だと思うから」
「無能な働き者でもか」
「違うんだな」
「そう、向いている場所にいればいいし向いていなくても努力すればね」
 本人がそれをすればというのだ。
「変わるでしょ」
「確かに、言われると」
「確かに」
 クラスの面々は花澄の今の話に考える顔になってそれぞれ言った。
「人間努力も大事だし」
「そういうことも」
「一番駄目な人は」
 どういった輩かとだ、花澄は怒った目で言った。
「何もしないで口だけ偉そうな人ね」
「ああ、そういう奴いるな」
「そうよね、結構」
「本当に自分は何もしないのにな」
「口だけ偉そうに言う奴」
「私そういう人が一番嫌いなの」
 それこそいい加減な人間や無能な働き者よりも遥かにだ。尚花澄は無能な働き者は適材適所で解決出来ると考えているから問題ない。
「だから木村君もね」
「嫌いじゃないのか」
「そうなのね」
「嫌いじゃないのよ」
 このことは強調する、花澄自身も。
「そうじゃないけれど」
「いい加減なところはか」
「何とかして欲しい」
「そういうことか」
「つまりは」
「そう、そうなのよ」
 それでだというのだ。
「全く、どうにかならないかしら」
「いいじゃない、別に」
 ここで新たな声が加わって来た。 
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