ヘタリア大帝国
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TURN115 オリジナル対クローンその九
宇垣が大和に来た、山下と日本兄妹もだ。彼等は東郷に対してすぐにこう言って来た。
「では惑星に降り立ってだな」
「占領に入るぞ」
宇垣と山下が東郷に強い声で言う。
「そしてそれからだ」
「講和だ」
「その交渉だ」
「すぐに大和を惑星に向かわせてくれ」
「はい、では行きましょう」
東郷は宇垣に応えて山下にも言った。
「星に降下です」
「さて、もう陸上戦もないだろうがな」
それでもだった、山下も油断してはいなかった。その手にある剣は鞘に収められていても輝きは鈍ってはいない。
「それでもだ」
「戦闘の用意はしておいてくれ」
「わかっている」
こう東郷に答える、日本兄妹もここで言う。
「それではですね」
「今からですね」
「祖国さん達も来てくれるか」
「はい、ロシアさん達もおられますし」
「それでは」
二人も東郷の言葉に答える。
「私達も交渉の場にいるべきですね」
「今は」
「そうだ、では行こう」
エカテリンブルグにだというのだ。
「これからが外交だ」
「さて、カテーリン書記長はかなり頑固だが」
山下もこのことはよく知っていて言う。
「交渉は進むだろうか」
「どうだろうな、その辺りは」
東郷は今はこう返した。
「外相次第だな」
「わしか」
「はい、やはりこうした交渉なら」
外交の場ならばだというのだ。
「外相のお仕事ですから」
「任せておいてもらう、必ずだ」
宇垣も外相として強い声で語る。
「この交渉を迅速に成功させる」
「御願いしますね、それでは」
「こうした身体だがな」
宇垣の身体はサイボーグのままだ、今の姿はというと。
また変わっていた、巨大な機械の顔の額に本来の顔がある、そんな姿になっていた。
その姿でだ、こう言うのだ。
「わしはわしだ」
「あの、外相何かもう」
日本妹はその宇垣を見て引いた顔で述べた。
「サイボーグというよりは」
「顔だと申されるか、妹殿は」
「そうとしか」
見えないとだ、こう答えるのだった。
「それでお身体の方は」
「あと少しとのことです」
人間の身体、クローン技術で造ったそれがようやく出来上がるというのだ。
「後はそこに脳を移植すればいいのだが」
「そうですか」
「本当にあと少しです
宇垣は期待する声で言う。
「わしは戻れます」
「早くそうなってもらいたいですよね」
「いや、これが中々」
だがここでだった、宇垣は機械の額から笑って言って来た。
「面白いものです」
「面白いですか」
「少なくとも奉職を続けられるのですから」
「外相は満足されていますか」
「わしは動ける限りは動きます」
そして働くというのだ。
「ですから」
「外相さえ宜しければ」
日本妹はまだ戸惑っているが彼さえよければと言ってだった。
そのうえでだ、こう宇垣に言ったのだった。
「私としてはいいです」
「そういうことで御願いします」
こう話してこのことはよしとなった、宇垣は今の身体であっても宇垣のままだった。巨大な顔になっていても。
東郷は余裕のある顔でだ、大和を惑星に向かわせながらこんなことも言った。
「さて、交渉の時はだ」
「何かありますか?」
「紅茶を飲みながら話をするか」
こう日本に言ったのだ、楽しげな顔で。
「そうするか」
「紅茶ですか」
「そう、ジャムを舐めながらな」
「そういえばロシアンティーですが」
ここで日本も言う。
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