ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜
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閑話ー聖槍と聖剣の英雄ー
65.蛇髪の激昂
前書き
第65話投稿!!
出現する第一のボス!!
その強さとは?
灯りがほとんど灯らない薄暗い通路を進んでいく。
「結構、歩いたけどその大型モンスターの一体も出てこねぇじゃねぇかよ」
「だね。まぁ、神殿って名前なだけ大きいからね」
歩くこと約数十分それらしい巨大な扉が俺たちの前に現れる。そのデカさは、SAOのボス部屋のような印象も持つ。
「これみたいだな」
全員が息を飲む。
「それじゃあ、行くぞ」
重くデカイ扉を開け放つ。
真っ暗な空間。明かりも音もひとつない空間に数人の息づかいのみが響く。
それを一つの咆哮というよりは、絶叫に近い叫び声とともにこの空間に光が灯る。
「パパ、みなさんあそこです!」
小さな妖精の少女のユイが指差す方向に視線を向ける。
「なっ.......」
その姿に言葉を失う。
乱れて伸びた緑色の無数の髪が自立で動き、真っ赤に光る瞳、その見た目は、まさしくギリシャ神話に登場する見たものを石に変える怪物、メドゥーサそのものだ。叫びが止んだ瞬間、その横に五本のHPバーと《Governs The Snake》ー蛇を支配者ーとい名が出現。
その瞬間、無数の乱れ髪の眼が全てこちらを向く。とてつもない悪寒が襲う。
「みんな、構えろ!!」
そう言った時にはもう遅かった。
無数の乱れ髪の一つ一つから口から赤色のブレスが飛んでくる。その数、数百を超える。
「そんなのありかよぉ!!」
チート攻撃にもほどがある。
だが、その数百を超えるブレスは俺らの前に出現した何かに拒まれた。
それは土で作られた巨壁。その姿に見覚えがあった。なぜならこの壁は、俺の攻撃を幾度なく拒んできた。
こんなものを一瞬のうちに作り出せる人物などあの女しかいない。
「まったく、私がいなかったら即死だったよみんな」
自慢げに無い胸を張るアーチャー。
だが、そんなこともつかの間、壁は一瞬で砕け散り、メドゥーサが姿を現す。
「そっちから来てくれるとは好都合だ!行くぞ、キリト、クライン、レイナ!」
俺の声に一斉に地を蹴り上げる。
背負われる片手剣と槍を抜きとる。
右の片手剣が赤い光を纏いジェットエンジンのような音が響く。
片手剣重単発技《ヴォーパル・ストライク》物理三割、炎三割、闇四割
刀身の二倍の距離を一気に詰め、メドゥーサの下半身に突き刺さる。
「ひえぇぇぇぇ!!」
苦痛の叫び声がフィールドに響いたことなど気にせず、右手の片手剣から左手の槍へと意識を移動する。技後硬直(スキルディレイ)が起こる前に左手を真っ直ぐ伸ばした状態のまま後ろへと引く。槍のスキルが起動するのが体の感覚で読み取れる。
そのまま槍をシステムアシスト任せに肩を軸にして孤を描くように動かし、上半身の横へときた瞬間、槍を前方へと投げる。
槍投撃技《ターボ・アーチ》
黄金の槍は、腹部めがけて突き刺さる。
再び、その意識の全てを左から右へと移す。肩へと片手剣を斜め向きに担ぎ上げ、一気にそれを前へと突き出し、突進。続けて右足を軸にして右方向に突進。振り下ろし、振り上げ、振り下ろし、上向きの突きを繰り出す。
片手剣五連撃技《ギガレイジ》
右手の意識から技後硬直が起きる前に再び意識を右手と集中させる。右と左のソードスキルを繋ぎ合わせることは、SAOのβテストであの人に教えてもらった知識で行うことはできる。だが右から右への移動は、SAOで行ってみたが出来なかった。ALOではたまたまできたことで見つかったシステム外スキル。成功確率は五割にも満たないほどだ。
「うおぉぉぉっ!!」
意識の書き換えを技後硬直が拒もうとする。それを技後硬直が制す前に脳から右手に向けて電気が走るのを感じとる。
(いける!!)
上の突きの構えから下へと振り下ろし、刀身をしたに向け、右足を軸に体に回転を加える。
片手剣旋回技《スラント・アーチ》
斜めに下から下半身の体に侵入し、アーチを描くように切り裂かれる。
「ひえぇぇぇぇ!!」
絶叫とともに俺の体に技後硬直が襲いかかる。
動けないこの瞬間に上から視線を感じる。それは、今までの蛇の視線ではない。上を見上げるとそれは、メドゥーサそのものの真っ赤な眼だ。
キリトたちの攻撃が受けているはずだが、奴は俺の方をじっと見ている。
(.......おかしい)
技後硬直が解けるはずなのに俺の体は全く動かない。指一本動かすことができない。技後硬直といっても指一本動かせなくなるわけじゃない。
(まさか......!!)
ギリシャ神話の怪物、メドゥーサの眼を見たのものは、体が石になったように動かなくなる。このモンスターも同様に眼を見たものは、体が動かなくなるようだ。
動けない体にブレスが降り注ぐ。
「シュウッ!!」
その声とともに俺の体は、何かに引っ張られる。
「なにしてんのよ、アンタは」
俺の体をしっかり抱きしめるシノン。どうやらシノンの粘着系の弓矢によって引き寄せられたようだ。
「悪い。あいつのスキルにはまった」
硬直が解けた体でメドゥーサのHPバーを確認する。残り一本と半分となっていた。
向こうでは、キリト、クライン、レイナが戦っている。
「さて、やられた分はやり返さねぇとな。あの眼、ぶっ潰す!」
シノンが一瞬、呆れた表情を見せた後、少し笑みを浮かべて俺の隣に立つ。
「あいつの片眼は、私に任せて」
「わかった」
と一言いい、地を蹴り上げメドゥーサとの距離を一気に詰める。
疾走しながら左手を前へと突き出し、右手の片手剣強く握りしめ少し手首に捻りを加え後ろへと引く。
片手剣が青い光を纏う。スキルの起動を体が感じた瞬間、地上を疾走の勢いを加えに蹴り上げる。空へと飛び上がる。
走り込んだ勢いで宙にいても前へと進もうとする。後ろに引いた片手剣を捻った手首を元に戻しながら前へと突き出す。青い閃光が煌く。何もない空に足場が出現したような感覚にそれを蹴り上げ、突進。メドゥーサの宝石のような赤い眼を貫く。
片手剣上方重突進技《アクセル・インパクト》
赤い眼は、砕ける音とともに光のカケラが飛び散る。
絶叫が響くかと思った途端、俺の横を炎を纏った弓矢がもう一つの眼を貫くとともにメドゥーサは、光のカケラとなり消滅する。
「ふぅ。お疲れ」
「マジで疲れたぜ」
「ほんとだよ。こんなのがまだ二体もいると思うとね」
「先が思いやられるわね」
「だね。回復魔法だけでもあれは疲れたよ」
みんなもうヘトヘトだ。
「まぁ、とりあえずなんとか倒せたね」
「最初からあのチート攻撃は、ヒヤヒヤしたけどな」
「だよな」
急に部屋の奥の大きな扉が開く音が響く。それと同時に神殿内に声が響いてくる。
『メドゥーサを倒せし者たちよ。試練はまだ終わらぬぞ。貴様らの試練はここからだ!』
声が消えるとともに先ほどまでメドゥーサがいた場所に光のカケラが集まり形をなし、奥の扉へと吸い込まれていく。
「先に進めってことか」
「どうやら、そうみたいだな」
先の見えない扉の向こうへと俺たちは歩き出した。
後書き
次回、激闘に勝ち抜いたシュウたち。
次に待ち受けるものたちとは?
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