この夏君と・・・・・・
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at NIGHT 5th
すごい……なんてことだ。
俺は自分のことをそこそこ足の速い奴だと思っていたけれど、この速さを知ってしまったらもう今までなんか歩いてたように感じる。
「俺、速いよ夏目!」
すると夏目は振り向いてこう言った。
「当たり前じゃない、今や私とあなたは共同体のようなもの……。もう雪村くんはいかなるものにも負けてはならない。なぜってそれは私が負けるということだから。さあ、今は目の前の敵に集中なさい」
「ああ、って俺素手でこいつらとやんの!?」
「――ならこのレイピア使って! 私は魔法だけでどうにかする!」
夏目は自分の持っていたレイピアを放り投げた。俺はそれを難なくキャッチする。
丁度いい重さだ。試しにくるくるとまわしてみる。まるで十年来の友のようにしっくりとくる。もしかしたら契約をすると感覚も共有するようになるのかもしれない。なんにせよ、これで心配事は無くなった。敵の一人――最も小柄な奴――に狙いをつけると一瞬で間合いをつめレイピアで突きを繰り返した。自分でも予想外なほど凄まじいスピードでレイピアを突き出せている。敵はガードするので精いっぱいのようだ。よし、これならば勝てる。俺はさらに剣のスピードを上げた。
「いっけえぇ――――――っっ!!」
レイピアの先がガードをすり抜けた。
そしてそれから勝負は一瞬でついた。ガードをすり抜けたレイピアの切っ先は敵を深く貫いた。
びくん、と体を仰け反らせて敵は倒れ、そして霧散した。
「消えた……?」
そういえば貫いても血が一滴も流れていなかった。
まあそこらへんのメカニズムは後で話を聞かせてもらおうじゃないか。
「おい夏目! 一人片づけたぞ!」
「Good job! じゃあ私もやっちゃうか」
その言葉を聞いた瞬間俺は空気が変わった気がした。
今までは両者の殺気がごちゃまぜになっていたのだが、この瞬間、全てが夏目の空気に呑まれた。
「術式解放!!」
俺でもわかる。膨大な魔力が夏目に集まり、凝縮され、そして解放された――――。
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