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万華鏡

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第四十九話 準備期間の朝その十六

 だが今は持っていない、それは何故かというと。
「楽器は今大切に保管してるの」
「軽音楽部に?」
「そうしてるの?」
「そうなの、本番までに壊れたらまずいから」
 軽音楽部でそうしているとだ、琴乃は答える。
「部員の楽器は全部ロッカーに保管してるの」
「それでなのね」
「今楽器持ってないの」
「そうなの、部長さんの判断でね」
 そうしているというのだ。
「今はそうしてるの」
「ああ、軽音楽部の部長さんね」
「あの小さい人よね」
「小さいことはチャームポイントらしいのよ」
 琴乃は皆にいつもの言葉も話した。
「本人さんがそう言ってるから」
「いいのね」
「そのことは」
「そうなの、女の子って小柄な方が可愛いってもてるからいいんだってね」
 当人がいつも言っていることだからだ、琴乃は皆にも話す。
「だからいいって、それに小さい人だけれど」
「心は大きいと」
「そう来る?」
「切れ者なの、部長さん」
 そうだというのだ。
「頭の回転が速くてね」
「切れ者なのね」
「あれで」
「そう、頼りになる人よ」
 琴乃はにこにことして部長のことを話していく。
「副部長さんも書記さんもいい人だし他の先輩の人達も」
「先輩がいい部活っていいわよね」
「そうよね」
 皆も琴乃の話を聞いて頷き合いながら話していく。
「あと顧問の先生もだけれど」
「雰囲気がよくなるのよね」
「若し先輩が性格悪いとね」
「顧問の頭がおかしかったりしたら」
 顧問のこともだった、ここで話される。
「大変なことになるからね」
「特に体育会系だとね」
「暴力振るう先生とかいるから」
「いるのよね、本当に」
「凄いのが」
 実在するから恐ろしい、暴力教師は不幸にして何処にでもいてそして生徒達に害を為しているのだ。これが日本の教育の実態だ。
「ヤクザみたいなのがね」
「どうして教師になれたかわからないけれど」
「凄いのがいるから」
「そういうのが暴れて」
 そして大変なことになる、またそれが公になることも少ない。
「うちの学校私立でそうした先生はチェックしてるけれど」
「公立違うみたいだぜ」
「何か組合があってな」
 日教組、日本教職員組合のことだ。極めて排他的でしかも偏向した組織だ。北朝鮮の教育を理想としている輩もまだ多い。
「無茶苦茶酷い奴でもいられるって」
「ヤクザみたいなのとかがかよ」
「酷い世界なんだな、先生の世界って」
「だから時々物凄く無責任な先生とか教えることが有り得ない位下手な先生がいるのね」
 こうした輩も普通にいられるのが教師の世界だ、普通の公務員の世界でも普通にクビになりそうな不祥事を犯す輩でもいられるのだ。
「そう思うと先生の世界って」
「嫌な世界よね」
 こうしたことを話すのだった、そして。
 そうした話の中をしつつこの夜は。
 クラスの面々はしこたま飲んでそうして寝た、文化祭の夜は準備の間も祭りになっているのだ。


第四十九話   完


                       2013・9・9 
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