八条学園怪異譚
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第五十話 秋に咲く桜その四
「お母さんよね」
「何か私そういうキャラになってるわね」
「最近、高校に入ってからさらにね」
そうなったというのだ。
「前からだけれど」
「食堂の娘のせいかしら」
「それはどうかはわからないけれど」
「私はお母さんなのね」
「そういう感じよ」
「それで聖花ちゃんはね」
今度は愛実が聖花に言う、彼女はどうかとだ。
「お姉さんよね」
「そう言われるのよね」
「お母さんにお姉さんね」
「何かおばさんみたいよね」
「そういう感じするわよね」
少なくとも年上だ、間違っても妹という感じではない。
それでだ、二人でぼやくのだった。
「実際は妹なのにね」
「私も愛実ちゃんもね」
二人共そうだ、聖花は姉でもあるが。
「それでお母さんとかお姉さんって」
「違和感あるわよね」
「まあ。何時かはね」
ここでだ、愛実は考える顔で述べた。
「私達もお母さんになるわよね」
「そうね、それはね」
「お店は。私かお姉ちゃんがお婿さん迎えてね」
愛実の店は女の子ばかりだ、それでお店を続けるとなればそうなるのだ。
「やっていくけれど」
「私のところは今お兄ちゃんが修行中よ」
「お兄さんが跡を継がれるのね」
「自分ではまだまだその技量はないって言ってるけれどね、お兄ちゃん」
「そう言う人はいけるのよ」
愛実は自分が今まで見てきたことから聖花に話す。
「謙遜する人は努力するから」
「そうよね、じゃあお兄ちゃん大丈夫よね」
「パン焼くのと接客いいわよね」
「ええ、どっちもお父さん程じゃないけれど」
悪くはないというのだ。
「大丈夫よ」
「じゃあいけるわ、あとはお店はいつも綺麗にしないとね」
「そっちもしっかりしてるから。ただ」
「ただって?」
「愛実ちゃん程じゃないわよ」
いつも綺麗にしている彼女程ではないというのだ。
「流石にね」
「そこで私の名前出すのね」
「だって愛実ちゃんいつもお掃除綺麗にしてるじゃない」
その綺麗好きさについてはクラスでも部活でも定評がある、無論妖怪や幽霊達の中でもだ。愛実の掃除はかなりしっかりしていているのだ。
「他のことだってしっかりしてて」
「そう言うとまたお母さんみたいにってなるのよね」
愛実は苦笑いになって聖花にこう返した。
「私の場合」
「あっ、そうね」
「うん、まあ慣れてるけれど」
愛実は今は普通の笑顔になって述べた。
「もうね」
「そうなのね」
「うん、それにしてもこのパスタね」
イカ墨のスパゲティ、これはというと。
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