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MS Operative Theory

作者:ユリス
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ガンタンクとガンキャノンの開発①

——砲戦・支援用MSの始祖となった、最初期のモビルスーツ——

 U.C.0078,03、ジオン公国のMS開発を察知した地球連邦軍は、対抗兵器の開発や、当時はまだその性能が全く未知数であったMSそのものに対する研究などの必要性から、MSに関する包括的プロジェクト「RX計画」を開始した。

 当時の地球連邦軍はMSに対する見識を欠いていただけではなく、MSを成立させえるミノフスキー粒子散布下の戦闘がどのようなものになるのかも理解していなかった。しかし、ジオン公国が実戦型MSであるMS-05(ザクⅠ)やMS-06(ザクⅡ)を実用化していた以上、対応策は必要だったのである。

 MSとは、ミノフスキー粒子散布下における有視界戦闘に対応した、白兵戦用汎用兵器である。これこそがジオン公国軍がたどり着いた結論であり(逆説的に言えばミノフスキー粒子散布環境下に対応する兵器としてMSが開発された)、これが政界であったことは一年戦争以降の歴史が証明している。

 早い時期に「正解」に辿り着いたジオン公国軍に対し、地球連邦軍が最初期に「MS」として称して開発した機体が、61式戦車の後継機として開発されていたRTX-44をベースとした、RX-75(ガンタンク)である。ガンタンクはザクの様な脚部ではなく、履帯(キャタピラ)を移動方式として採用した、対MS自走砲とでも言うべき機体であった。

 その形態から宇宙空間での戦闘能力は低く、MSとの白兵戦が可能な機体でもなかった。そのため、主力MSとは考えられておらず、長距離支援⁄砲撃用として運用されることになった。

 ガンタンクは、肩部に260kmもの射程を持つ120mm低反動砲二門と、腕部に相当する部分には射程20kmのボップ・ミサイル・ランチャーを8基も装備していた。しかし、有視界戦闘という制限された状況下において、その戦闘力を十全に発揮することは困難であった。

 ガンタンク以降、地球連邦軍はMSを白兵戦用と支援用に分けて開発する方針を明確化し、その中で中距離支援⁄砲撃用MSの開発に着手した。この機体が、RX-78(ガンダム)と同時期に開発されていたRX-77(ガンキャノン)である。

 ガンキャノンはガンタンクとは異なり、「手」としての機能を持つマニピュレーターと、試験機RXM-1で培われた脚部歩行ユニットを採用しており、ほぼ完全な人型MSとして完成した。唯一、ザクやガンダムと異なっていた点が、肩部に二門の240mmキャノン砲を固定装備していたことで、支援機として特化した設計が施されていた。

 ガンタンク、ガンキャノンはザクと比較するとMSとしての完成度は低く、AFV(戦闘車輌)とMSの中間的な機体、もしくはMS開発史における過渡期的な機体という位置づけがなされている。それでもMSが黎明期にあった当時では、「設計を偏らせることで戦術環境に適したMSを開発する」と言う発想が適切で、それが支援用MSと言うカテゴリを生み出したことは評価に値する。





補足事項

——ガンタンクとガンキャノンの特徴——

 ガンキャノンとガンタンクは共に支援機として配備されたが、ガンキャノンはMSとしての側面が強かったため、本来の交戦距離である中距離よりも前に出て参加することもあった。

MS的なガンキャノンとAFV的なガンタンクの差はこうしたところにも表れている。

 
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