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CーGIRL

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第六章

 その彼にだ、僕はこう言ってきた。
「なあ、御前な」
「どうしたのかな」
「最近どうだよ」
 こう僕に言って来たのだった。
「彼女出来たか?」
「出来たって言えばどうなんだよ」
 先輩のことは直接言わずこう返した。
「その場合は」
「そうか、よかったな」
「よかったって」
「いや、俺も色々あったけれどな」
 プールで小学生から人妻まで手当たり次第に声をかけたりしてだ、それだけでどんな無節操なんだと言いたくなるが。
「出来たよ、ここで羨ましいとか言うと思ったか」
「ああ、お約束の展開でな」
「お約束はお約束だよ」
 それ以上の何でもないというのだ。
「いつもその通りにはならないんだよ」
「だからか」
「ああ、俺もだよ」
「彼女が出来たんだな」
「どうだ、いいだろ」
「何歳でどんな人だよ」
 何しろ小学生から人妻まで声をかける様な奴だ、相手がどんな人か気になった。
「やばい人じゃないだろうか」
「聞いて驚け、中学三年生でな」
「年下か」
「従妹のな、近所に住んでいる」
 何処のエロゲだと思った、流石に元首相かとは言わなかった。こいつもあの輩よりは遥かにましな人間だからだ。
「その従妹と付き合いだしたんだよ」
「そうなった成り行きが聞きたいな」
「聞いて驚け、この前な」
 彼は僕達に付き合うことになったなりそめを延々と話しだした、自慢話そのものだった。
 そしてその話が終わってからだ、僕達にこう言った。
「御前等も恋しろよ」
「ああ、御前にも相手が出来たからな」
「俺達にも夢があるな」
「そうだな」
「皆俺を目指せよ」
 こうまで言ってきた。
「いいな」
「ああ、勇気が出て来たよ」
「本当にな」
 皆彼が言うのとは違う意味で希望を見ていた、そうしてだった。
 僕のことは何時の間にかどうでもよくなっていた、僕にとってはそれはどうでもよかったしそれでこっそりとだった。
 先輩にだ、携帯でメールを送った。すると。
 すぐに返事が返って来た、それはというと。
「いいわ、今度のデートは映画館ね」
 快諾の返事だった。
「映画館も楽しみましょう」
 こうメールで言ってきたのだった。
「プール以外の場所でもね」
「わかりました、ただ」
 僕は先輩のメールを受け取ってから返信した、そこにはこう書いた。
「やっぱりプールで、先輩と一緒にいるのが一番です」
 こう笑顔でメールを送った、先輩とはじめて出会ったあの場所が忘れられないから。冬のプールには夏があった、先輩と出会えた暑い夏が。


CーGIRL   完


                          2014・1・2 
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