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万華鏡

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第四十九話 準備期間の朝その十一

「そっちばかり飲んでいたから」
「そうだったの」
「そう、だからね」
 それでだというのだ。
「日本酒は飲んでいないのよ」
「日本酒はどうしても駄目なのね、委員長って」
「最初に一回飲んで口に合わなくて」
 委員は微妙な顔で琴乃に話す。
「それでそれからね」
「おい、日本酒はいいお酒だと飲めるぜ」
「それもかなりな」
 ここでクラスで一緒に飲んでいる男子生徒達が琴乃達に言って来た。
「美味いぜ、いい日本酒は」
「一級とかだったらな」
「まあここには二級しかないけれどな」
「普通の酒しかな」
「一級は違うのね」
 その話を聞いてだ、委員は考える顔になって言う。
「そうなのね」
「ああ、そうだよ」
「いい酒は違うからな」
 日本酒でもそうだというのだ。
「美味いんだよ、飲みやすくて」
「フルーティーな感じでな」
「そうそう、まるでワイン飲んでるみたいな」
「そんな感じだよな」
「ああいうのもいいよな」
「八条グループの日本酒とかな」
 この八条学園を経営しているグループは酒にも進出している、それでここでも名前が出たのである。それでだったのだ。
「五人男な」
「あと大和往来もいいよな」
「あそこの日本酒もいいよな」
「本当にな」
「ううん、そうなの」
 そう聞いてだ、こう言う委員だった。
「それじゃあ日本酒もね」
「ああ、飲んでみろよ」
「ただ糖尿には気をつけろよ」
 男子生徒達はこのことは注意した。
「やっぱり怖いからな」
「明治天皇だってそれで崩御されてるからな」
 このことが危険だった、実際に明治天皇は日本酒を愛されそれが為に糖尿病になられているからである。
「気をつけろよ、日本酒は」
「マッコリもな」
「ええ、そうね」
 委員も真剣な顔で頷く。
「それじゃあ」
「まあ結局酒はどれもだけれどな」
「どれも危険って言ったら危険だよ」
 飲み過ぎは危険だ、アルコールの害もあるのだ。
「ワインだってそうだしな」
「仇っていう位な」
 酒と女は仇だと言われている、太田蜀山人の言葉だ。だがこの言葉の後にはちゃんとこの言葉もついてくる。
「まあ実際に会ってみたいっていうけれどな」
「それでも今は本当に前にあるからな」
「だったら注意しないとな」
「この若さで身体を壊すのも駄目だろ」
「身体は大事にしないと」
 委員もこのことは真面目に答えた、性格が出ていると言える。
「さもないと後が大変だから」
「だろ?だからな」
「身体はちゃんとしないとな」
「さもないと後でこっちが泣きを見るからさ」
「委員長も注意しろよ」
「ええ、ただ私はね」
 柿の種を数粒口の中に入れて奥歯で噛み潰しその味を楽しみながらだ、委員は男子生徒達にこうも言ったのである。
「委員長じゃないわよ」
「ああ、僕だからね」
 男のクラス委員がここで応える、彼はもう日本酒を飲みまくっていて今にも崩れ落ちそうな位にへべれけになっている。 
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