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少年と女神の物語

作者:biwanosin
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『緑の監視者』編
  第二十一話

【神代家より届けられた、真の七人目に付いての資料より抜粋】

神代家に生まれた七人目の王は自らがカンピオーネであることを隠すことを望んだが、此度の八人目との戦闘もあり、これ以上隠すのは不可能と判断する。
故に、彼方がたが調査団を派遣しないと言う条件のもと、我らが王はこの資料の発送を許可した。このことを念頭に置き、資料に目を通すよう。

我らが王は二年前にある教会にて初の神殺しに成功し、神殺しの魔王、カンピオーネとして転生した。
その際にゼウスを殺害し、彼から権能を簒奪した。
それからまもなく、中国にて蚩尤を殺害。それ以降も二年もしないうちに四柱(・・)の神を殺害し、合計六つの権能を所持している。
権能については、同根資料のNo.11以降に掲載。

そして、我らが王は既に七人全員と接触、うち六人と刃を交え、勝利している。このことから、実力についても理解するよう。
それだけではなく、我らの王は権能とは別に『聖槍(ロンギヌス)』『ゲイ・ボルグ』『ブリューナク』も所持している。
それらの武器と自らの槍の腕のみで初の神殺しに成功したことを、ここに記す。



◇◆◇◆◇



「お昼休みに呼び出してしまい、申し訳ありません。ですが、生徒から寄せられる苦情の量が前代未聞のものになりましたので、早期解決が必要だと判断しました」

 六月も終わりに近づき、雨の降り続ける梅雨の季節の昼休み、俺、神代武双は生徒会の仕事で呼び出された。

「ええっと・・・会長。それって、いつものごとくウチの家族関係ですか?」
「いえ、違いますよ、会計さん。今回の苦情は神代家に関するものではありません。と言うか、量が前代未聞なだけで、形上の会議さえ開ければいいレベルですから」
「なるほど、それで当然のように弁当を食べながらの会議なんですね・・・」

 まあ、真面目に取り組むほどのレベルではないのなら、昼食を済ませることを優先しても問題ないだろう。
 まあ、俺は教室においてきてしまったから食べることが出来ないでいるんだけど・・・腹減った・・・

「ええ。それに、会計さんに一つ頼めばそれで会議は終わりますので、聞いてくださいますか?」
「それでも、結局は俺に丸投げなんですね・・・で、苦情の内容はなんですか?」
「『エリカ・ブランデッリと草薙護堂が四六時中いちゃいちゃしていて迷惑』と言うものが、会計さんのクラスの男子から、一人平均五枚くらいで」
「あいつらはアホか・・・」

 しかも、平均すると、なのだから多いやつは軽く十枚を越えているんじゃないだろうか・・・三バカ辺りとか・・・

「と言うわけなので、形ばかりでいいですから注意をしておいてください」
「了解しました、会長。では、弁当が教室にあるので、もう戻りますね」
「家族の皆さんに、面倒ごとを持ち込まないでくれ、と伝言をお願いします」
「無意識のが多いので、難しいと思いますよ」

 そして、俺は生徒会室を出て教室に向かった。



◇◆◇◆◇



「なんか、人数が増えてるな・・・」

帰ってきた俺の目に入ったのは、いちゃついている二人と、それを叱っている万里谷祐理の姿だった。

「あ、お帰りなさい武双。早く屋上に向かいましょう」

 教室のドアを開けて呆然としている俺の前に、アテがやってきてそんなことを言った。

「はい、武双お兄様。お弁当」
「ああ、ありがとうマリー。と言うか、二人ともわざわざ待ってくれてたんだな。先に行ってていいって言ったのに」
「まあ、武双は待っていてはいけないとは言いませんでしたし」
「どうせなら、一緒に行きたかった」
「そいつはどうも。ついでに、あの状況について教えてもらっても?」

 あの状況と言うのは、もちろん護堂周辺のことだ。

「ああ、あれ?いつもの二人の態度に我慢の限界になったらしい三バカが、むしろダメージを食らうこと覚悟であの人にお説教を頼んだ結果」
「はぁ・・・生徒会の仕事が増えそうだ・・・ってか、もうこれは生徒会の領分じゃない気が・・・」
「かといって教師に介入させるわけにも行きませんよ。頑張ってください、武双」
「はいはい・・・じゃあ、屋上に向かうか」

 その後、先に屋上にいた家族と合流し、途中で屋上にきた護堂たちの会話に耳を立てたりして、頭痛の種が増えたのは、また別の話。 
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