魔法少女リリカルなのはStrikerS~青年と機動六課物語~
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第20話『開発者』
?「カズ………起き…………さい」
誰かの声が聞こえる。その声で目を開けると、いつもと変わらない俺の部屋天井と…。
カズマ「なにやってるんだ?ティア…」
ティア「あ、起きた」
この時間にこの場所に居ないはずの人物ティアが何故か俺を見下ろしていた。
カズマ「………」
ティア「…どうしたの、カズマ?ボーっとして、まだ寝てるの?」
カズマ「あ、いや。ここって俺の部屋……だよな?」
辺りを見渡しながらティアに尋ねる。すると、ティアは「はぁ~」と溜息を漏らす。
ティア「なに言ってるのよ。ここがあんたの部屋じゃなかったら何処だって言うのよ」
カズマ「そう……だよな…」
それじゃあ、さっきまでのは全て夢……だったのか?
ティア「ほら、起きたんなら。さっさと着替えて来なさいよ。もう、みんな待ってるんだから」
カズマ「あ、ああ」
そう言ってティアは部屋を出て行った。
◇◇◇◇◇
着替えてから寮の玄関に行くとすでに全員集まっていた。
スバル「あ、カズマ。遅いよ~」
カズマ「悪い悪い」
スバル達と合流して気づいた、この光景…このやり取りこれは機動六課に入って間もなかった頃のものだ。つまり、これは夢なのだと解った。
ティア「ほら、急いで行かないとなのはさんが待ってるわよ」
スバル「そうだね、行こカズマ!」
手を差し出してくるスバル。だけど、俺はその手を取らなかった。この手を掴んだらもうこの夢から覚めない……そんな気がしたからだ。
カズマ「悪い、スバル。先行っててくんね」
スバル「え!?どうかしたの?」
ティア「どうせ、なんか忘れたんでしょ」
カズマ「さすが、ティアだな。よくわかっていらっしゃる。そう言うことだ」
スバル「わかった。先に行ってるから、早く来てね」
カズマ「………おう」
走り出すスバル達を見送ってからその場に座り込む。
カズマ「……次は、現実で再会しような……みんな…」
そう呟き目を閉じた。
魔法少女リリカルなのはStrikerS~青年と機動六課物語~
第20話『開発者』
カズマ「ふぅ~……今日も良い天気だな」
現在、俺は喫茶翠屋の玄関前を掃除中。
なぜ俺がここでアルバイトをしているのかというとそれは、二週間前にさかのぼる。
~回想~
士郎「えっと、カズマくん…だけ?」
カズマ「あ、はい。カズマ・キサラギです」
高町家に泊まった次の日、朝ご飯をご馳走になっていた俺を士朗さんが呼ぶ。それを俺は、少し驚きながら返事をした。
士郎「カズマくんはこれからどうするんだい?」
カズマ「えっと……とりあえず住み込みで出来るアルバイトを探そうかなって思っています」
桃子「それなら、カズマくん。家の喫茶店でアルバイトしてみない?」
カズマ「え!?」
まさかの桃子さんからの提案に驚きの声を上げる。こちらとしては有り難い事なのだが本当に良いのだろうか…。
カズマ「あの。その申し出はとても嬉しいのですが…。良いんですか?昨日合ったばかりの見も知らぬ男をいきなり雇うなんて」
士郎「確かに、キミの言ったとおりだ。なので、まずは一週間研修生として働いてもらって、君の人柄を見せて貰う。そして君が人間的に問題ないと判断できたら本採……と言うのはどうだろうか?」
まあ、それならいいかなと心の中で思う。実際ここから出て行っても行く所などないからな…。
カズマ「……それじゃあ、よろしくお願いします」
少し考えた末、箸を置き頭を下げた。
~回想・終~
―――とまあ、こんな事があったわけで一週間の研修を終え正式採用してもらい今に至るわけで。ちなみに、玄関前の掃除は俺の日課になっている。
カズマ「しっかし、ここ最近暑いな」
腕で汗をぬぐう夏も近いのでここ最近は暑い日が続く。そう言えば、テレビでプール開きしたって言っていたな。
?「やあ、カズマくん。精がでるね」
カズマ「あ、千鶴さん。いらっしゃい」
この白衣に眼鏡の女性は烏丸千鶴さん。地元の大学の学生、翠屋の常連で必ず一日に一回は訪れる。
カズマ「今日はいつもより来るのが早いですね」
千鶴「ああ、講義が休講になってしまってな」
カズマ「とか何とか言って、ただサボっただけなんじゃないんですか?」
千鶴「はっはっは、ばれたか」
千鶴さんは真面目そうに見えて結構なサボり魔でここに講義をサボって訪れる事もしばしば。
カズマ「こんなに、サボってて卒業出来るんですか?」
千鶴「大丈夫だ。なんせ、私は天才だからな」
この人が自ら天才と言うのは間違ってはおらず正真正銘の天才だ。何でも、この前ノーベル賞の候補にもあがったとかなんとか。
千鶴「それより、そろそろ中に入ってもいいだろうか?こう暑くてはたまらない…」
カズマ「あ、はい。どうぞ」
千鶴さんを連れて中に戻るととても涼しい、流石にクーラーをいれたのか…。
桃子「あら、千鶴ちゃん。いらっしゃい」
千鶴「こんにちは、桃子さん。いつもの所は空いていますか?」
桃子「ええ、空いているわよ。カズマくん、お連れして」
カズマ「はい」
千鶴さんをいつもの席つまり彼女のお気に入りの場所に案内する。
カズマ「ご注文は?」
千鶴「ケーキセット!飲み物はアイスコーヒー、ケーキは今日のおすすめで♪」
カズマ「かしこまりました」
注文を受けて桃子さんに注文を伝える。数分後トレイに二人分のケーキとアイスコーヒーがのっていた。
カズマ「あの~……何故に二人分?」
桃子「これは、カズマくんの分。ちょうど、お客も少ないから休憩してちょうだい。それと、千鶴ちゃんの話し相手になってあげて」
カズマ「わかりました」
トレイを持って千鶴さんのところまで戻る。
カズマ「お待たせしました。ケーキセットです」
千鶴「ん、ありがとう。おや?もう1セットあるがそれは?」
カズマ「これは、俺の分です。桃子さんが休憩していいって」
千鶴「ふむ、なら私の話し相手になってくれないか?」
カズマ「最初からそのつもりです」
そう答えて、千鶴さんの前に座る。
カズマ「そう言えば、千鶴さんって大学でどんな研究しているんですか?」
千鶴「なんだ、カズマくんは私の研究に興味があるのかい?」
カズマ「ええ、まあ…」
俺が千鶴さんに尋ねると彼女は目を少し輝かせながら「それでは教えてあげよう」とノリノリで話し始めた、この瞬間、聞くんじゃ無かったと後悔したのは言うまでも無い。
千鶴「私は、『魔法』について調べているんだ」
カズマ「魔法……ですか…?」
『魔法』という単語に俺は聞き返した。
千鶴「ああ、そうだ。この地球に古代から伝わるもの…魔法、これを調べるのは浪漫があると思わないか?」
カズマ「まあ…そうですね…」
千鶴「ん?どうしたのだ、カズマくん。なんか顔が少し引きつっているが」
カズマ「そ、そうですか?(い、言える訳がない、俺となのはさんがその魔法使いなんて…)」
千鶴「?」
俺の曖昧な返事に頭の上に?を浮かべて首をかしげる。
カズマ「あ、それじゃあこの前のノーベル賞の候補ってその研究なんですか?」
千鶴「いいや、今回は違うんだ。まあ、まったく関わっていないわけではないんだが」
カズマ「と言いますと?」
千鶴「私が、今回作ったのは今の科学の随を結集させて作った、杖なんだよ」
カズマ「杖?」
千鶴「そう、魔法使いが使う杖。それを私なりに作ってみたんだよ。これが、その写真」
カズマ(!!これって…)
差し出された写真を見るとそこには一本の剣と銃、形は違うがこれはブレイブハートに似ている……いや、そのものだった。
◇◇◇◇◇
カズマ『なあ、ブレイブハート。聞きたいことがあるんだが…』
ブレイブハート[……なんですか?だいたい、予想は出来ますが]
夕方、バイトを終えた俺は高町家に用意してもらった自室でブレイブハートに話しかける。
聞くことはもちろん、昼間の千鶴さんが見せてくれたブレイブハートそっくりの銃剣が写っていた写真についてだ。
カズマ「それじゃあ、単刀直入に聞くぞ。あれは……あの写真に写っていたのは、お前……なのか?」
ブレイブハート[正確言えば違います。あれは、タイプF(ファースト)。つまり、私の元となったものです]
カズマ『ってことは………お前の開発者って…』
ブレイブハート[はい、マスターの思っている通り。私の開発者はあの方、烏丸千鶴博士です]
やっぱりか、まあ、あの写真見たときから薄々わかっていたけど…。そんなこと思いながら頭を掻き息をひとつつく。
カズマ「なんで、千鶴さんに初めて会った時に教えてくれなかったんだ?」
ブレイブハート[聞かれていな無かったのであえて教える必要は無いかと]
まあ確かにそうだよな、別に今俺が知る必要は無いよな。
美由希「カズくん。居る?」
カズマ「あ、はい。どうぞ」
ノックの後、美由希さんが入ってきた。
カズマ「なにか用ですか?」
美由希「あ、うん。カズくんは明日の午後って時間空いてる?」
カズマ「明日ですか?ちょっと待ってくださいよ」
そう言って、手帳を開いて確認する。
うん、空いてるな。
カズマ「え~と…あ、はい。明日は、午前中だけなので大丈夫ですよ」
美由希「それじゃあ、一緒にプール行かない?」
カズマ「プール……ですか?」
美由希「うん、最近新しく開いた所があってね。明日、なのは達と一緒に行こうかって話ししててね。それで、カズくんもどうかなって」
カズマ「そうですか……わかりました、俺もお付き合いします。美由希さんだけじゃあなのはちゃん達を見るのは大変そうですからね」
美由希「本当!ありがと~。それじゃあ、詳しいことは後でね」
そう言い残すと美由希さんは部屋を出て行った。
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