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久遠の神話

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第六十二話 十二時の決戦その九

「到底です」
「だからですか」
「私は戦い手に入れます」
 その流星の雨の中で言う、眩いばかりの光達の中で。
「私の願いを」
「残念です」
 大石は上に無数の竜巻を放ちそれを縦横無尽に暴れさせた、それで流星達を打ち消しながらこう返した。
「この世が」
「私ではなくですか」
「貴方にそう思わせるこの世が」
「心だけではどうにもならないですが」
「なります」
 絶対にだというのだ。
「神は見ておられるので」
「神ですか」
「私は神を信じています」
 神父なら当然のことだ、そうでもない神父もいるが。
「神は正しき者を必ず導いて下さいます」
「そうであればいいのですか」
「貴方も信じて頂けば」
 その時は、というのだ。
「戦うこともないのですが」
「そうであって欲しいですが」
 しかし彼の考えるこの世では、というのだ。
「そうもいかないのです」
「ですか」
「貴方を倒します」
 絶対にだと、高代は告げた。
「ここで」
「では私は止めます」
 大石も返す、毅然として。
「その貴方を」
「光と風、どちらが勝つのか」
「神が全てを導かれます」
 二人のそれぞれの考えもぶつかる、そのうえでの闘いだった。
 工藤とスペンサー、高橋と王も闘っている。その横では権藤と加藤、広瀬とコズイレフが。剣士達はそれぞれの力をぶつけ合っていた。
 中田は今にも上城を押そうとしていた、彼の気をその力に込めたのだ。
 炎が水を次第に押していく、その中で言った。
「このままな」
「押されるんですか」
「見ろよ。炎がな」
 その炎の色が変わってきていた。
 赤から青になってきていた、その青い炎を見て言うのだ。
「わかるよな、火ってのは赤より青の方が熱いんだよ」
「ええ、つまりは」
「これが俺の今の力だよ、この力でな」
 上城を倒す、そしてだった。
「最後の一人になってやるさ」
「くっ、このままじゃ」
 明らかに押されていた、上城はこのことに危機を感じた。
 それでだった、ここで。
 二人の周りの世界が急に変わった、何と。
 無数の蝶達が出て来た、しかもその蝶達が二人にまとわりついてきた。不意に出て来たそれに二人も戸惑った。
「!?蝶々かよ」
「どうしてここに」
「また色々なのがいるな」
「モンシロチョウにアゲハ蝶に」
 二人は闘いを中断しその蝶達を見る。術も消している。
「カラスアゲハも」
「日本にいない種類もいるな」
「何なんだろう、急に」
「こんなに色々出て来るってな」
 二人だけではない、他の剣士達もだ。
 その急に出て来た蝶の群れに戸惑い戦いを止めた。
 高橋は自分の周りを飛ぶ蝶達を見ながら工藤に問うた。
「何だと思います?」
「この蝶達だな」
「はい、これ何でしょうか」
「力か」
 工藤は周りを飛ぶ蝶達を見ながら応えた。
「剣士のな」
「こんな術使う剣士いませんでしたよね」
「今まではな」
 あくまで現時点限定でのことだった。 
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