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万華鏡

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第四十九話 準備期間の朝その六

「部長さんがいいって言ってくれてね」
「ああ、あの部長さんがなの」
「そうなの、それでね」
「わかったわ、じゃあこっちも頑張ってね」
「うん」
「こっちも結構順調だから」
「みたいね」
 琴乃は微笑んで委員に応えた。
「それは何よりよ、ただね」
「ただ?」
「こっちの夜はどうだったの?」
「結構ね、これがね」
 委員は琴乃がクラスを去った後のことを話した。それは一体どういったものだったかというと。
「壮絶だったのよ」
「皆凄く飲んだのね」
「飲んでそれでね」
「騒いだのね」
「食べてね」
 この要素も加わった、酒の場での要素が全て揃っていた。
「もうどんちゃん騒ぎだったのよ」
「酷いことにはならなかったわよね」
「暴れたり吐いたりした人はいなかったけれど」
 このことは幸いに、というのだ。
「けれど最後皆酔い潰れてね、朝は死屍累々だったわ」
「二日酔いが酷かったでしょ」
「ええ、私もだったから」
「委員長もだったの」
「もう朝起きた時頭が痛くて」
 その時のこと、今朝のことを思い出しながらだ。委員は苦笑いになって話した。
「それで八条温泉まで行って」
「お酒抜いてきたのね」
「サウナでね」
 酒を抜くにあたってのショック療法と言ってもいいやり方を採ったというのだ。
「二日酔いから脱出したの」
「そんなに酷かったの」
「もう動けなくて皆リアカーに乗せられて」
 さながら荷物の様に乗せられてだというのだ。
「お風呂場に、服は何とか自分で脱いで入ってね」
「サウナに入ったの」
「まずは水風呂に入ったのよ」
「そこからだったの」
「一気に身体を冷やして」 
 これも酒の抜き方の一つだ、委員はあえてそれをしたというのだ。
「そこで頭から完全に冷やして、サウナに入って」
「お酒抜いたのね」
「一回じっくりと汗をかいてシャワーでその汗を落としてまた水風呂に入って」
「そうしてまたサウナに入ったのね」
「そうしてね」
 かなりの荒療治をしてだ、そしてだったというのだ。
「お酒抜いたわ」
「大変だったわね」
「ええ、何とかそれで復活して」
「今やってるのね」
「きつかったわ、正直」 
 委員は朝のことを思い出しながら琴乃に話す。
「琴乃ちゃんはどうだったの?」
「私?」
「そう、琴乃ちゃんもお酒が残っていたでしょ」
「私はそれ程じゃなかったけれど」 
 実際にそうだった、琴乃は絵を描きつつ委員に話す。
「普通にシャワーで済んだわ」
「お酒それで抜けたのね」
「そう、すっきりしたから」
「琴乃ちゃんクラスでもかなり飲んだわよね」
「結構ね、それでもね」
「お酒強いからね、琴乃ちゃん」
「そのせいかしら、とにかくね」
 難しい顔のままでだ、琴乃は委員に話す。 
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