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いつの間にかハイスクールD×Dの木場君?

作者:ユキアン
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混沌のプライド
  第9話

堕天使の事件からしばらくして、サーゼクス様にお会いしてリアス部長に関しての相談を行った。サーゼクス様はもう少し長い目でリアス部長のことを見て欲しいと。自分が急に魔王の座に付いてしまった為にリアス部長に全てを押し付ける形になり、リアス部長なりに次期当主として頑張っているのだそうだ。

……それを言うとソーナ様も同じ条件なのだが、サーゼクス様直々に頼まれたとあってはしばらくはこのままで居るしか無いのだろう。代わりと言ってはなんだが、今回の功績と魔剣を納めていた貢献から試験無しでの中級悪魔への昇格を言い渡された。おそらくは次にリアス部長が何か重大な失態を犯し、僕が解決した場合に上級悪魔への昇格から独立出来る様にという考えだろう。そういう考えがみえたので今回はここまでにしておきましょう。



未だに赤龍帝の篭手が覚醒しない兵藤君の為にちょっとした訓練をつけることにしました。この前のフリードのようなことが絶対に無いとは言い切れませんからね。というわけで結界で運動場を隔離してルゥの出番です。

「木場、その子誰なんだ?」

「この子はルゥ、僕の持っていた魔導書の精霊です。幼い見た目ですが、グレモリー眷属内での危険度はトップクラスですから」

「へ?」

「それじゃあルゥ、アトラック・ナチャを化身させて」

「りょうかい、ますたー。おいで、アトラック・ナチャ」

ルゥを構成する頁が飛び出して、アトラック・ナチャを形成する。女性と蜘蛛を混ぜた様な姿で、魔導書としてのおぞましい気配を漂わせながら兵藤君に襲いかかる。

「殺傷能力は低い方だけど、油断すると死ぬか廃人になるよ」

「それを先に言えええええ!!!!」

兵藤君がアトラック・ナチャのページモンスターに背中を向けて逃げ出す。ああ、そんなことをすると糸から逃げれなくなるよ。案の定すぐに拘束され、腕を喰いちぎられそうになった所でBoostと言う音声と共に赤龍帝の篭手が覚醒したのを感じる。まあ2倍になった程度ではアトラック・ナチャの拘束を解くことは出来ずに右肩を喰いちぎられたけど。そこで一度アトラック・ナチャをバルザイの偃月刀で斬り、頁に戻してから兵藤君の肩を治療する。

「とりあえず今日はこれで終了だね。これから毎日戦ってもらうから」

「こんなのと毎日戦うのかよ」

喰いちぎられた場所を押さえ、震えながら兵藤君が聞いてきます。

「残念ですけど、長生きしたいなら戦ってもらうしか無いですね。兵藤君の神器、それは龍の篭手なんかじゃなくて赤龍帝の篭手と呼ばれる神滅具です。10秒毎に倍化の力を貯めれて、時間さえかければ神をも葬ることが出来ると言われている物です。そして龍は争いを招く生き物。そして赤龍帝には対と為す存在、白龍皇が居ます。仲が悪い両者は神器に封じ込められる前から争い続け、封じ込められてからも宿主を変えて争い続けています。死にたくなければ戦って勝ち取るしかないんです」

「嘘だろう?」

「残念ですが現実です。ですが、兵藤君にとってメリットもありますよ」

「メリット?」

「龍は確かに争いを招きますが、それ以外の物も引き寄せます。財や、女性ですね。ハーレム、作り易いですよ。悪魔の方では一夫多妻ですし、力があれば簡単にお金を稼げますし、女性もよりどりみどりですね」

「マジで!?」

「はい。何人かそういう人に会ってますから。欲望を抑える必要が少ないのが悪魔社会です。もちろん、それには力や功績が必要です。ですが、赤龍帝なら力はすぐにつきます。死ななければね」

「結局はそこに行きつくんだよな」

「まあ頑張って下さい。対価さえ貰えばドーピングにも協力してあげますから」

「ドーピング?変な薬か?」

「魔剣ですよ。小指の爪位の大きさの魔剣を身体に埋め込んでそれに魔力を通すだけで簡単に強くなれます。まあ兵藤君のゴミみたいな魔力だとどうしようもないんですけどね。そこはこの前渡した魔剣に日頃から魔力を込めて頑張って下さいとしか言えませんけど」

「魔力って増やせるのか?」

「日頃から使ってると増えますよ。僕は5歳のときから毎日底を付くギリギリまで使い続けてきましたからかなり魔力は多い方です」

実際の所、魔力量自体は部長より少し多い位ですが、質が段違いなんです。普通の悪魔が使う魔力が精製前の石油で僕はジェット燃料並みに。同じ1の魔力で結果は数十倍の差が現れるんです。たぶん、アーチャーの記録と無限の剣製を使い続けた所為だと思うのですが、実際の所よく分からないんですよね。気づいたのは最近ですし。

もしかしたら魔導探偵や逆十字の魔力も僕の様に質が高い物なのでしょうか?それならあの力にも納得ですね。

「ということで何とかアトラック・ナチャに勝てる様になって下さいね。本来のアレは拘束術式なんですから」

「いや、なんで魔導書があんな化け物に」

「それを言うと目の前に居るルゥも化け物になるんですけど」

「ますたー、わたし、ばけもの?」

「ごめんなさい」

「彼の言うことは気にしなくて良いですよ。ルゥはルゥですから」

「うん、わかった」

ちょっと不安そうにしているルゥを抱きかかえて結界を解きます。

「それじゃあ、今日も元気に悪魔稼業を頑張りましょう」

「お~」








兵藤君の特訓を始めてから三週間程経った頃でしょうか。部室に顔を出すと部長がイラついている顔でソファーに座り、その後ろにグレイフィア様が居ました。はて、何かあったのでしょうか?念のためにルゥを呼び出しておきましょう。白音さん達も部室に来るなり、グレイフィア様を見て首を傾げていました。しばらくして兵藤君も部室にやって来たことで部長が口を開きます。

「今日は皆に話があるの」

「お嬢様、私からお話ししましょうか?」

「いえ、私から話すわ。これは私の問題だもの。皆、実はね」

と部長が話し始めた途端、床の魔法陣が光り始めました。話の邪魔なので隔離結界の魔剣を突き立てて強制的に転移をキャンセルします。

「あっ、気にしないで続けて下さい」

「……何を為されたのですか?」

「重大な話を邪魔されたくないので旧校舎一帯を隔離させてもらいました。何か不都合でしたか?」

「いえ」

そして部長が本題に入ってくれました。

「私、結婚することになったの」

「それはおめでとうございます」

「めでたくなんかないわよ!!」

「何故です?お相手に何かご不満でもあるのですか」

「不満も何も、私の意見なんて一つも聞かないで、当初の約束すらも無視して結婚しろというのよ」

部長の意見が一切入らないのは貴族として仕方ないことだと思いますが、約束を無視してですか。それは気に喰いませんね。約束を破るということは契約を守らないということです。それは許せませんね。

「グレイフィア様、この話、何処の誰が乗り気なのですか?あと、当初の約束に付いても詳しくお願いします」

「そう言うと思いましてこちらに資料を用意しております」

「祐斗?グレイフィア?」

部長が不思議そうにしていますが後回しです。資料に目を通して分かったことは、当初の約束では部長が大学を卒業後に婚約を発表、数年の内に結婚を予定していたみたいです。お相手はフェニックス家の三男ライザー様。部長とライザー様は面識はあるそうですが、部長の趣味には合わなかった様です。というかライザー様の眷属は全て女性でハーレムですか。部長、そういうの嫌いそうですからね。

一番乗り気なのはライザー様のようですが、両家共に前向きに検討しているみたいですね。まあ、悪魔社会の事情から考えれば分からないでも無いです。数を増やす為に子づくりは奨励されてますが、そもそもの出生率はそんなに高くないからこそ転生悪魔で数を増やしているのが現状ですから。

サーゼクス様は部長が望まないのであればレーティングゲームによって婚約を破棄しても良いと考えている様ですね。これは都合が良いですね。兵藤君の特訓のエネルギーになります。本当に良い機会です。白音さん達の経験値も稼げますからね。それに部長の王の器を調べるには持って来いです。

「部長、どうしてもライザー様との結婚は嫌なのですよね」

「ええ、もちろんよ」

「サーゼクス様は部長が嫌だと言うのならレーティングゲームによって決着を付ける様にとのことです。勝てば婚約の破棄、負ければ結婚。単純にして分かり易い上に実に悪魔らしい考えです」

「本当なのグレイフィア」

「はい。レーティングゲームに勝利したのなら婚約の破棄、また、お嬢様の婚約相手はお嬢様自身が決めても良いとのことです」

「それはライザーも承知なの?」

「いえ、お嬢様がレーティングゲームを行う意思があるのを確認した後にお伝えする予定です。準備期間などもございますので10日後を目処にレーティングゲームを開催する予定です」

10日か、どう頑張ってもライザー様を倒せる位にまで成長することは不可能だね。だからこそ余計に部長の王の器が知れる。

「分かったわ。その提案受けるわ。やるわよ、皆」

「「「「はい」」」」

「ではライザー様の方にもご報告させて頂きます。詳しいことは後日」

一礼して転移しようとするグレイフィア様に合わせて剣を折る。そしてグレイフィア様が転移すると同時にもう一度同じ剣を作り出して床に突き立てておく。

「それで部長、これからの予定はどうします?」

「もちろん合宿よ。レーティングゲームの間、学校も悪魔稼業は休んで特訓するしかないわ。今日の所はお得意様に召還に応じれないことを説明して回って来て。明日からはグレモリー家の別荘で特訓をするからその準備も忘れない様に」

方針は悪くないですね。というかこれ以外だったら見捨てる気でしたけど。
さて、部長は一体どう言う特訓を指示するのか見物ですね。

 
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