こんな私(俺)の物語
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第九話 チェスゲームですか戦闘ですか
前書き
お気に入り登録200件突破!
総合評価500件突破!
累計ユニークユーザー10000件突破!
累計ページレビュー35000件突破!
感謝!圧倒的感謝!
私、結界ではすごいの。
======================================================================================
レーティングゲーム当日。深夜10時。二時間後の深夜零時にレーティングゲームは始まる。俺はレーティングゲームは長引く事があると聞いたので、朝食を籃に任せた。部室には三十分前に集合。因みに俺の服は非想天則の八雲紫。全身紫ドレスじゃ無い方だ。俺だけ制服ではないが、この服が一番着なれている。
「紫」
「何?幽々子」
「本当に大丈夫?」
「大丈夫よ。救済処置もあるから、死ぬことは無いわ」
「でも・・・・・・」
「じゃあ約束。絶対に一人にしないから」
「うん、行ってらっしゃい」
「ええ、行っていきます。籃、いざというときは頼んだわ」
「はい。任せて下さい」
俺は学校に向かう。夜道だが、夜目はきく。ついでに耳も。
「あなたは食べてもいい人類?」
・・・・・・え~と、何故ここにいるのでしょうか?ルーミアサン。
「食べてはいけない人類よ」
「そーなのかー」
リアルそーなのかー、ありがとうございます!東方名セリフですからね!
「変わりと言っては何だけど、カマボコならあるわよ」
何故かスキマに入っていた。品質の劣化がない。あ、そういえばとあるものを創っていた。スペカに必要な小道具。本当は大きいけど小道具。正体は後のお楽しみ。
「ねー、もうないの?」
既に食べ終わってた!さすがは腹ペコ属性!スキマを漁ってみる。あ、
「(何故、かんぴょう?)」
カオス過ぎる。まあ、このあと食材やらお菓子やらあげていた。
餌付けしてたら、時間が十一時半。
遅刻だ。スキマあるのに遅刻って・・・・・・。
=======================================================================================
兵藤一誠said
深夜十一時四十分頃。俺は部室に到着した。紫さん以外の部員は旧校舎の部室に集まっていた。みんなリラックス出来る方法で待機している。アーシア以外は制服だ。
木場は手甲と脛あてを着けていた。
子猫ちゃんはオープンフィンガーグローブを着けて本を読んでいる。
朱乃さんと部長は紅茶を飲んでくつろいでいる。さすがはお姉様、便りになるぜ。
俺とアーシアは座って時間を待っている。でも、紫さんはいない。
「あの、部長、紫さんはまだ来ないんですか?」
「ええ。まったく、遅刻なんて、何処で道草食ってるのかしら?」
大丈夫かな?そう思った時、空間に裂け目が出来た。両端が赤いリボンがついている。
紫さんのスキマだ。
ここだから言うが、部長たちは紫さんの神器を空間移動系と言っているが、俺は違うと思う。俺が紫さんの神器の力を感じたのは、俺が人間の頃、レイナーレに殺された時だ。その時は紫さんだとわからなかったが、今思うと紫さんの仕業だったんだよな。俺を見ていたのは、スキマを使えば出来るが、俺の命を部長を呼ぶまで止めていたのは、さすがに空間移動では説明出来ない。
紫さんは神器は応用でいくらでもやれることが増えると言っていた。じゃあどんな応用があるんですか?って聞いたら、
「赤龍帝の籠手は倍加した力を譲渡できるらしいから、相手の痛覚神経に譲渡したらどうかしら?何倍も強い痛みを感じるから簡単にショック死させられるわよ?後は思考速度に譲渡して頭の回転でも早くしたら?」
えげつない。ショック死って。
まあ、そんな事はさておき、さっきの話の続きをしよう。
次にあった出来事は、悪魔に転生したあと、公園でドーナシークにあった時だった。その時、光の槍を受けたのだが、どんどんと光の槍が黒くなっていった。同時に焼かれるような痛みも和らいだ。
本当に紫さんの神器は何なんだ?謎は深まるばかりだ。
このあと、アーシアを助けるために紫さんに協力を求めたが、そこで堕天使の攻撃を受けてしまって重症だった。幸い、部長の残っていた兵士の駒を使って転生して一命をとりとめた。
その時に紫さんの親友の幽々子さんが来た。紫さんの家は紫さんと幽々子さん、それと籃さんの三人暮らしらしい。女性だけ!是非一緒に住みたい!
さらに、悪魔になった事で、紫さんもオカルト研究部になし崩し的に入部した。一緒に鍛えた。でも、俺男なのに、紫さんに負けた。運動神経以外とあった。
そして、紫さんの神器が空間移動系では無いと確証したのは、山での修行の時だ。
アーシアがお祈りで頭痛を感じたあと、紫さんはアーシアに対して神器を使った。するとアーシアが祈っても、ダメージを受けなかった。何故かは分からない。でも、紫さんはアーシアの為にやってくれたのだろう。
お、紫さんが被っている特徴的な帽子が見えてきた。
時間が十一時四十五分になった時だった。
saidend
=======================================================================================
スキマを使って部室に転移。いやぁ、便利ですなぁ。
「遅刻よ、紫。何をしていたのかしら?」
正直に答えよう。
「食べられそうになったので、逆に餌付けしてました」
幼女を餌付けしていた、とも言う。
「・・・・・・まあいいわ。すぐにレーティングゲームだから、気を引き締めて」
それだけ言って、また紅茶を飲み始めた。俺はその辺の椅子に座って近くの壁に傘を立て掛けて瞑想(最も、ただ目を瞑っているだけだが)をして待っている。五分後、部室の魔方陣が光だし、グレイフィアさんが現れる。
「皆さん、準備はお済みになられましたか?開始十分前です」
皆が立ち上がったので、俺も立て掛けてある傘を取り、立ち上がる。
「開始時間になりましたら、ここの魔方陣から戦闘フィールドへ転送されます。場所は異空間に作られた戦闘用の世界。そこではどんなに派手な事をしても構いません。使い捨ての空間なので思う存分どうぞ」
何気なくこの空間製作凄いよな。使い捨ての空間の製作費っていくらぐらい?敵を閉じ込める事も出来るな。
俺は逃げられるが。
「あの、部長」
「何かしら?」
「部長にはもう一人『僧侶』がいますよね?その人は?」
途端に空気が微妙なものとなる。もう一人の『僧侶』のギャスパーは神器をコントロール出来ていないから、参加しないんだよな。あと、人見知り?なのかな、対人恐怖症みたいなものだし。
「残念だけど、もう一名の『僧侶』は参加出来ないわ。いずれ、その事についても話すときが来るでしょうね」
目をそらして言う。空気が重くなる。そんな中、グレイフィアさんが口を開いた。
「今回の『レーティングゲーム』は両家の皆様も他の場所から中継でフィールドでの戦闘をご覧になります。さらに魔王ルシファー様も今回の一戦を拝見させておられます。それをお忘れなきように」
「お兄様が?・・・・・・そう、お兄様が直接見られるのね」
一誠が挙手をして、
「あ、あの、今、部長が魔王様の事をお兄様って・・・・・・。俺の聞き間違いでしょうか?」
「いや、部長のお兄様は魔王様だよ」
「ま、魔王ぉぉぉぉぉっ!?部長のお兄さんって魔王なんですか!?」
「ええ」
混乱する一誠。
「部長のファミリーネームと魔王様方の名前が違うから、混乱していたりする?」
「ああ、まあな」
「先の大戦で魔王様は致命傷になられてね、既に亡くなられたんだよ。しかし、魔王なくして悪魔はあり得ない。そこで、強力な力をもつ者へ名を受け継がせたんだ」
『ルシファー』も『ベルゼブブ』も、今や役所名。
「正直に言うと、神陣営、堕天使の組織、悪魔、この三竦みの中で一番力を持っていないのは悪魔なんだよ。結構危ない状況なんだけど、現魔王様が先代魔王様に負けず劣らずでどうにか保ってるんだ」
「じゃあ、最上級悪魔として部長のお兄さんが魔王に選ばれたわけか?」
「サーゼクス・ルシファー、『紅髪の魔王』それが部長のお兄様であり、最強の魔王様だよ」
「・・・・・・だから、部長は家を継がないといけないのか」
身内が凄いと自分も同じだけを求められる。良いとこに生まれるのも考えものだな。やっぱり平凡一番。
「そろそろ時間です。皆様、魔方陣の方へ。なお、一度あちらに移動しますと終了するまで魔方陣での転移は不可能となります」
スキマなら出れるのね。安心した。いざというとき幽々子の元にすぐに行ける。
そして光が俺達を包み込んで、転移した。
=======================================================================================
目を開けて見えたのは、先程と同じ部室。俺は初めてだが、原作知識があるから特に疑問もない。すると、アナウンスが入った。
『皆様。このたびグレモリー家、フェニックス家の「レーティングゲーム」の審判役を担うことになりました、グレモリー家の使用人グレイフィアでございます。我が主、サーゼクス・ルシファーの名の元、ご両家の戦いを見守らせていただきます。どうぞ、よろしくお願い致します。
さっそくですが、今回のバトルフィールドはリアス様とライザー様のご意見を参考にし、リアス様が通う人間界の学舎、「駒王学園」のレプリカを異空間にご用意しました。両陣営、転移された先が「本陣」でございます。リアス様の本陣が旧校舎のオカルト研究部の部室。ライザー様の本陣は新校舎の生徒会室。「兵士」の方は「プロモーション」をする際、相手の本陣の周囲まで赴いてください』
プロモーションは、チェスと同じで、兵士の駒を王以外の駒に変えることができる。が、正直大したことない。大本の本人の力が重要だし。
俺の場合、スキマですぐにプロモーション出来るが、事前に敵の本陣に直接転移は禁止された。同時に他の兵士もプロモーションできるしな。二人しかおらんが。
「全員、この通信機器を耳に着けてください」
イヤホンマイクタイプの通信機を耳に着ける。これで見方同士のやり取りをする。俺には余り関係無いが。
『開始のお時間となりましたら。なお、このゲームの制限時間は人間界の夜明けまで。それでは、ゲームスタートです』
学校のチャイムがなる。さて、始めましょうか。
=======================================================================================
「まずはライザーの『兵士』を撃破しないといけないわね。全員が『女王』に『プロモーション』したら厄介だわ」
俺悪魔だと肉弾戦の方が強いもんな~。ただ、お茶用意したり余裕過ぎるだろ。死ぬことはないとはいえ、不慮の事故もあるって言うのに。俺から見たら油断だぞ。
「ぶ、部長、結構落ち着いてますね・・・・・・」
「イッセー、戦いは始まったばかりよ?元々『レーティングゲーム』は短時間で終わるものではなく、実際のチェスと同じで大概は長時間を使うわ」
「短期決戦の時もあるけどね、一誠」
「紫は分かってるわね。『レーティングゲーム』は戦場を使い込んでこそ意義がある。大抵の場合、両陣営の本陣は砦か城、もしくは塔になるわね。本陣と本陣の間に森や川、山、湖を挟んで大掛かりな戦闘をするのよ。今回は学校が舞台。裕斗」
「はい」
学校の全体図の地図。マス目とかを書いてチェスボードのようにしている。
「私たちの本陣近辺に森があるわ。これは私たちの領土と思って構わないわ。逆に新校舎はライザーの陣地ね。相手の巣だと思って。校庭は新校舎から丸見えだから危険ね」
「それじゃあ、新校舎には裏の運動場から向かうのですか?」
「普通ならね、でも、そんなの相手だって理解してるわ。運動場に下僕を配置するでしょうね。恐らく、機動力の高い『騎士』を一名と下に『兵士』を何人か配置するわ。それなら運動場を全域把握出来る」
「部長、旧校舎寄りの体育館を先に占拠しませんか?ここを取れば新校舎までのルートが確保出来ます。位置的にも新校舎と旧校舎に隣接しているので、相手への牽制になります」
「ええ、地上のルートは体育館を経由しましょう。本当は紫の神器を使いたかったのだけれど・・・・・・」
「始まる前に禁止されちゃいましたからねぇ」
「仕方がありませんよ。敵本陣に何処からともなく奇襲をかけられるんですから」
「・・・・・・ゲームバランスブレイカー」
「確かに。それなら禁止されますね」
「好き放題言わないでくれるかしら!?」
幽々子以外に初めて突っ込んだ!
「でも実際、攻撃には役にたたないわ」
止めをさしたリアス部長。実はイッセーは弄れても紫が弄れなかったからそんな反応を見たかったらしい。
因みに、乗った皆も同じ気持ち。
哀れ紫。見方はアーシアだけか。
「裕斗と子猫は森にトラップを仕掛けてきて。後で皆にもトラップの場所が書いてある地図をコピーして渡すわ」
「はい」「・・・・・・了解」
トラップってどんなのだ?トラバサミ?
「トラップ設置が完了するまで他の皆は待機。あー、朱乃」
「はい」
「裕斗と子猫が帰ってきたら、森周辺、空も含めてライザーの眷属にのみ効く幻術と霧をかけておいてくれるかしら。序盤はこんな感じかしら、中盤に動きが激化しそうだけど。霧と幻術の件、お願いね、朱乃」
「わかりました、部長」
「紫」
「・・・・・・何ですか?部長」
俺は今沈んでるんだよ。よってたかって弄りやがって。
「えっと、探知用の結界ってはれる?」
「ああ、探知用の結界ですか。はれますよ」
伊達に境界を操れるわけじゃない。結界に関しては凄いぞ、俺。
「じゃあ今すぐはってきなさい」
「えっと、まだトラップ設置中では?」
「スキマ使えばはれるでしょう?」
ああ、そういうことですか・・・・・・。
「行っていきます・・・・・・」
「お願いね」
えっと、見えない膜のような結界を張って、そこをライザーの眷属が通ったら感知できる結界。時間はかからんな。
「部長。終わりまし・・・た・・・よ」
感涙流している一誠。理由は部長に膝枕されているから。
アーシアが涙目で見てる。大丈夫か、こいつら。
「え?あ、ああ、紫。ありがとう。ちょうどよかったわ。あなたの封印も解くわ」
「封印?」
そう言うと、俺の中から力が溢れてきた。ああ、そういえば、俺も兵士だったからな。
「イッセー覚えてる?あなたを下僕に転生するとき、『兵士』の駒を七個使ったって話を」
「はい、覚えてます」
「その時、イッセーの力は悪魔として未成熟過ぎたから、『兵士』の力に制限をかけたの。ただの人間から転生したばかりのあなたでは、七個分の『兵士』の力に耐えられなかった。単純な話、朱乃の次に強力な力となるのだから、よほどの力をつけないとイッセーの方が壊れてしまう。だから何段階かに分けて封印をかけたのよ。それを今、少しだけ解放させたの。あの修行は、ブーステッド・ギアと『兵士』の力に対応するためのもの。まだまだ足りない部分もあるけれど。紫も同じようなものよ」
そう言って一誠の頭を撫で撫でする部長。
当然、キツくなるアーシアの視線。
「いい、イッセー。相手が女の子でも倒すのよ?手加減しちゃダメ。あちらは手加減なんてしないのだから」
「わ、わかりました!」
「そう、いい子ね。『プロモーション』は『女王』になること。最強の力を持つ『女王』になれば戦況が変わるわ」
「男の俺が『女王』になるってのもなんだか変な話ですね。紫さんにはピッタリだと思いますけど」
ちょっと待て、それどういう意味じゃ!
「それには同意するわ」
どういう意味じゃ!!
「駒の役割名だから、深く考えなくてもいいのよ。ウチハただでさえメンバーがライザーより少ないわ。別役割を覚悟でやらないといけないから、一人でも欠いたら戦いがきびしくなるわ」
「部長!俺、絶対に部長を勝たせて見せます!」
「ええ、期待しているわ。私の可愛いイッセー」
あ、良く良く考えてみれば、リアスがライザーと結婚したら、リアスの眷属=ライザーの眷属何てことになって口にするのも躊躇うことされる可能性も!?
絶対潰す!
あくまで力を極限まで隠しながら!
=======================================================================================
「よし!」
隣で気合いを入れる一誠。静かな子猫。現在の場所は旧校舎の玄関。
「いい、イッセー、子猫、紫。体育館に入ったらバトルは避けられないわ。指示通りに頼むわね。あそこは重要な場所になるわ」
「(コク)」
「俺も問題ありません」
「大丈夫です」
「では、僕も動きます」
「裕斗、例の指示通り動いてちょうだい」
「了解」
木場は別行動。
「アーシアと私は待機。けれど、イッセーたちの合図があったら、私と共に前に出るわ。絶対にあなたはやられちゃダメよ。回復サポート要員に倒れられたら元も子もないわ」
「は、はい!」
「朱乃は頃合いを見計らってお願いね」
「はい、部長」
「紫は傷ついた仲間の救助。それと、直接転移は禁止されてるけど、自分の足で行ったとこまでは転移可能だから範囲を広げること。退路の確保は任せたわ」
「わかりました」
「さて、私の可愛い眷属たち。準備はいいかしら?もう引き返せないわ。敵は不死身のフェニックス家の中でも有望視されている才児ライザー・フェニックスよ。さあ!消し飛ばしてあげましょう!」
『はい!』「はい」
テンション低いのは俺。だから俺は余り争いたくないといったはずだ。
そんなことはさておき、一誠と子猫についていく。
「イッセーさん!皆さん!頑張ってください!」
アーシアの応援が聞こえる。けなげだなぁ。
体育館に向かう。途中で木場と別れ、一誠たちと裏口から侵入する。ん?敵の気配がする。隠密なってねえな。
「・・・・・・気配。敵」
「そこにいるのはわかってるのよ、グレモリーの下僕さんたち!あなたたちがここへ入り込むのを監視していたんだから」
ライザー・・・・・・面倒だから焼き鳥の眷属。いるのは、
チャイナドレスの娘と双子、部室で棍振り回そうとしたミラって眷属。
『戦車』が一人、『兵士』が三人。なめられたものだな。こっちは『戦車』一人、『兵士』二人。戦力差は余りないと思うが、一誠ショボいしな。
「ブーステッド・ギア、スタンバイ」
『Boost(ブースト)!!』
一誠が神器を起動させ、力を溜めに入った。俺も傘を閉じたまま構える。この傘はちょっと特別製だ。
「・・・・・・イッセー先輩と紫先輩は『兵士』をお願いします。私は『戦車』を」
「ああ!」「ええ」
そうしてお互いの相手と対峙する。チャイナドレスの娘は中国拳法の構えをとる。
・・・・・・門番を思い浮かべた俺は悪くない。ミラさんが棍を構える。
最後に双子がニコニコ顔でチェーンソーを構える。
ちぇぇぇぇぇぇん!
はっ!俺はいったい何を!?
にしても、ニコニコしていると毒気が抜かれるな。ドルルルルルルルと危険な音を立ててこちらに対峙する。
「解体しまーす♪」
・・・・・・コイツら、その手に持っているもので生き物を殺そうとしているということを自覚していないのか?
ニコニコニコニコしやがって。段々イライラしてきた。
少し離れたところでは『戦車』同士の戦闘が始まっている。
ヒュッ
ん?もしかしてミラさんが俺に向かって棍を振ってきたのか?かなりスピードがある。が、まだ遅い。片手で受け止める。同時に作用と反作用の境界を操り、棍からくる作用を反作用にして、棍に俺を殴ろうとした威力の二倍以上の衝撃を与える。案の定、棍は折れた。
「え!?」
傘を薙いで弾き飛ばそうとしたが、後ろに跳んで避けられた。意外と状況整理が上手いらしい。ミラは一度下がった。
「バラバラバラバラ!」
双子がチェーンソーで地面を削りながら迫ってくる。一誠に。一誠はかろうじてチェーンソーを避けて、片方を俺に向かって突き飛ばした。
ヒュッ
「おっと!」
一誠の背後からミラさんが棍を振るう。ストックでもあったのか?用意が良いこって。一誠、修行の成果が出ているな。
『Boost!!』
二回目の倍加。ブーステッド・ギアは時間がかかるからな。その分、力は強力だ。
何故一誠だけに向かうのかは分からない。多分ブーステッド・ギアだと思うけど。俺、とことんなめられてるな。これでも朱乃から一本取ったんだけど。そりゃ能力フル活動は卑怯臭いけどさ・・・・・・。
「あー、もう!ムカつくぅぅぅっ!」
「どうして当たんないのよ!」
双子、お前ら二人に対してその武器はあってない。体が身軽なんだからナイフとかレイピアとか軽くて小回りが効く武器を使え。西瓜・・・・・・じゃなくて萃香みたいにロリ怪力じゃないんだから。はっきり言って隙だらけだ。
しかも戦闘中に地団駄踏むってバカなの?
双子の片割れ、名前は知らん。そいつを傘で喉を一突き。
「ぐえっ!?」
良かったな。槍じゃなくって。槍だったら死んでいるぞ?俺が本気で首に攻撃するなら、スキマ切断する。
「よくも!喰らえ!」
もう片っ方がチェーンソーを振りかぶる。それを俺は傘で受け止める。普通なら傘はビリビリに破け、骨組みがバキバキになるだろう。だが、この傘は、時間と空間の境界により、擬似的ではあるが、修得した『永遠と須臾を操る程度の能力』で永遠化させている。つまりは絶対に壊れない傘だ。もっとも、無機物しか永遠化出来ないがな。
「「「ウソォ!!」」」
ミラ、双子の片割れ、一誠が同時に驚く。まあ、分からんでもないが。そんなやり取りをしている間に、
『Boost!!』
三回目の倍加。八倍の強さ。
「いくぜ!俺の神器くん!」
『Explosion(エクスプロージョン)!!』
一定時間倍加したままの状態で戦える。例えるならス○ルド○イブだ。
「まずは君たち!」
俺が受け止めて後ろに下がらせた双子の片割れに向かって走り出す一誠。かなり速い。相手のチェーンソーが当たる前に拳が入る。ぶっ飛ぶ双子A。
「この!よくもお姉ちゃんを!」
あ?お前動けたのか。チェーンソーを一誠に向けるが、
「寝てなさい」
傘でチェーンソーの腹を突き、適当な場所に吹っ飛ばす。近づくと邪魔だからスキマ経由で。そこに一誠の裏拳が決まる。双子Bも床に倒れこむ。
「はっ!」
ミラが俺に向かって棍を突いてくる。学習しないな。スキマを棍の延長上に展開する。出口はミラ改め童顔の腹。
「げふっ!」
自分の突きを喰らった気分はいかが?そうして怯んでいる童顔を一誠が突き飛ばす。悲鳴をあげる余裕も無いらしい。
チャイナドレス改め、中国モドキも子猫にやられている。やっぱ弱いな。
「もう!こんな男に負けたらライザー様に怒られちゃうわ!」
「絶対にバラバラにしてやる!」
「もう油断はしません!」
最後の台詞は童顔のだ。お前なぁ、
「相手の力量ぐらい計りなさい」
スキマに入りっぱなしの棍を、スキマを解除して概念的に切断する。これがスキマ切断のカラクリ。
恐れている兵士ども。そこに変態の一撃が加わる!
スキマを開いてタオルケット用意。
「くらえ!俺の新必殺技!『洋服崩壊』ッ!」
指パッチンの音と共に、服が弾け飛ぶ。やっちゃったよ。しかも今だから言うが、コイツ俺の服にも魔力流し込んでいやがった。俺も剥くつもりだったのか。そんなもん解除したが。
「イ、イヤァァァァァァァァァァァァァッ!!!」
「アハハハハハ!どうだ見たか!これが俺の技だ!その名も『洋服崩壊』!俺は脳内で女の子の服を消し飛ばすイメージを延々と、延々と妄想し続けたんだよ!魔力の才能を、すべて女の子を裸にするためだけに使った!」
ダメだコイツ、速くなんとかしないと。
「最低!女の敵!」
「ケダモノ!性欲の権化!」
キーキーキーキーうるせえな。タオルケットでぐるぐる巻きにする。
「ああ!何をするんですか!紫さん!」
「あなたからの視姦から彼女たちを保護、及び拘束しただけよ」
「・・・・・・見損ないました」
グサッ
そんな擬音が聞こえた気がした。その時、通信が入った。
『イッセー、子猫、紫。聞こえる?私よ」
「はい、敵の拘束に成功しました。予定通りお願いします」
「はい!俺と子猫ちゃんも無事です!いいところは終わっちゃいましたけど!」
『・・・・・・二人一辺にしゃべらないでくれる?とにかく、よくやったわ。予定通り、朱乃の準備が整ったから、作戦通りにお願いね!』
「紫さん!お願いします!」
「はいはい」
スキマを開いてその場から退避。
「逃げる気!ここは最重要拠点なのに!」
あ、頭は出てますよ。うん。作戦通りだし。俺がここまで来たことによって転移可能になったし。
カッ!一瞬の閃光、刹那、
ドォォォォォオオオオオオンッッ!!
すさまじい音だな。模擬戦の時とは比べ物にならん。刹那ってのは漢数字的に須臾よりも速いからな。
ワオ。体育館が根こそぎブッ飛んだ。
「撃破」
敵撃破しといてニコニコしてる。ドSだなぁ。
『ライザー・フェニックス様の「兵士」三名、「戦車」一名、戦闘不能!』
アッハッハ。それくらいやってもらわないと。思わずあいつらに冥土への片道切符を渡すとこだったよ。
「雷の巫女」、だっけか。朱乃の通り名。一部の者の間では有名なんだっけ?それって堕天使の転生悪魔ってことも含めてるのか?
「やったね、子猫ちゃん」
「・・・触れないでください・・・」
「ハハハ、大丈夫だよ。俺、味方には使わないから(衝動的に紫さんに使っちゃたけど。でもなんで服弾けなかったのかな?)」
「・・・・・・それでも最低な技です」
・・・・・・白々しいな。俺も剥くつもりだったくせに。
『皆、聞こえる?朱乃が最高の一撃を派手に決めたわ。これで最初の作戦は上手くできたわね』
まあ、作戦としては上出来だが、相手はある程度、犠牲できることを視野にいれておけ。俺は一誠の近くに何気無くよる。いざというときは結界で防ぐ。その時、範囲が狭いほど、強力な結界で防ぐ事が出来るからだ。
『あの雷は一度放ったら二度目を撃つまで時間がかかるの。連発は不可能。まだ相手の方が数では上。朱乃の魔力が回復次第、私達も前に出るから、それまで各自にお願いするわね。次の作戦に向けて動き出してちょうだい!』
「はい!」「了解」
次の行動は木場と合流して運動場の制圧。
!!敵の気配!一誠と俺を囲むように結界を張る。
ドォン!
辺りから爆砕音が響いた。原作より範囲広いな。もしかして俺を危険視したか?
「・・・こ、子猫ちゃヘブッ!?」
あ、結界に当たった。結界を解く。再度、
「・・・こ、子猫ちゃん!」
所々ボロボロになっている子猫。追撃が来るかも知れないので警戒を怠らない。
「撃破」
う~ん。フード被った魔導師姿ってあんまり映えない。役職は『女王』か。
「ふふふ。獲物を狩るとき、獲物が何かをやり遂げた瞬間が一番隙だらけとなっていて狩りやすい。こちらは多少の駒を『犠牲』にしてもあなたたちを一つ狩れば十分。ただでさえメンバー不足なのですもの。それだけで大打撃でしょう?どうせ、私たちを倒してもライザー様は倒せないんですもの足掻いても無駄よ」
ヤバい。切れそうになった。『駒』だぁ!?決めた。あいつだけは潰す。原作崩さないようにゲームには負けるがあいつだけは潰す。が、今はその時では無いな。
「・・・イッセー先輩・・・。朱乃先輩・・・。紫先輩・・・」
死ぬことは無くても、いい気分では無いな。
「・・・すみません。・・・もっと部長達のお役にたちたかったのに・・・」
「あ、謝ることなんざねぇさ!俺らは仕事をしたんだ!問題ねぇ!待ってろ、アーシアが来ればすぐに回復ーー」
そこまで言って、子猫はこの場から消えた。
『リアス・グレモリー様の「戦車」一名、リタイア』
俺が時間逆流治療をすればよかったのかもしれない。だけど俺は能力を隠したいがためにしなかった。少し自分が嫌いになった。
「降りてきやがれぇぇぇぇ!俺が相手だ!」
一誠が叫ぶ。油断した自分に腹が立っているのだろう。いや、それもあるが正しいな。
「ふふふ。うるさい『兵士』のボウヤね。あなたもさっきのお嬢さんみたいに爆発してみる?」
無駄だ。お前程度で俺の結界を破れる訳がないだろう。ラプラスの魔で撃ちまくるか?四重結界で吹き飛ばすか?
あとでぶちかます。
「あらあら。紫さんがやるまでもないわ。あなたのお相手は私がしますわ。ライザー・フェニックス様の『女王』、ユーベルーナさん。『爆弾王妃』とお呼びすればいいのかしら?」
「その二つ名はセンスが無くて好きではないわ、『雷の巫女』さん。あなたと戦ってみたかったからいいのだけれど、そこの小娘が出るまでもないってどういうことよ」
「イッセーくん、紫さん、祐斗くんの元へ向かいなさい。ここは私が引き受けますわ」
「で、でも!」 「無視をするな!」
「イッセーくん。あなたはあなたの役目があるでしょう?お行きなさい。ここは私の仕事です」
「だから無視をするな!」
「一誠、今は木場くんの元へ行くときよ」
「大丈夫。子猫ちゃんの仇は私が取ります。この『女王』は、私が全身全霊をもって消し飛ばしますわ!」
金色のオーラを纏う。ここは頼んだ。
「朱乃さん!頼みます!」
「頼りにしています」
俺たちは木場の居る運動場に走る。
さて、序盤は終わり。
中盤の始まりだ。
「そういえば一誠」
「なんですか?」
「何故私の服にまで魔力を流し込んでいたのかしら?」
「えっと・・・それは・・・」
「とりあえず、後に支障がでない程度にお仕置きよ」
「え、ちょ、ま、ギャァァァァァァァァッ!!!」
アイアンクロォォォォォ!
ペキッ!
後書き
ハイスクの原作が1巻終わるごとに番外編を書いてみたいと思います。名付けて、
『双紫異変』
ページ上へ戻る