万華鏡
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第四十八話 文化祭の準備その十七
ここでだ、部長は副部長を横目の感じで見て言った。
「中一の時から同じクラスでね」
「全く、どういう縁なのよ」
副部長はむっとした顔で言い返す。
「今も一緒のクラスでね」
「ずっとこうかしらね」
「ひょっとして大学でも一緒かもね」
部長はここでこんなことも言ったのだった。
「私八条大学受けるつもりだけれど」
「そう、私もよ」
「語学部の英語学科ね」
「えっ、私もだけれど」
副部長は部長の今の言葉にむっ、という顔で返した。
「私英語r得意だし」
「私もだけれど」
「何よ、せめてフランス語学科にしなさいよ」
「オフランスって好きじゃないのよ」
「だからどうしてイギリスなのよ」
「だって、ロック発祥の国じゃない」
だからだというのだ。
「それで何時か本場に行きたいと思ってね」
「だからっていうのね」
「そうよ、悪い?」
「悪いわよ、じゃあ大学でも一緒じゃない」
「これで職場まで一緒だったら凄いわね」
「こっちから願い下げよ」
二人で言い合う始末だった、そうした話をして。
それでだ、言い合う二人に書記が言ってきた。
「夫婦喧嘩は終わった?」
「夫婦喧嘩って私ちゃんと彼氏いるわよ」
「私もよ」
二人はそれぞれ言う、ここでもまただ。
「だからこの娘はね」
「それに女同士じゃない」
「それでどうしてなのよ」
「私達が夫婦なのよ」
「例えよ、全くいつもいつもそうやって言い合って」
もっと言えば副部長が部長を怒り部長がその副部長をあしらう、そうしたやり取りである。そうした関係である。
その二人にだ、書記は言うのだ。
「同性でも夫婦みたいじゃない」
「まあ。中一の頃からの付き合いだしね」
「それこそお互いのことなら何でも知ってるけれど」
「この娘の好きな食べ物も下着の色ね」
「知ってるけれど」
「そこまで知ってて何処が夫婦じゃないのよ」
冷静に突っ込みを入れる書記だった。
「全く、とにかくね」
「ええ、今晩はね」
「どうするかよね」
「そう、あんた達は何処で寝るの?」
書記が二人に問うたのはこのことだった。
「それで」
「今日はここで寝るつもりだけれど」
「私も」
部長と副部長は今度はピーナッツを食べている、副部長が開いている袋の中に部長が手を入れて食べている。
そうしながらだ、二人で書記に答えたのだ。
「もうかなり飲んでてクラスに戻れるか不安だし」
「部長から目を離せないから」
「この娘酔ったら泣き上戸になって大変だしね」
「この娘の面倒は誰が見るのよ」
「そうなのね、わかったわ」
書記はお互いを指差して答えた二人の言葉を受けて頷いた。
そのうえでだ、こう言うのだった。
「私もここで寝るわね」
「よし、それじゃあね」
「三人で寝ましょう」
軽音楽部のトップ3はこれで決まった、そして殆どの面々がだった。
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