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万華鏡

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第四十八話 文化祭の準備その十五

「本気でそう思います」
「言ってくれるわね、これがね」
「駄目なんですか?」
「そうよ、子供の頃からね」
「そうなんですか」
「もてないのよ」
「それってまさか」
 美優はあらためて高見先輩の顔を見た、本当にアイドルか女優でも通じる位だ。その顔を見てまた言うのだった。
「あんまりにも綺麗だからですか?」
「お世辞?」
「違いますよ、本当にですよ」
「そんな訳ないじゃない」
 笑ってだ、高見先輩は美優の今の言葉を返した。
「私がそんなね」
「いや、本当に」
「先輩お綺麗ですよ」
 このことは景子も言って来た。
「かなり」
「そうかしら」
「はい、相当に」
 まさにそうだとだ、景子も力説する。
「よく綺麗過ぎる人ってかえって、ってなるそうですから」
「それはないと思うけれど」
「いや、本当にそうよね」
 美優達の言葉にここで応えたのは宇野先輩だった、相変わらず飲んでいる。
「綺麗過ぎるのよ」
「ですよね、高見先輩って」
「アイドルとか女優でもいけますよね」
「皆綺麗って言ってるわよ」
 女子だけでなく男子の間でもだ、高見先輩は美人だと評判だというのだ。
「凄くね」
「そうはないと思うけれど」
 高見先輩は今もこう言う。
「別に」
「それは自分だからよ。それかね」
「それか?」
「そういう性格が問題とか?」
 宇野先輩は高見先輩のその性格を指摘した、見れば今も胸の前ははだけておりシャツの下の胸の形が完全に出ている。
 その高見先輩を見てだ、宇野先輩はいるのだ。
「あまりガサツで騒がしいとよくないわよ」
「そのせいかしら」
「そうじゃないかしら」
「性格は大事よ」
 ここで言って来たのは副部長だ、部長に負けない位飲んでいるが態度も表情も普段と変わらず真面目なものである。
「外見よりもね」
「じゃあ私の性格は」
「あんた騒がしいから、特にお酒が入ると」
 さらにそうなるというのだ。
「それがマイナスなのよ」
「じゃあおしとやかにならないと駄目なのね」
「そうよ、もっとね」
 女の子らしいというのだ、要するに。
「そうなったらどうかしら」
「そういえばこれまで生きてきて」
 高見先輩はここで腕を組んだ、そのうえでの言葉だ。
「そうしたことは考えてこなかったわ」
「それが駄目なのよ」
 副部長は冷静なまま話していく。
「かえってね」
「そうなのね、それじゃあ」
「乙女になったらね」
 その時はというのだ。
「ましになると思うわよ」
「ましなのね」
「あんた顔はいいから」
 このことは間違いないというのだ、副部長から見ても。
「性格も基本的にはね」
「引っ掛かる言い方ね」
「だってそうとしか言えないから」
 あえてこの表現を使ったというのだ。 
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