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万華鏡

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第四十八話 文化祭の準備その十三

 全員で乾杯して飲む、琴乃もジョッキで焼酎を飲みつつ言う。
「あっ、焼酎も」
「いいでしょ」
「どんどん飲めるでしょ」
「はい、強いですけれど」
 こうだ、琴乃は宇野先輩と高見先輩に応える。その先輩達を見ると。
 宇野先輩のジャージのズボンはかなりずり下がっている、高見先輩の胸のところがかなり開いている。それでだった。 
 まずは宇野先輩にだ、琴乃は咎める顔で言った。
「先輩、見えかけてますよ」
「見えかけてるって何が?」
「あの、もう少しで」
 そのローライズ並に下がっているジャージを見ての言葉だ。
「下着が」
「ああ、ショーツがなの」
「見えそうですよ、お尻も」
「別にいいじゃない」
 構わないとだ、宇野先輩は飲みつつ応える。
「それでも」
「いいって」
「だって女の子同士でしょ」
 だからだというのだ。
「見えたっていいじゃない」
「それでも」
「いえ、それは」
 はばかれるとだ、返す琴乃だった。
「身だしなみといいますか」
「だから女同士よ」
「飾らなくていいじゃない」
「そういう訳には。どうも」
 琴乃としてはというのだ。
「そういうことは気になりまして」
「ううん、琴乃ちゃん真面目ね」
「修学旅行の時から思ったけれど」
「というかプラネッツの娘達ってそうよね」
「こうしたこと気にするわね」
「はい、どうしても」
「そうしたことは」
 琴乃だけでなく里香も言ってきた、そのプラネッツの中でもとりわけ真面目な方の彼女も。
「気になりまして、実際に」
「ですから」
「ううん、まあね」
「こうした格好は確かにはしたないわね」
 先輩達も自覚していた、一応は。
 だが、だ。同時にこうも言うのだった。
「けれど寮ではね」
「こうした感じだからね」
「そうそう、皆下着が普通よね」
「裸で寝ることもあるしね」
「えっ、裸って」
「裸で寝られるんですか」
 琴乃も里香も先輩達の今の言葉には引いた、二人共寝る時は裸はおろか下着のままで寝ることもしないからだ。
 だからだ、今は引いて言うのだ。
「それはちょっと」
「ないんじゃ」
「まあ裸はあれだけれどね」
「下着位は普通よね」
「そうよね、男の子でもね」
「それは普通でしょ」
 これが宇野先輩と高見先輩の主張だった。
「それ位はね」
「ごく普通でしょ」
「一体うちの学校の女子寮ってどうなってるんですか?」
「下着が普通って」
「だって女の子同士だからね」
「それもね」
 普通だというのだ、それもまた。
「お部屋とかも汚いから」
「匂いも凄いかもね」
「何か女子寮っていいますと」
 ここでだ、これまで話を聞いていた彩夏が言って来た。焼酎はその右手にある。
「花園みたいに思ってましたけれど」
「甘いわね」
 きっぱりとだ、宇野先輩は否定してきた。今もジャージのズボンはずり下がっていてショーツもその中にあるものも見えそうになっている。 
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