問題児たちが異世界から来るそうですよ? ~無形物を統べるもの~
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短編 あるお盆の物語 オマケ
「四人ともまだ起きてないか・・・仕方ない、諦めて朝食でも作るか。」
一輝自身空腹に耐えられそうになかったので、もう気まずくなるのは受け入れ、五人分の朝食を作り始める。
ご飯は前夜、四人を自分の部屋に敷いた、わざわざ買ってきた布団に寝かせた後にタイマーで炊くよう設定していたので、たまにはいいか、と焼き魚を作りつつ味噌汁を作る。
もちろん、他にもいくつかおかずを準備しながらだ。
「あー・・・一輝?なんで私はオマエの部屋で寝ているんだ?美羽に殺女、ビャクもいたが・・・」
「お、起きたか匁。そこに水を汲んであるから飲んどけよ。」
「あ、ああ。もらおう。」
途中で匁が起きてきたが、匁は寝ていたため気にせずにはなしをする。
ちなみに、一輝は四人が起きてきたときのために水を汲んだコップを四つ準備している。こういった気配りは出来るが、問題児的行動は止めない、それが、寺西一輝と言う人間なのだ。
「ふう・・・にしても、頭痛がするのだが・・・」
「あんだけでも二日酔いになるのか・・・」
「今、二日酔いと言ったか?」
匁は信じられない、と言うような口調でそう言う。
「未成年の身で何を、と思うかもしれないが、私はそこそこにアルコールには強い。そう簡単に酔うとは・・・」
「まあ、普通なら酔わないのかもしれないな。ただ、アルコ-ル濃度が普通の酒の五、六倍で、霊獣のビャクですら酔ったからな。」
「そ、そうか・・・私が飲んだのは光也に渡された瓶だけだから・・・」
「そう、あれが件の酒だ。一体どこから調達したのか・・・」
一輝と匁がそう話している間、他の三人は一切起きてくる気配がなかった。
残りの三人は、最終的に一人1.3本ずつ飲んでいるので、中々起きないのかもしれない。
「そうと分かると、なんだかフラフラしてきそうだな・・・水、もう一杯貰ってもいいか?」
「おう、飲みたいだけ飲んでいいぞ。ペットボトルごと置いておくから。それと、二日酔いの薬が欲しければあるけど?」
「何から何まですまないな。ありがたく貰おう。」
匁はそう言って薬を受け取り、水を汲んで飲む。
気分的には、いくらか楽になったようだ。
「ふう・・・何か手伝うことはないか?」
「あー、強いて言えば一つあるが・・・もう少し覚悟をする時間が・・・」
「どうした?」
「・・・ま、後に回し続けても仕方ないか。じゃあ、そろそろ完成しそうだから、あの寝ぼすけ三人を起こしてきてもらえるか?」
「うむ、引き受けた。」
匁はそう言って、寝室のほうへと歩いていった。
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「起きろ、三人とも!ただでさえ迷惑をかけているのに、さらに一輝に迷惑をかける気か!」
匁はそう言って三人の布団を剥ぎ取り、それでも起きる気配がないので、三人に少し呪力を流し込む。
「うにゃ!?」
「すぅ・・・」
「今、何か変な感じが・・・」
そして、二人ほど起きたので、匁はまず二人を起こす方向で話を進める。
「殺女は何故起きん・・・とりあえず、二人とも服装を整えろ。一輝が朝食を作って待っている。」
「一輝、さん・・・?」
「なんで一輝がここにです?」
「打ち上げの際に私達はアルコール濃度の高い酒を飲んだらしい。で、酔いつぶれた私達をわざわざ自分の家に運んでくれたのだ。」
「打ち上げ・・・」
「一輝・・・」
そして、二人は同時に首をかしげ、同時にボッ、と顔を赤くした。
「へ、みゃ、にゃ、みゅ~・・・」
「え、あ、その・・・一輝は、そっち、に・・・?」
「当然だろう。先ほどもいったが、ここは一輝の家なんだぞ?」
「「・・・無理。」」
「は?」
「「無理・・・恥ずかしくて一輝の前に出て行けない・・・」」
二人は同時に言って、同時に頭から布団にもぐりこんだ。
「今更何を言っているんだ・・・確かに私も、寝顔を一輝に見られたことは恥ずかしい・・・恥ずかしくてたまらないが、」
「いえ・・・そうではないんです・・・」
「昨日、酔っ払った私達が何をしたのか思い出したです・・・」
「・・・ちなみに、三人は何を・・・?」
匁はそこで、三人が酔っ払っている間に何をしていたのか、全て説明を受け、
「それは・・・まあ、災難だったな・・・」
「一人だけ被害なしみたいに言うですけど・・・」
「匁さん・・・寝ちゃってからずっと、一樹さんの膝枕で・・・」
「・・・・・・」
匁はたっぷり十秒間固まり、先ほどの二人の比ではない勢いで顔を赤くした。
「え、あ、そ・・・なんでーー!?」
「グハッ!ちょ、何!?襲撃!!?」
そして、そのままつい頭に当てていた拳を振り下ろしてしまい、それが殺女の腹に当たる。
「私、そんなこと・・・で、でも、それはそれで役得な気も・・・」
「お、なんでか分からないけど、もんめんがギャップ萌えモードだ!レアだよレア!」
「ええっと、これはですね・・・」
「・・・・・・・・・・・・@*{+?%&#W*$%!!?」
経緯を聞き、打ち上げの際のことを思い出した殺女は、今までの三人の比ではないレベルで顔を赤くした。
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「お、おはよう。三人とも起きたか。ありがとな、匁。」
「「「「(コクコク)」」」」
一輝はどうにか声をかけるが、四人とも下を向きながら頷くだけで、一言も喋ろうとしない。
一輝からは見えないが、顔もものすごく真っ赤になっている。
「あー・・・二日酔いの薬と水はそこにあるから、飲んどけよ。それと、朝食も出来てるから、席についてくれ。」
そして、五人は大変いづらい場にて、朝食を食べた。
後書き
そろそろ、一日一話が止まりそうです。
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