理不尽すぎる学園生活に終止符を
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後編『粛清と制裁』
前書き
〜あらすじ〜
真面目で、身体が小さくて、眼鏡をかけていて、引っ込み思案。そして、いじめられっこ。
そんな美能留には、持論があった。
『この世界は理不尽だ』
『努力した者が報われるという保証はない』
『人間は愚かだ』
そして今日、美能留の『理不尽な学園生活の粛清と、制裁』が始まる!
ホームルームが終わった、つまり放課後が始まると同時に、不良3人組は予告通りやって来た。
「よォ、美能留。約束通り来てやったぜェ!」
と赤髪が言った。
美能留は「”来てやったぜ”ってなんだよ」と言いそうになったが、すんでの所で言いとどまり、黙る。
「んじゃあ。始めっか!」
と赤髪が言うと、赤髪の両脇にいた金髪と青髪が美能留を羽交い締めにした。
「ほ、本当に……やるのか?」
本心では分かっていても、やはり本当にやるのかどうか聞きたかった。
「何?今更ビビってんの?」
と赤髪が腹を抱えて大笑いした。
だが、笑うのを止めると、
美能留の腹に重さの乗ったパンチを放った。
「ぐばおぁ!!」
腹にクリーンヒットした。美能留の身体がくの字に折れ、直後、盛大に嘔吐した。
吐瀉物が赤髪の腕にかかった。
「テメェ……俺の腕に吐瀉ってんじゃねぇよ……」
赤髪の額の血管がピクピクと痙攣した。
「ひィ…………!?」
知らぬ間に口から悲鳴が漏れていた。目尻に涙が溜まる。
「あぁぁぁぁぁぁぁあああ!」
赤髪が咆哮した!!
「もうあったま来た!殺す!絶対に殺す!」
赤髪はそう言って、懐からギラギラと光る物を取り出した。
サバイバルナイフだ。
赤髪はサバイバルナイフを右手で持ち、左手で美能留の右肩を掴み、力強く固定する。
美能留の目からは涙が滝のように流れ、口は開けっ放しになっている。
恐怖で脳がショートしそうになる……。
(殺される……絶対殺される!逃げなきゃ、逃げなきゃ、逃げなきゃ、逃げなきゃ、逃げなきゃ、逃げなきゃ)
だが、頭に血が上っている赤髪が
「逃げんなよ美能留!」と叫びながらサバイバルナイフを持つ右手を振り下ろした。何の躊躇も無く。
サバイバルナイフは、美能留の眼鏡を弾き飛ばし、美能留の左肩に突き刺さった!
肩からは鮮血がドクドクと流れ、美能留は電撃のような痛みに耐えていた。
「あが……ぐっ……」
(痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い……死ぬ、もう死ぬ……)
美能留にはもう抗う力も残っていなかった。
「あ〜あァ?心臓に刺そうと思ったんだけどなァ〜?外しちまったぜェェッ!!」
赤髪は、サバイバルナイフを美能留の肩から引き抜くと、その手を再び振り上げた。
その時美能留には、時が途方もなく長く感じられた。
(もう……………死ん…………………………………………………………だ…………………………………)
美能留は白目を向いて口から唾液を垂らしている。
(もういっそ…………死にたい…………もう……………死にたい………………)
と、そこで思考が途切れた。
『死にたい?今ここで?……本当に死ぬのか?』
どこからか声が聞こえた。
美能留の目に生気が戻る。
(お前は……誰、なんだ……)
『俺が誰かなんて、どうでもいいだろう?それより、死んだら敗けじゃなかったのか?』
(でも、俺にはどうする事も出来ない……)
『どうする事も出来ない……か……。つまらねぇな……』
(つまらない……か?俺が?)
『ああ。今のお前を見ていると、ムシャクシャする……』
(ムシャクシャする……?何でだよ?)
『俺は、お前の考えや態度を高く評価していた……』
(俺の考え……?態度……?)
『”理不尽”だっけか?俺も同感だ。この世界は下らない……理不尽で……』
(”愚か”だ!)『”愚か”だ!』
謎の声と美能留の思考が同調した!
その時、
「美能留ゥッ!今度こそ死ねェェェェェェェッ!」
叫びと共に赤髪がサバイバルナイフを振り下ろした。目視さえ難しい速度で、サバイバルナイフが正確に心臓のある胸部をを射た!
………筈だった。
ガキィッ!
と、金属音が教室に響いた。
サバイバルナイフは美能留の制服を切り裂いていたが、美能留の胸部に衝突し、砕けていた!
赤髪は砕かれたサバイバルナイフと、美能留を交互に見やる。
「な、何だよッ?何で死なねぇんだよッ!?」
赤髪がサバイバルナイフを床に落とし、腰を抜かして尻餅をついた。
美能留を抑えていた金髪と青髪も招待不明の恐怖により、美能留から離れていた。
不良3人組が恐怖に陥る中、
「あ〜?」
と美能留が赤髪を見た。
美能留は、
「てめぇ、よォ?」
と言いながら赤髪の制服の襟を持ち、赤髪を片手で持ち上げた。
「てめぇ、何でこんな事したんだよ?」
美能留が問う。が、
「離せよッ!!」
赤髪は手足をバタバタと動かし、必死の抵抗をするが、美能留は微動だにしない。
「質問に答えろォォォォッ!」
美能留は咆哮し、赤髪を教室の窓に向かって放り投げた!
投げられた赤髪は教室の窓を突き破ると、校庭、つまり教室の外に放り出された。校舎の3階から放り出された赤髪は、
「うわあああぁぁぁぁぁぁぉッ!」
悲鳴をあげ、校庭の地面にぶつかった。
赤髪の肺から空気が吐き出された。
あまりの出来事に、それまで気に留めていなかった生徒達は教室の窓に近づき、赤髪の様子を見た。
赤髪は、地面に衝突したショックでほとんど意識を失っていた。
美能留は、ただ静かに教室の窓に歩み寄る。窓に群がっていた生徒達を
「どけゴミクズ」の一言でどかすと、美能留は窓から飛び降りた。
美能留は、校庭の地面に無事、着地すると、赤髪の元に向かう。
美能留は、倒れたままの赤髪の頭をむんずと掴み、校舎に見せつけるように掲げた。校舎のありとあらゆる部屋から、先生や生徒が見つめる中、
「おいてめぇらぁ!」
と美能留が大声で叫んだ!その言葉は校舎にいる人間への言葉だ。
「目ん玉かっぽじってよォく見ていやがれェェッ!」
と美能留が赤髪の身体を地面に叩きつけた!
その衝撃は校庭に小さなクレーターをつくった。
多くの生徒や先生は、顔を両手で隠すように覆った。
美能留は、全身ボロボロの赤髪を指差して言った。
「このゴミクズは!この優秀な俺様を!散々いじめてきやがった!この意味が分かるか!!てめーら!」
美能留が赤髪の首元を片手で掴み、持ち上げた。
「優秀な俺が!」
美能留は、咆哮しながら赤髪の顔面に拳を叩き込む。
「こんなど底辺にッ!」
拳を叩き込む。
「邪魔されていい訳ねェんだッ!!」
美能留は最後に、赤髪の顔面に拳を叩き込むと、その手を開き、赤髪の頭部を掴み、そのまま握り潰した。
肉や骨がひしゃげる嫌な音が聞こえた。
美能留は、赤髪をてきとうに投げ捨てると、血まみれになった両手を掲げ、咆哮した。
「が亜ァァァァァァァァァァァァ亜ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァああァァああァァァァァァ亜ァァ亜ァ亜ァァァァァァ亜ァァァァァァィァァァァァァァァァァァァァァァァorァ亜ァァァァァ亜ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ亜ぁぁぁぁぁあぁぁあぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぃあおぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁおぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁァァァああぁぁぁぁぁぁぉ^_^ィァァァァ亜ァァぁァァァァァァァ亜ァ亜ァァァァ亜ァァァァァァ亜ッッ!!」
大気が震えた。
「てめぇら!よく聞けェ!」
美能留は、掲げた両手をダラリと下げ、言った。
「俺は、この世界を”粛清”し、”制裁”を与える…」
後書き
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
誤字脱字等ありましたら、感想板のほうへお願いします。
注:この物語は、今回で終了です。
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