魔法少女リリカルなのはANSUR~CrossfirE~
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Ep6言葉だけでなく行為が大切になる場合~Ready Fight!
†††Sideクロノ†††
ルシルと守護騎士の戦いから約10時間が経過した。そして僕は今、本局医務局の個室の病室で休んでいるルシルの様子を見に来ていた。ルシルを担当することになった医務官から、ルシルの意識が戻ったとの連絡を受けたからだ。
「失礼」
「あ、ハラオウン執務官」
「ルシル――こほん、ルシリオンが目を覚ましたと連絡を受けたんだが」
病室より出てきたばかりの女性医務官に声を掛ける。
「はい。彼自身の自己治癒力が凄まじく、身体ダメージもほぼ回復しました。ですが・・・」
医務官はそこまで言ってから病室のドアをチラリと見た。
「リンカーコア・・・ですか」
なのはも無理矢理リンカーコアを抜かれて魔力を蒐集されるという、リンカーコアにダメージを負うようなことをされた。そんな彼女は今も魔力結合が上手く出来ず、魔法を扱えない状態だ。
「はい。しばらくは魔法の使用を控えるように、と伝えました」
「そうですか・・・。ありがとうございます」
「では私はこれで」
会釈をし合い、去っていく医務官を見送ったあとで入室。そしてベッドの上で大人しく横になっているルシルへと「調子はどうだ?」そう尋ねる。
「身体的損害9%まで回復、精神的損害0%、魔力炉における損害49%。魔術正常使用可能まで概算144時間の猶予が必要となります」
薄っすらと開いていた目蓋がパッチリ開いたかと思えば、ルシルらしくない、と言うよりは人間らしくない返事が口から発せられた
「は? ルシル?・・・おい、ルシル」
その機械的な言動をおかしく思い、再度呼びかけると「ん? なんだクロノ? 来ていたのか」ルシルは焦点の合った目で僕を見た。
「何ともないのかルシル? さっき君は・・・」
「ん? 俺が、どうした?」
「あ・・・いや、なんでもない」
「おかしな奴だな。言いたいことがあれば言ってくれていいんだぞ?」
さっきのは気の所為だったんだろうか? あんな無機質な表情と声。しかし今のルシルは普段どおりの彼だ。だから今は胸の奥にしまっておくことにした。魔術師の特徴なのかも知れないしな。
「いや、何でもないなら良いんだ。それと君との約束どおり、今回の件はシャル達には伝えていないから安心してくれ。離れた世界での捜索がたたり、疲労で倒れたと言っておいた」
僕と武装隊員がようやく現場へ赴けたとき、戦闘はすでに終わっていて守護騎士を撤退したあとだった。そして“闇の書”に魔力を蒐集され、大きなダメージを負っていたルシルを発見。
――ルシル! おい、ルシル! 誰か、医療班を現場に寄越してくれ!――
――ク・・・クロノ。このことは・・・シャル、フェイト達には黙って・・・いてくれ――
――なに・・・?――
――これは俺の・・・失態だ・・・。それに・・・――
(これから守護騎士と向き合おうとしているなのは達に、わざわざ知らせる必要はない、か)
それだけを言い残して意識を失ったルシルを、急いでここ医務局に搬送した。
「・・・それを聞いた時の、シャル達のリアクションは聞かないでおくよ。クロノ、お疲れ。感謝するよ本当に。あと、すまない、守護騎士を足止めしきれなかった」
「それは君が謝ることじゃない、謝るのは僕たちの方だ。もう少し早く救援に行けていたら君が蒐集されることはなかった」
ルシルが謝るのは間違っていると僕は思う。なにより守護騎士を相手に単独で戦い、15分も足止めのために戦ってくれた。そんなすごい働きをしたルシルを責める者がいたら、僕はそいつを絶対に許さない。
「あれは自身の戦力を過信していたのが原因だよ。初めから潰そうと思えば出来ていたかもしれないのに、本当にそれで良いのかと迷い、何かあればいつでも勝てると思ってしまった自分への過剰な自信、馬鹿なことをしたよ」
「・・・今はとりあえずゆっくりと休んでくれ。しばらくしたら艦長も見舞いに来てくれると思う」
「ああ、ありがとうクロノ。あとで今回の報告書を提出しておく」
「くれぐれも無理はしないようにな」
僕はルシルの病室を後にして地球へと戻った。
それから日を跨ぐことなくルシルから送信されてきた報告書に目を通したんだが・・・。
「守護騎士たちにも判らないバインド魔法の使い手・・・」
戦闘の流れが事細かに記され(ルシルのすさまじい戦い方には目を疑ったが)、守護騎士たちの使用した魔法や会話の内容もあった。そして最後に、以前よりルシルから報告を受けていたバインド魔法の使い手が、実は守護騎士たち(正確にはリーダーであるシグナム)にも判らない存在だということが記されていた。
「嘘とは思えない・・・か」
ベルカ式の騎士では使えないミッド式のバインド。しかもルシルを相手に長距離バインドを仕掛けるだけの魔導師となれば、かなり高レベルだ。そっちの線でも調べる必要が出てきたな。
†††Sideクロノ⇒フェイト†††
「結局この数日間、ルシルと会えなかったけど・・・。どれだけ使われてるわけ?」
私とアルフ、シャルとユーノは、修復を終えた“バルディッシュ”と“レイジングハート”を手に、診察を受けているなのはの居る医務局へ向かうために廊下を歩いている。そんな中、シャルが不満げにそう愚痴を零しながら歩くものだから、私たちの横を通り過ぎる管理局の人たちがその黒いオーラを放つシャルを見て足早に過ぎ去っていく。
「シャル、とりあえずその黒いオーラはしまって。ここは医療施設なわけだから、今のシャルの顔と雰囲気はまずいよ?」
ユーノがそう言ってシャルを宥めている。それでようやくシャルから黒いオーラは消えて落ち着き始めた。
「はぁ、ごめん。ルシルが単なる疲労で倒れるなんて思えなくって。それなのに倒れたって。どれだけ荒いことをさせられてるのか気になって、ね」
「うん。でも通信で、ルシルは自分の体調不管理が原因だから、気にするなって言ってたし」
「そうなんだけどね~・・・あ」
診察室前に来たところで、「ありがとうございましたー!」診察室からなのはが出てきた。私たちはなのはに駆け寄る。
「なのは・・・? その、体はもう・・・?」
「うん! もう大丈夫、無事完治だよ!」
「こっちも無事完治だよ、なのは!」
なのはの笑顔を見て安心する。だから私も笑顔で“バルディッシュ”と“レイジングハート”の完治を告げた。
†††Sideフェイト⇒ヴィータ†††
蒐集を終えて帰って来たところで管理局に見つかっちまった。周囲には今までに何度も相手にしてきた武装隊っつう奴らが居て、あたしとザフィーラを包囲してる。
「管理局、か」
「へっ。大したことねぇよ、こんな奴ら。アイツに比べたらな」
数日前に戦ったセインテスト。アイツに比べたら管理局魔導師なんてそこらの小石程度だ。いんや、比べること自体が間違っているんだ。アイツは普通じゃないんだから。つっても正直コイツらの相手をするのも面倒くさくて仕方ない。
(でもま、逃げるために戦うことが必要ってんならやってやるさ)
ひとり残らず蒐集してやる。やる気を出したのも束の間、管理局の連中はあたしらから離れてしまった。んだよ、端っから戦うつもりじゃなかったってことか? そんじゃ何のために待ち構えていやがったんだってぇの。
「上だ、ヴィータ」
ザフィーラの声に従ってあたしも見上げると、そこにはもう1人の黒服の魔導師が居た。しかもそいつの周りには、魔力で出来たいくつもの剣が展開されていやがるし。それを見て、あたしはセインテストの槍の雨を思い出した。ま、魔力密度がアイツに比べりゃお粗末だけど。
「スティンガーブレイド・エクスキューションシフト!!」
その号令を合図として撃ち出される剣の雨。ザフィーラはあたしを庇って障壁を出してくれた。いくつもの剣を弾いていくけど、3発のみ障壁を突破されてザフィーラの腕に刺さっていた。
「ザフィーラ!」
「気にするな。この程度、セインテストの攻撃に比べればまだまだ温い」
そう言って魔力剣の刺さってる左腕に力を込め、刺さった魔力剣を筋肉だけで砕く。つうかザフィーラも、セインテストと他の奴らを比べるのかよ。あたしは上に居る魔導師に視線を向けると、そいつはあたしらとは別の場所を見ていた。こんな状況であたしらから視線を背けるなんて馬鹿にしてんのか?と思い、そいつが見ている場所へと視線を移す。
「アイツら・・・!」
そこにはあの白い奴と黒い奴の2人、そこから少し離れたところにもう3人。どうやらセインテストは居ないみたいだ。いや、居たら居たで、その復活の早さにキレてちまいそうだから助かるし。それにもう2度と、あんなふざけた奴とは戦いたくないってのも本心だ。
アイツのデタラメさを思い返してっと、白黒コンビはデバイスを起動させて変身を終えた。だけど、以前とは形状が変わっているデバイスに気づいて目を凝らして見る。
「おい・・・アイツらのデバイス、アレってまさか・・・!」
アイツらのデバイス。あたしらと同じベルカのカートリッジシステムが搭載されてやがる。チッ、まさかあんな物を用意してくるなんて思わなかった。驚きはしたけど、デバイスをちょっとやそっと強化したくらいであたしらに勝てると考えたことに腹が立つ。返り討ちにしてやる。こっちははやての命が懸かってんだ。負けるわけにはいかねぇんだよっ。
†††Sideヴィータ⇒シャルロッテ†††
エイミィから守護騎士の発見の報を受けて、私たちはすぐに海鳴へと帰ってきた。なのはとフェイトは新しく生まれ変わったデバイスを手に変身を終える。2人のデバイスには、私や守護騎士と同じカートリッジシステムを新しく組み込んだ。これで守護騎士のデバイスとの差はほとんどなくなった。互角とまでは言わなくても、以前のような一方的な負け戦にはならないはずだ。
「待って、お願い。・・・私たちは、あなた達と戦いに来たわけじゃないの。だから、まずは話を聞かせて」
「あなた達が闇の書の完成を目指しているその理由を聞かせてください」
まずは話し合いに持ち込もうとするなのはとフェイトだけど、ヴィータが「ふんっ」て鼻で笑って、腕を組んでなのはとフェイトを蔑むように見下ろした。
「はぁ。・・・なぁお前らさ、和平の使者なら槍を持たない、って言葉知ってっか?」
それを聞いた2人は意味が解からないのか首を傾げている。ヴィータが言いたいのは、話し合いをするのに武器、しかも強化した物なんて要らなくない?ってことだろうけど。なのはとフェイトの様子にヴィータは溜息を吐いて、デバイスの先端を2人に向かって突き出した。
「話し合いをするのに、武器なんて持ってくんなってことだよ。お前ら、わざわざデバイスを新調して来てんだ。端っから戦う気満々じゃねぇか。それなのに戦いに来たわけじゃねぇだ? ふざけんなよタコ」
「タコって酷い・・・。そもそもそっちが最初に仕掛けてきたんだから、私たちが念のために警戒するのも当たり前だと思うんだけど・・・」
すでに話し合いで纏まる空気じゃない。これはやっぱり実力行使しかないかなぁ・・・。まぁ元から解かり切っていたことだから、と嘆息。改めて臨戦態勢に入ろうとしたところで、付近のビルの屋上に雷のようなものが落ち、そこにはシグナムがひとり佇んでいた。
「シャルちゃん、ユーノ君、クロノ君。私、どうしてもあの子と1対1でお話ししたいの。だから手を出さないでくれると助かるかも・・・。ううん、手を出さないで」
なのはの決意に満ちた目。そんな目でそう言われたら手を出すわけにはいかない。フェイトもそのつもりなのか、『私も。シグナムと1対1でやってみたい』ってシグナムとの1対1での戦いを望んできた。アルフもザフィーラ相手に対抗心を燃やしているし。なら私たちが今やるべきことはただ1つ。
『ユーノ、クロノ、今のうちに連中の主を見つけよう。あの3人は闇の書を持っていないから、別の騎士か主が近くに居るはず。主さえどうにかすれば、守護騎士の連中も少しは話を聞くようになるでしょ・・・たぶん』
『人質を取るような言い方はしないでくれ、シャル。でもそうだな。ここでこうしていても仕方がないしな。判った、僕は結界の外を探す。シャルとユーノは中の捜索を頼む』
『ええ、任せて』『うん、判った』
『あと、リンカーコアを奪う者、ミッド式と思しきバインドを使った者。リンカーコア強奪者はおそらく守護騎士の誰かだろうが、バインドの使用者は不明だ。主か協力者か、どちらにしろ注意を怠るな』
こうして私たちは散開して、それぞれの役目を全うすることになった。
†††Sideシャルロッテ⇒なのは†††
「フンッ、結局やんじゃねぇかよ。話し合いをしに来たってか? 馬鹿にすんなっつうの!」
ヴィータちゃんを追っていると、ヴィータちゃんが私に向けてそう言い放ってきた。それに対して「初めから戦う気満々だったあなたに言われたくないんだけど!」って反論。理由がどうであれ、いきなり襲われたことだけは怒ってるんだからねっ。
「私が勝ったら話を聞かせてもらうよ! 約束だからねっ!」
フェイトちゃんと決めたんだ、話をするために必要なら戦って勝とうって。だから私は勝つよ。ヴィータちゃんはまた鼻で笑って、「やれるもんなら・・・やってみろよ!」って承諾。よし。こうなればもう本気で戦うだけだ。
≪Schwalbe fliegen≫
ヴィータちゃんは以前と同じようにあの球体を4つと出して、「おらっ!」“アイゼン”で打ち放ってきた。
≪Axel fin≫
「甘ぇんだよっ! アイゼン!」
――ラケーテンフォルム――
迫る魔力弾を“レイジングハート”の機転で難なく回避することが出来た。それを見たヴィータちゃんは以前私を追い詰め、“レイジングハート”を壊したあの攻撃を仕掛けてきた。
「ラケーテン・・・ハンマァァァーーーッ!」
正直受け止めるか避けるか迷ったけど、“レイジングハート”は私を安心させるかのように、プロテクションを張るように言ってきた。うん、信じるよ。“レイジングハート”がそう言うなら。だって今までも私を守ってきてくれたから。
「うんっ、お願いレイジングハート!」
≪Protection Powered≫
ヴィータちゃんに向けて翳した手の平の前面にバリアが展開。衝突して火花を散らすヴィータちゃんの“アイゼン”と私のプロテクションだけど・・・。
「なんだこれ・・・!? めちゃくちゃ堅ぇ・・・!」
ヴィータちゃんの言うとおり、以前とは比べるまでもなく強力かつ堅固なバリアになってた。うん。これならもう大丈夫だ。前みたいに簡単には墜とされたりなんかしないからね。
≪Barrier Burst≫
“レイジングハート”のその言葉によって、“アイゼン”との接地点に魔力が集まっていくのが判る。そして爆発が起きて、お互いがその爆風によって吹き飛ばされて間合いが開いた。でも、やる前にちょっと説明が欲しかったかもだよ、“レイジングハート”。いきなりすぎてビックリだよ。
†††Sideなのは⇒ヴィータ†††
くそっ、デバイスを強化してきただけの魔導師なんかに遅れなんてとってたまるかよ。あたしらは一切の敗北が許されない、はやての為だけの守護騎士なんだ。
「アクセルシューター、シュートッ!!」
アイツから放たれた魔力弾。それが全てあたしを包囲するかのように周囲を飛び交っている。
「ふざけんなっ。これだけの魔力弾、制御なんか出来るわけねぇだろうが!」
あたしはそれを証明するために、周囲に待機させてあったシュワルベフリーゲンを4方からアイツに向けて放つ。でもアイツは、あたしのフリーゲンの直撃を受ける直前で、たくさんある魔力弾の内の4つで撃ち落しやがった。
(おいおい、嘘だろ! どんだけの制御力なんだよアイツ!? デバイスを改良したくらいで出来る芸当か?)
チッ。セインテストもそうだけど、コイツもとんでもなくヤバイ奴かもしれない。
「約束してっ。私たちが勝ったら、あなた達の事情を話してくれるって!」
「ハッ。あたしらに勝てるって本気で思ってんのかよ!?」
――アクセルシューター――
≪Panzer hindernis≫
「シューット!」
放たれたいくつもの魔力弾が一斉に襲いかかってきた。あたしはこの包囲網から抜ける自信はねぇから、気は進まねぇが防御に専念することにした。アイツの魔力弾は、展開した全面障壁パンツァーヒンダネスに着弾しては弾かれて、でも操作されてまた着弾ってぇのを繰り返しやがる。
(認めてやんよ。お前もぜってぇに倒さなきゃいけないヤバイ奴だってな)
そんなことを続けられちまったから障壁に次第にヒビが入っていく。防御に専念っていう選択を少し間違えたと思っちまった。こんなところで捕まっちまうわけにはいかねぇんだ。だから負けねぇ。
†††Sideヴィータ⇒フェイト†††
ビルの間を駆け上がりながら何度も衝突する私とシグナム。“バルディッシュ”を強化したおかげで競り負けることがなくなったからこそ出来る戦いだ。幾度目かの衝突の後、距離が開いたことでルシルのコード・パシエルを基にしてフォトンランサーを再構築した魔法、プラズマランサーを8発と射出する。
≪Plasma Lancer≫
「ファイア!!」
放たれたランサーを、シグナムは以前と同じように“レヴァンティン”に炎を纏わせて切り払おうとするけど、その前に操作して射線を変更して迎撃されないように回避させる。
「ターン!」
号令をかけて再度シグナムへと突撃させる。だけど、今度はシグナムが急上昇することで回避された。でもまだ追撃は終わらない。ランサーは魔力が完全に消えるまではいつまででも誘導し追尾させることが出来る。上空へと逃げたシグナムへと「ターン!」3度目の突撃を掛けさせる。
≪Blitz Rush≫
プラズマランサーの速度を上げる“バルディッシュ”。シグナムが構えた“レヴァンティン”から再び炎が吹き上がる。
≪Sturm winde≫
“レヴァンティン”から放たれた炎の衝撃波がプラズマランサーを全弾焼き払った。
≪Haken Form≫
シグナムの意識が少し私から離れた瞬間を狙って“バルディッシュ”を「ハーケンフォーム!」魔力刃を展開して成る大鎌形態に変形させる。
「レヴァンティン!」
≪Schlange form≫
シグナムも、“レヴァンティン”を鞭のような連結刃に変形させた。
――ハーケンスラッシュ――
――シュランゲバイセン――
「「はぁぁぁぁぁぁ!」」
衝突と同時に魔力爆発が起きて、私たちはお互いに距離をとることに。私はシグナムの胸に一撃与入れることが出来て、シグナムもまた私の左腕に2撃当てた。お互いに決定打を与えられなかったけど、1つ多いシグナムの方が上手であることは間違いない。
「強いな、テスタロッサ。それにバルディッシュ」
“レヴァンティン”を元の形態に戻して、私と“バルディッシュ”を認めてくれたシグナム。こんな強い人に認めてもらえることは、それだけで嬉しいことだ。
≪Thank you≫
「あなたとレヴァンティンも、シグナム」
≪Danke≫
「・・・フライハイトといいお前といい、これだけの腕を持つ者と久しく相見えなかった。だからこそ実に無念だ。お前たちとはもっと別の形で出会い、そして剣を交えたかった。そうすれば、この決闘もまた心の奥底から楽しめただろうに。しかし、この身は主と仲間の為にそうは言っておられん。すまないな」
シグナムが“レヴァンティン”を構える。やっぱりこの人は悪い人じゃない。真っすぐな瞳。なのはと同じ、揺るぐことのない決意がある瞳だ。私たちはきっと解りあえる。だから・・・
「そうですね。私もあなたとはこんな形で会いたくなかったです。ですから、あなた達ともっと気持ちよくぶつかり合えるように、私はあなたに勝ちます」
私だって負けるつもりはない。勝って絶対に話を聞かせてもらう。
†††Sideフェイト⇒シャルロッテ†††
「いいな~。楽しそうだな~」
なのはとヴィータ、フェイトとシグナムの戦いを見て羨ましく思う私。ヴィータとは戦ったことがないからよく判らないけど、シグナムは昔の私そのままだ。騎士であることに誇りを持ち、ひたすらに相手と剣を交えて語り合う。
だからこそフェイトが特に羨ましい。生前じゃ最期まで出来なかった、敵との命のやり取りを度外視した戦闘。それをフェイトとシグナムは今わたしの目の前で繰り広げていた。
『2人ともあんなに楽しそうに戦ってるよ。私も仕合た~い』
『ちょっとシャル!? 暢気な声出して見てないで、ちゃんと探してよ!』
『はいはい。判ってますよ~』
私が捜索をサボっているのを念話だけで判ってしまうユーノ。私だってシグナムと一騎討ちで戦いたかったんだけど、フェイトの方が先だからね。そこは諦めるしかない。
「はぁ。私に戦わせてくれる日は来るのかな~?」
もし叶わなかったら、すべてが終わった後でシグナムに挑戦しちゃうんだからっ♪
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