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ヘタリア大帝国

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TURN111 二つの切り札その九

 田中はそれを見て会心の声をあげた。
「よし、やったな!」
「副司令、大金星ですぜ!」
「やりやしたね!」
「おめえ等の手柄だ!」
 田中は自分の手柄とは言わなかった。
「よくやってくれたな!」
「はい、お見事でした」
 日本もその田中にモニターから言う。
「これでソビエト軍の切り札を二つ共消しました」
「よし、じゃあ次はだな」
「連合軍との決戦です」
 それはもうはじまっている。
「勝ちます」
「じゃあ今から潜水艦艦隊もそっちに向かうな」
「田中さん、ですが田中さんの艦隊には魚雷が残っていませんが」
 〆羅がその田中に言って来た。
「それでもですか」
「ああ、まだミサイルがあるからな」
「それで、ですね」
「戦うさ、じゃあ行くか」
「わかりました」
 こうしてニガヨモギを倒した潜水艦艦隊、そしてのぞみ達は主力と合流し連合軍との決戦に参加した。そこにはコンドラチェンコもいた。
 両軍は艦隊同士での激しい戦いに入っていた、だがスノーとニガヨモギを失った連合軍はもうそこで既に敗れていた。 
 果敢に戦術を尽くして戦ったがそれでもだった、遂に。
 コンドラチェンコは全軍、ドクツ軍とイタリン軍もその損害が七割を超えたところで断を下した。
「全軍カテーリングラードに撤退だ」
「そしてそこでだね」
「戦力を立て直す」
 こうロシアにも答える。
「そうしよう」
「うん、じゃあね」
「同志書記長もそこに入ってもらうか」
「わかった、ではだ」
 今度はゲーペがコンドラチェンコに応える。
「書記長は私がお守りする」
「そういうことで頼むな」
「同士司令も速く戦場を離脱してはどうか」
「後詰がいるだろ」
「それではか」
「ああ、司令の務めだからな」
 撤退の後詰も自分から名乗り出てだった、コンドラチェンコは全軍に撤退を命じたのだった。
 カテーリンもミーリャと共にカテーリングラードまで逃れ連合軍はカテーリングラードまで撤退した、しかしその際に。
 逃げ遅れたスノー、そしてコンドラチェンコも乗艦のエンジンを攻撃され動きが停まったところを捕虜になった。ロシア平原での戦いはソビエト軍にとっては散々なものに終わった。
 枢軸軍は遂にソビエト軍に決定的なダメージを与えた、それを受けてだった。 
 東郷はロシア平原の港に入りすぐに日本に言った。
「次はカテーリングラードを攻めてだ」
「そしてですね」
「そこで向こうの書記長さんが降伏しないのならだ」
「ソビエト全土の占領ですね」
「あの書記長さんが降伏するまでな」
 そうするというのだ。
「戦力数も逆転した、もうソビエト軍に我々と正面から戦える戦力は残っていない」
「カテーリングラードに残っている残存戦力を倒せば」
「それで終わりだ」
 後は各星域の占領だけだというのだ。
「それを進めよう」
「では」
「コンドラチェンコ提督とスノー提督はどうかな」
 東郷は日本に二人のことも尋ねた。
「あの人達は」
「枢軸軍への参加に同意されています」
 既にだというのだ。
「そうされています」
「そうか、それならな」
「各艦隊の修理が終わりましたら」
「次はカテーリングラードだ」
 そこに兵を進めてというのだ。
「ソビエトの戦いも何とかな」
「終わりが見えてきましたね」
「ああ、油断は出来ないがな」
 それでもようやく終わりが見えてきたというのだ、だが東郷も日本も他の者達もソビエトがまだ切り札を持っていることは知らなかった、カテーリンもロシアもまだ諦めていなかった。


TURN111   完


                       2013・5・16 
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