ヘタリア大帝国
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TURN111 二つの切り札その八
「コンドラチェンコさんの方で」
「何とかするしかないか」
「うん、出来るかな」
「それがな、こっちの戦艦もダメージ受けててな」
それでだった。
「ニガヨモギのコントロールが万全じゃないんだよ」
「トルカさんへの通信がしにくくなってるんだ」
「ああ、途中途切れるし声も小さくなっている」
「トルカさん只でさえロシア語には疎いのに」
「まずい状況だよ」
コンドラチェンコも歯噛みすることだった。
「これはな」
「ニガヨモギ、諦めるしかないかな」
「僕達としている通信をトルカさんに切り替えてみる?」
「それもやったさ、けれどな」
「向こうもなんだ」
「通信がおかしくなっちまっている」
つまり双方の通信がおかしくなっているというのだ、戦いではままあることだ。
「俺がシャトルで直接行ってもな」
「うん、コンドラチェンコさん自身の艦隊の指揮もあるしね」
「出来ないからな」
艦隊司令としての立場ではとても無理だった。
「それもな」
「ううん、ニガヨモギはどうなるかな」
「このままだと終わりだ」
確実にそうなるというのだ。
「本当にあと一度敵の潜水艦艦隊の総攻撃を受けたらな」
「終わりだね」
「そうなったらな」
二枚の切り札のどちらも破られる、そうなればというのだ。
「ロシア平原の戦いも、ソビエト自体も」
「あっ、まだ大丈夫だから」
ロシアはコンドラチェンコの危惧には微笑んで答えた。
「まだ最高の切り札があるから」
「最高の?」
「うん、まだあるから」
「それはどういったものなんだ?」
コンドラチェンコは怪訝な顔になってロシアに尋ねた。
「祖国さん、よかったら教えてくれないか?」
「あっ、まだ内緒にしないといけないから」
「同志書記長さんの判断か」
「その時になったら見せるからね」
ロシアは答えずにこう言うだけだった。
「そういうことでね」
「ああ、それじゃあな」
この話はこれで終わった、そしてだった。
ソビエト軍はドクツ軍、イタリン軍と共に枢軸軍と戦いニガヨモギも何とかコントロールを取り戻そうとしていた、だが。
田中はニガヨモギの急所に照準を合わせこの指示を出した。
「いいか!次でだ!」
「へい、決めますね!」
「総長、いえ副司令の手で!」
「そうだ!ここで決めるぞ野郎共!」
田中は己の部下達に告げた。
「あの化物のどてっ腹にありったけの魚雷をブチ込むぞ!」
「それで決めましょう!」
「これで!」
「ドクツ軍の仇を取ってやりましょう!」
「そうだ、やるぜ!」
田中は自ら望遠鏡の握り手にあるボタンを押した、そしてだった。
田中艦隊の全ての潜水艦から魚雷、まさにありったけの魚雷が放たれた。それは全てニガヨモギの腹部に稲妻となって向かい。
深々と突き刺さった、そして派手に爆発し。
ニガヨモギ自体もその爆発で止めをさした、今度は大怪獣自体が星域全体を震わせるまでの爆発を起こした。
凄まじいまでの光と衝撃、そして炎が両軍を照らし揺らした、それが終わった時にそれまでニガヨモギがいた場所には何もなかった。
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