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ヘタリア大帝国

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TURN111 二つの切り札その五

「この状況では」
「かわしきれませんか」
「これだけの攻撃ですと」
「ええ、敵はまず私だけを狙ってきているわ」
 連合軍の大軍の中で彼女だけをというのだ。
「だから今は」
「どうされますか、それでは」
「避けられないのならば」
「総員退避よ」
 回避ではなくそれしかないというのだ、そして。
 スノーは将兵達を退艦させ自身も脱出艇に乗った、そうしてすぐに惑星に入り難を逃れたのだった。
 これで吹雪が消えた、それと共に。
 艦載機達ははっきりと見える様になった連合軍に殺到した、そのうえで次々と攻撃を浴びせ撃破していく、だがそれでもだった。
 コンドラチェンコは冷静だった、そのうえで将兵達に言うのだった。
「心配することはないからな」
「スノー提督がおられなくなってもですね」
「まだ、ですね」
「そうだ、ニガヨモギがある」
 これがあるというのだ。
「だから安心してくれ」
「では今からですか」
「ニガヨモギで攻撃をですか」
「そうだ、それでいく」
 そうするというのだ。
「ここはな」
「では、ですか」
「今から」
「ニガヨモギで焼き払う」
 その恐ろしいまでの光でだというのだ。
「そうするからな、いいな」
「ええ」
 トルカが応える。
「わかったわ」
「今から俺が攻撃目標を伝える」
「それに従って」
「敵を焼き払え」
 コンドラチェンコはモニターに移る敵軍を見据えながらトルカ、クローンである彼女に対して伝えるのだった。
「わかったな」
「ええ」
 オリジナルと同じ返答だった、そして。
 コンドラチェンコは彼女に攻撃目標を伝えようとする、だがここで。
 彼の旗艦にだ、ハニーとのぞみが声をかけた。
「よし、今だホーーー!」
「攻撃開始です!」
「援護します」
 エルミーもファルケナーゼからビームを放つ、この潜水艦はビームも使えるのだ。
 それを出してコンドラチェンコの旗艦キエフを狙う、ニガヨモギのことに集中していたコンドラチェンコはこの攻撃に思わず声をあげた。
「ちっ、隙をつかれたな!」
「司令、ここはどうされますか!」
「一体!」
「艦長、回避させてくれ!」
 これが彼の命令だった。
「いいな、ここは!」
「わかりました!」
「俺はニガヨモギの指揮に専念する」
 それでだというのだ。
「艦のことは任せる」
「了解です」
「やってくれるな、向こうも」
 コンドラチェンコは晴れた銀河の中に浮かぶニガヨモギの巨体を見ながら呻いた。 
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