ロザリオとバンパイア〜Another story〜
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第29話 戦友との再会
公安との一戦が終わって。
一戦……って言うほど戦ってないと思うけれど、そこからさらに数時間たって……
って!
『だからドンだけ広いんだよ!ココは!!あーーもうっ!!』
……と突っ込みながらも 更に数十分後……何とか理事長室に辿り着いた。
『やっとついた……。 マジで長かった。 ……妙な連中に絡まれたり…女子生徒に追っかけられたり… 楽しい事多いって思ったけど、この陽海学園って、結構しんどいかもな……。』
ジャックは理事長室を見つけ 心底安堵し、そして入っていった。
【理事長室】
入ったその先に佇んでいる男がいた。
本当に懐かしい…男だった。
変わっていない。
「……やあ ジャック 久しぶりだな。そうか、200年ぶりか。それにしても学園に着いていたのは知っていたがずいぶん時間がかかったな?ここまでくるのに。」
そう…相変わらず フードをかぶり目元が見えない御子神典明だ。
だが、かぶってて正解だと思う。
脱いで全部開放したその先は……手に負えなくなるからだ。
……いやマジで。 苦笑
『はは…まあ正しくは196年な、遅くなったのは私用があってな。ってか軽いな。約2世紀ぶりって言うのに…』
ジャックは、苦笑しながら話した。
「ふふふ、私に『久しぶり!』っとか言われて抱きつかれたほうが良かったのかな?」
御子神も…心なしか少し楽しそうだ。
だけど、逆にジャックの表情は引きつっていた。
『いや…それは勘弁だな。マジで。』
想像しただけで…
いや、あまり想像もしたくない。
男同士で……は絵的にも、文字的にも。 苦笑
「まあ 冗談はさておき 君がこの世に復活してたのはアカーシャから連絡があったから知ってたんだよ。」
それを聞いてジャックは頷いた。
あのバスの運転手もそう。そしていきなり196年ぶりに再開したというのにこの落ち着き様。
『……納得納得そういうことか 通りでタイミング良く現れたもんだあのバスが。』
謎は解けたって感じだな。
「ふふふ 奴は古い友人でな。案内を任せたんだ。良い奴だっただろ?ちなみにバス代の件は私が立て替えているから安心したまえ。」
意味深に笑いながら 話した。
『ああ そういえばそうだったな。バス代ってジョークじゃなかったんだな…』
暫くは、昔なじみ、戦友と懐かしみながら…談笑をしていた。
『ははは…… ふう、さて。本題に入ろうか? 俺に用があってここに呼んだんだろ?』
そう切り出していた。
だが…1つ違和感がある。
(ん……?そういえば御子神の考えが読めんな… 腕が落ちたか?俺。)
そう…読心術がうまく働かないのだ。
まるで、心に壁があるかのようだった。
(でも モカや亜愛やアカーシャ…この学園でも聞けたんだけどな?)
ジャックが不思議がっていると。
御子神は解った様だった。
「…ああ 今、私の体には特殊な術式を書いているからね。そう簡単には 今の私の考えは読めんよ。」
ジャックの考えを読んでそう答えた。
『なるほどな。合点がいった。 なんだ、案外俺のこと警戒してんだ。』
ジャックは 苦笑しながら答えていた。
「いや 警戒じゃなくて考えを簡単に読まれるのはいい気がしないじゃないか。」
(そりゃそうだ 俺も嫌だったし……女神相手だとしても… )
少し昔のことを思い出して納得したようだ。
「……では君に頼みたい事があってな、その前に君が最近人間に悪さをする妖しを止めていることは知ってる。そうする理由はなぜなのかをまず教えてもらえんか?」
御子神は、頼みごとを言う前に最近のジャックの行動の意味を聞いていた。
この学園にまで噂は広がっているようだ。
『……ん?アカーシャに聞いてなかったのか?』
ジャックはそう聞いていた。
だけど、その問いにはいつだって答える。答えれる。
ジャックは窓の外を見ながら話しをしだした。
『…俺は人と妖しは共存できると信じている。結構本気だ。……本音で語り合えるまでに…な。まあ、それは今は不可能だということもよくわかっているよ。人間たち自身、愛も国境自体も隠しているところも多々あるんだ。 だが…まあ、今できる事を少しずつ…な。…焼け石に水だと思うがな。あ…後は人間たちの観察かな?』
ジャック自信の本心を御子神に話をした。
その事をジャックから聞いた御子神は。
「ふふふ やはり…君は頼もしい存在だよ。我々陽海学園の目的も人間達との共存を掲げていてな。まず手始めに 人間社会に溶け込めるように化けるところから入っている。まあ 君の言うように本音で語り合えるようになるのが一番だが そこまで出来るとは思ってはいない。少なくとも今はな。」
今度は自分の目的。学園で学ぶ事、目的を説明した。
この人間の世界で……妖が生きていくにはそれしかないからだ。
「君に頼みたいのは 人間界に入った時 妖しが何か悪さをしていればこの学園に引っ張ってきてくれないか? 完全に更生さすのは無理だと思うができる限りの事はしたい… もちろん街中で見かけたら…程度の感覚でかまわないが?」
ジャックに妖を特に人間界で溶け込めてなく、尚且つ人間を襲うような妖しを学園に引っ張ってきてくれというものだった。
『なるほどね… それならかまわない。バチバチに働けって事じゃなさそうだし、何よりココなら安心できるしな』
(下手に痛めつけるだけで終わったら逆切れして人間を襲うようなやつも増えるかもしれないし…)
その気がありそうな妖は徹底的に痛めつけたので、今までは特に問題なかった。
そして、その方法が本当に…正しいかといわれれば…素直にうなずけない。
(力で抑えて…従わせるやり方。それは真の理想とはいえないから。)
そう…力で…恐怖で抑制しては、思想を植えつける今の現状では、仮に全員をココに入れられたとしても……本当の意味で解決はしないだろうから。。
「ふふふ 君はそういってくれると信じていたよ。では 期待している。この学園にはいつ来てくれてもかまわないし、VIPカードも渡しておこう、これがあれば怪しまれたりしないからな… 先ほどのようなトラブルも起こらなくてすむ。」
おそらく公安委員との絡みを言っているのであろうか。
『……ありゃ!ばれたか… やっぱり…そりゃそうか。……何だか悪いな ココに来ていきなり暴れて。』
ジャックは素直に謝罪した。
向こうも十分悪いとは思っているようだけれど。
「いや 問題ないさ。公安(かれら)の行動は特に近年は目を見張るものがあると思っていたしな。だが、やる事が多すぎて手が回らなかったんだ。これで少しは落ち着いてくれれば ありがたいが、まあ無理だろうな。血の気の多い連中だから。」
(……分かってるなやっぱ。)
ジャックは御子神の返答で想う。
さすがは理事長、実際に数年後に新聞部と公安の問題事件が発生するから、あながち外れでもない。
『良いなら良いさ。じゃあ 俺はまた人間界へ行くとするよ。実は温泉旅館に行きたかったんだ。』
冗談ではなく本気である。
前世の日本人の血がそうさせるのか…?
解らないけれど、ジャックは、温泉LOVE!なのだ。
「ふふふふ… 温泉か それはいいな。わかった。ではいつでも来てくれ。期待している。」
『ああ、まあ…任せておけ。』
そして…理事長室の扉の前まで行き…
戸をあけようとした時…
『…後…なんだ…その久しぶりに会えてよかったよ。……戦友。』
自然と…そう言葉が出た。
「ああ、私も同感だ。」
二人とも…昔の事を思い出していた。
共に戦ったあの時の事を。
御子神は、確かに失ったと思っていた友とまたこうして会えた事に、感謝していた。
ジャックと御子神は共に握手を交わし。
ジャックは理事長室を、陽海学園を後にした。
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