この世界はヒーローが大勢いる!
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Look be fore you leap(跳ぶ前に見よ)
空条丞太郎。
俺が前世で好きだった漫画「ジョジョの奇妙な冒険」第三部の主人公であるスタンド使い。
数秒間だけだが時を止めることができるスタンド「スタープラチナ」に加えていくつもの戦いを経験したことにより高い判断力を持ち、その実力は正に「最強のスタンド使い」と呼ぶに相応しいだろう。
そしてこの世界の空条丞太郎さんの経歴だが、調べてみると大体が原作と同じだった。
年齢は二十八歳。本来の職業は海洋冒険家で、周囲に事件があったりヒーロー協会からの要請が来たときにヒーローとして活動するらしい。
丞太郎さんがスタンド能力に目覚めたのは今から十年前、まだ高校生だった頃だ。そしてスタンド能力に目覚めた丞太郎さんは、その直後に祖父のジョセフ・ジョースターを初めとする数名の仲間と共に「E市」へと向かい、そこに潜伏していた百年前に人間から吸血鬼と化した怪人「DIO」を死闘の末に倒した。
「DIO」を倒した当時は、世間は丞太郎さん達の功績に気づいていなかったが、数年前の調査により「DIO」が吸血鬼としての能力だけでなくスタンド能力も兼ね備えた非常に危険な怪人であったことが判明し、ヒーロー協会は「DIO」を災害レベル「鬼」と認定。それと同時に「DIO」を倒した丞太郎さんをS級ヒーローとしてスカウトしたそうだ。
……そっかー、「DIO」ってこの世界では災害レベル「鬼」の怪人だったんだ。
そしてスタンド能力のことだか、どうもこの世界では「ネクスト能力が具現化した像を操る能力」といった上位のネクスト能力という認識らしい。
だったらアーチャーが作り出す剣もスタンドなのか、と聞いてみると等の本人であるアーチャーは、
「いや、私の剣はあくまでネクスト能力が起こした『結果』であって、ネクスト能力が具現化したスタンドとは似て非なるモノだ」
と答えた。この理屈でいくとゲームのアーチャーの宝具「無限の剣製」がアーチャーのスタンドなのかもしれない。あとセイバーの黄金劇場やキャスターの不思議空間とかも。まあ、今のところはよく分からないが……。
しかしまさか「ジョジョの奇妙な冒険」までこの世界に組み込まれていたとは完全に予想外だった……。
いや、「ジョジョ」は大好きだよ? 前世では大ファンの漫画だったし、丞太郎を間近で見た時は感動したと同時に「自分もスタンド使いになれるかも」と期待に胸を膨らませたよ? ……でも「ジョジョ」ってジャンプコミックの中でもかなり死亡フラグが多いじゃないか?
話の展開次第じゃ脇役からレギュラーキャラ、果てには主人公でさえ容赦なく死んでいく死亡率の高さ。主人公クラスのキャラが何人も死ぬ漫画なんて俺は「ジョジョ」以外知らない。
しかもこんど俺達が行くのはあの「第四部」の舞台である杜王町だよ? なんというか嫌な予感しかしないんだけど?
下手をしたら原作で死んだキャラ以外にも被害者が出て、最悪自分達も命を落とす可能性だってある。
……正直な話、凄く怖い。もしも自分が矢で体を貫かれたり、身体中を蜂の巣にされたり、電撃で黒こげにされたり、爆破されて塵一つ残さず消え去ったりするところを想像すると、今すぐ家に帰りたくなる。だが実際に帰るわけにはいかない。
何故ならもう俺はヒーローだからだ。
これから多くの人が死んでしまうことが分かっていながら逃げ出すことはできない。
……仕方がない。幸いにも杜王町に行くまでまだ少し時間がある。それまでに自分や仲間達を守り、原作で死ぬ予定のキャラを一人でも多く助ける準備をしておくか……。
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