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万華鏡

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第四十八話 文化祭の準備その十二

 先生達は見回りに戻った、琴乃はその彼等と別れてから部室に入った、すると部室の前で確かに大騒ぎの音が聞こえてきた。
 中に入るとだ、まずは部長がだった。
 焼酎をストレートで大ジョッキ本来はビールを入れるものの中にそれを入れてだ、そしてごくごくと飲んで言うのだった。
「皆楽しんでる?」
「ええ、楽しんでるわよ」
「見ての通りよ」
 これが二年生の部員達の返事だった、飲んでいるというのだ。
「いや、やっぱり焼酎はいいわね」
「いいお酒よね」
 こう話して飲むのだった、そしてだった。
 彼女達も楽しく飲む、それから言うのだ。
「いや、美味しいわ」
「じゃあどんどん飲んで」
「もっと楽しもうね」
「一年の娘達もよ」
 部長は飲みつつ一年生にも声をかける。
「楽しんでね」
「はい、わかりました」
「それじゃあ」
「お酒は好きなだけ飲んでいいから」
 量は気にするなというのだ。
「おつまみもあるからね」
「じゃあ私も」
 琴乃もだ、部室で車座になって座っている一団の中に入って言うのだった。
「いいですか?」
「何で駄目なのよ」
 逆にこう返す部長だった。
「軽音楽部なのに」
「だからですか」
「そうよ、むしろ軽音楽部員ならね」
 それならというのだ、部長が言うには。
「ここに来て飲まないとね」
「駄目ですか」
「そうよ、若し来ていなかったら」
 そうだったならというのだ。
「無理にでも連れて来てるから」
「そうなんですか」
「強制連行よ」
 部長はあえてこの言葉を出した。
「そうしてるところよ」
「そこまでされるんですか」
「私は飲む為には帝国陸軍にもなるわ」
 無論わかって言っている、強制連行というものが実は空想の域にあるものだとだ。
 若し強制連行の定義が成り立つとしたら日韓併合が無効だという前提が必要になる、何故なら日韓併合が有効なら韓国人は当時は日本人ということになり日本人を徴用しただけになりそれは強制連行にならないからだ。
 そしてだ、日韓併合に朝鮮国王、即ち大韓帝国皇帝のサインがないというが首相のサインがある。これで無効とは言えないであろう。
 八百四十万もの膨大な人口を強制連行することも不可能だ、強制連行というものは空想のものであるということは法律的にも物理的にも証明されている。それで部長も冗談であえて言葉に使ってみせたのである。
「鬼となってね」
「そうですか」
「そうよ、じゃあいいわね」
 部長はあらためて琴乃に言った。
「皆いるわね」
「はい、います」
「今ので全員です」
「それじゃああらためて乾杯よ」
 焼酎を一杯まで入れたジョッキを高々と掲げての言葉だ、その焼酎がジョッキから僅かだが溢れている。
「皆じゃあね」
「はい、今からですね」
「もう一度」
「乾杯よ」
 自分の部活の部員達への言葉だ、そして。 
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