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『曹徳の奮闘記』改訂版

作者:零戦
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第三話







「コイツを一部隊長に? 却下よ」

「……ほらな」

「何でや賈クっち~」

 張遼に連れられて賈クの元に来たけど、あえなく却下となった。

「いきなりアタシのところに来たと思えば、ただの一般兵士を一部隊長にしろって……あんたまた酒を飲んでるんじゃないでしょうね?」

「酒は飲んでないわ賈クっちッ!! な、ならウチの部隊に入れてええやろ?」

「……それならいいわ」

「流石賈クっちや~」

 そらぁ、張遼の部隊に入れるんなら問題はないからな。

「ほんじゃぁな賈クっち。ほら王双も行くで」

「分かった分かった」

 俺は引っ張られながら部屋を出た。

「……一体、何なのかしら?」

 一人だけになった部屋で賈クはそう呟いた。

「それじゃぁウチの副官をやってな」

「仕事は俺に任して、自分は酒を飲むんか?」

「ギクギクッ!!Σ(゜Д゜)」

 そら分かるって……。

「で、副官の仕事は何をするんや?」

「ま、まぁウチの補佐役やな。主に書類が多いけどな」

「ならさっさとして酒飲もうや」

「それもそうやな」

 こうして、ただの一般兵士の募集に来ただけやのに、何故か張遼の副官をやらされる事に なった。(ただ、張遼の副官がいないのは前任が退役して後釜が決まるまで交代制で張遼隊の奴らがしていたらしい)

 数日後、俺は何となくやけど副官の仕事を覚えてきた。

 まぁ張遼がよく逃げ出すのを防いでるけど な。(むしろ、張遼隊の奴らからは張遼を防いでる事に感謝しているみたい)

「そうや王双っち。明日は戦やで」

「あぁ。だからその準備をしているからな」

 明日から、暴れている姜族を鎮めるために出発する。

「どうや? 初出陣の前祝いに飲むか?」

「阿呆か。酔っ払ってたらやられるだろう が……」

「ウチはそんなん大丈夫やけど……」

「それは張遼だけだよ」

 俺は溜め息を吐いた。

 翌日、張遼隊と華雄隊五千名は出発した。

 俺には人生初めての大規模な戦いだな。

 涼州に来るまでは盗賊や山賊と戦ってきたけど、今回は違うな。

「何や王双っち、緊張しとんのか?」

 張遼が聞いてきた。

「あぁ。人生初めての大規模な戦いだからな」

「そうなんか。まぁ馴れたら後は普通やで」

「そうか………」

 そして、俺達は戦場に到着した。

「相手は姜族やッ!! 油断すんなよッ!!」

「全軍突撃ィィィーーーッ!!」

『ウワアァァァァァーーーッ!!!』

 一斉に兵士達が姜族に駆け出した。

「行くで王双っちッ!!」

「あ、あぁ」

 まだ乗馬の練習は三日しかしてないけど、何とか馬を操って俺も戦場に突撃した。

ザシュッ!!

「ギャアァァッ!!」

 兵士が腹を剣で切り裂かれ、腸が露出する。

 また、ある兵士は首を斬られて、斬られた箇所から血が噴水のように噴き出す。

 四肢のどれかを斬られて倒れる兵士や姜 族………。

 ……これが……。

「……これが戦場なのか……」

 現代だと銃撃戦とか多いけど、これは記憶に残るな。

 それでも吐き気はしない。

 理由としては、涼州に来るまでに数回、山賊や盗賊達と戦って死体を何回も見てるからだろうな。

 しつこい説明やけど気にするな。

「ウオォリャァァァッ!!」

 槍を持った姜族の兵士がボウッとしていた俺に突撃してくる。

「ハァッ!!」

ザシュッ!!

 俺は槍を切って、兵士の首を斬る。

 血が噴き出して俺に降り懸かる。

「ウオォリャァァァッ!!」

 また来た。

「ウオォォォッ!!」

 俺は斬られないように避けて、相手の首や胸を刺して命を奪っていく。

「ん?」

 ふと人だかりを見ると、張遼が姜族の兵士に囲まれていた。

「ちぃッ!!」

 俺は人だかりに走った。

 俺の接近に気づいた姜族の兵士が槍や剣を構えた。

「どけぇぇぇッ!!」

 俺は叫んで兵士を斬っていく。

「王双っちッ!?」

「無事か張遼ッ!!」

 何とか囲みを斬っていくと、切り傷がありながらも孤軍奮闘している張遼がいた。

「ありがとな王双っち。ハアァァァッ!!」

 張遼が俺の突撃に怯んだ姜族の兵士達の隙をついて切り捨てていく。

「ヒイィィィッ!!」

 遂に、姜族の兵士達は囲みを解いて逃げ出していく。

「……助かったで王双っち……」

「無事でよかったよ張遼………」

 まぁ将軍が死んだら部隊は終わるからな。

 ……………ん?

「張遼ッ!!」

 俺は近くの岩に何かが動くのを見つけた瞬 間、俺は張遼を抱いた。

「お、王双っちッ!?」

 張遼がいきなりの事で顔を赤くしているが、知らん。

ドスドスッ!!

 ウグッ……軽い衝撃が来たな。

「……華雄ッ!! お前の近くの岩に伏兵 やッ!!」

「分かったッ!!」

 岩の近くにいた華雄に向かって叫び、華雄は弓を持った伏兵を切り捨てた。

「……これで大丈夫やな………」

「ッ!? 王双っち、怪我………」

 張遼が俺の背中に打ちつけられた矢を見た。

「医師は何処やァァァーーーッ!!」

 張遼の叫び声を聞きながら、俺は意識を失った。







 
 

 
後書き
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