ヘタリア大帝国
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TURN110 法治その七
「わしはこうして生きている、それならばだ」
「戦われますか」
「今生身の身体ができようとしている」
「クローン技術を使わせてもらっている」
平賀がまた話してきた、無論久重の口から話している。
「こうした場合の使用は許可されているからな」
「それではやがては」
「そうだ、脳さえあればだ」
それでだというのだ。
「わしはやがては生身に戻れるからな」
「それまでの辛抱ですね」
東郷も宇垣の話を聞いて応える。
「そういうことですね」
「そうだ、だから心配無用だ」
「外相がそう仰るのなら」
東郷としてもだというのだ。
「俺は構いませんが」
「そう言ってくれるか」
「はい、しかし他の提督の艦隊も被害を受けますが」
東郷とて例外ではない、だがそれでもだった。
「外相だけはそうして」
「そうだな、身体がダメージを受けてな」
「サイボーグになられていますが」
「思えば不思議だ」
その宇垣自身も思うことだった。
「わしだけというのはな」
「そうですね、本当に」
「しかしわしは生きている」
そのサイボーグになってもだというのだ。
「それならば奉職させてもらう」
「くれぐれも無理はなさらないで下さい」
日本は心配する顔で宇垣に告げる。
「お命があってのことですから」
「そうです、外相は外務大臣としてだけでなく艦隊司令としても戦っておられますから」
日本妹も心配している顔だ。
「くれぐれも」
「お心遣い感謝します、では自重もしながら」
「宜しく御願いします」
「それで」
二人も宇垣を大事に思っていた、それでこう声をかけたのだ。
宇垣はまたしても身体が変わった、そのうえで戦場に復帰するのだった。
モスクワからロシア平原への侵攻準備の中でだ、東郷は今度はというと。
捕虜となっているジューコフのところに赴いた、今回は山下が同行している。 山下は東郷に対してこう問うた。
「私が同行する理由はだ」
「ジューコフ元帥と会いたいからだな」
「そうだ、ソビエトの誇る名将だ」
山下は武人の顔で東郷に答える。
「是非一度お会いしたいと思っていた」
「それでだな」
「そうだ、武人としても立派な方と聞く」
このことでも評判だ、ジューコフは謹厳実直な生粋の軍人なのだ。
「その方とは是非だ」
「利古里ちゃんらしいな」
「私らしいか」
「利古里ちゃんも武人だからな」
東郷は微笑んで横にいる山下に述べる。
「武人は武人を求めるか」
「そうなる、だが」
「だが、とは?」
「貴様がジューコフ元帥の下に赴く理由だ」
「スカウトだ」
それで赴くというのだ。
「その為だがな」
「責務か」
「ジューコフ元帥まで加わるとなると大きい」
また一人名将が加わる、それがだというのだ。
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