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第二章
第二章
この二文字が画面に映る。それで全部終わりだった。
「ちぇっ、やっちまったな」
俺はテレビの画面を見て呟いた。ゲームのクリアに失敗してバッドエンドになっちまったってわけだ。
上手くいけば宇宙人と仲良くなれるシュミレーションゲーム。失敗したら攻められて最悪こうなる。それでこうなっちまったってわけだ。
残念だが俺はゲームは上手くない。それでこうなった。けれど後味が悪いのは事実だ。
「仕方ねえな」
気晴らしに飲みに行くことにした。立ち上がってジャケットを取ってそれを着てから外に出る。
出る時に携帯を入れてかける。とりあえず今の時間暇そうな奴を選んでかけた。するとドンピシャだった。
「ああ、いいぜ。何処で飲む?」
「駅前のあそこにしようぜ」
俺はそいつにこう提案した。あそこと言えばわかる位に馴染みの店だ。今電話をかけている奴とはいつもそこで飲んでいる。だからそれで通じる。
「あそこか」
「そうだよ。どうだ?」
「よし、じゃあそこな」
話はあっさりと決まった。
「それの前で待ち合わせてな」
「楽しくやろうぜ。そういうことでな」
これで飲むことが決定した。駅前までこのアパートの部屋を出たらすぐだ。それでその店の前で待ち合わせをして夕食も兼ねて二人で飲んだ。飲み終わった時にはもういい時間だった。二人で店を出て夜道を歩いていた。
「で、これからどうするんだ?」
そのツレが不意に俺にこう声をかけてきた。
「どうするって?」
「俺はこれから帰るけれどよ。御前は」
「そうだな。後は」
風呂入って寝るだけだ。風呂といってもシャワーで簡単に済ませる。それで全部終わりだ。
「シャワー浴びて寝るか」
「それだけか」
「ああ」
言いながら上を見上げた。するとそこには。
真っ黒、いや限りなく黒に近い青い空が広がっていた。そこに大きな黄色い月がある。その空の色がまたさっきゲームでUFOが出た時のあの空の色にそっくりだった。俺はそれを見て思った。
「月ってな」
「どうしたんだ?」
「やっぱあれだよな」
俺はツレに話す。何か自然と言葉が出て来た。
「地球じゃないよな」
「当たり前だろ」
何馬鹿を言っているんだと言わんばかりに言葉を返された。
「あれが地球になれるかよ」
「そうだよな。それに」
俺のあの時のゲームでの失敗は。地球で統一政府を作れずにそれで侵略してくる異星人に対抗できなかったからだ。友好的なのもいればそうしたのもいるゲームだ。それに対抗するには統一政府を作って力を結集して対抗するのが一番だがそれができなかった。それで攻められて負けたってわけだ。
「何か店で言ってたよな。イランで」
「今度はあそこで戦争だってな」
「そか。今度はあそこか」
「いつもどっかで戦争してるさ」
ツレは軽い調子で俺に言った。
「そんなもんさ、世の中ってな」
「そんなもんか」
「日本だってそうだったじゃねえか」
昔はそうだった。今は平和だ。もっともその平和が未来にはどうなっているかはわからない。ひょとしたらあのゲームの最後みたいに、ってのもひょっとしたらある。
「そうだろ?」
「そうか」
俺はここではこいつの言葉に頷いた。その時は視線を夜空から離した。
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